介護

要支援1はどのような状態?利用可能なサービスや疑問を解説!

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「要支援1ってどのくらいの状態のこと?」

「介護保険ではどのようなサービスを受けられるの?」

要介護認定の存在は知っていても、自分や家族は要支援の状態に該当するのか、介護保険サービスにはどのようなものがあるのかわからないという方もいるでしょう。

本記事では要支援1の状態に関する基本的な情報から要介護認定を受けるまでの手順、実際に使用できる介護保険サービスの紹介、注意点まで解説しています。

要介護認定の申請や介護保険サービスの利用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

この記事の監修者
睡眠健康指導士、建築物環境衛生管理技術者
佐々木崇志
東北大学大学院薬学研究科修了。修士(薬科学)、建築物環境衛生管理技術者。 修了後は臨床研修指定病院で医局秘書や学生担当として全国の医療を志す学生や医療従事者と携る。勤務していく中で睡眠に関する訴えが医療従事者にも多い事に気づき、自身も医療従事者や患者の助けにならないかと考えるようになり個人で活動を始める。現在は東北を活動の拠点として睡眠(体内時計・時計遺伝子)の研究の経験、資格の知識を生かしながら睡眠啓蒙活動を行なっている。

要支援1とはどのような状態?

要支援1の状態とは?

要支援1は介護保険制度によって定められた基準をもとに判定される「要介護認定」の区分の1つです。

要介護認定は要支援1、2、要介護1〜5の7段階で区分されており、要支援1は最も軽度な認定区分に該当します。

厚生労働省は「日常生活の動作はほぼ自分で行うことも可能だが、要介護状態に移行しないように介助が必要な状態」と定めており、要支援は動きづらさや認知機能の低下によって身の回りのことが十分にできないなど、生活に支援が必要になった状態といえるでしょう。

要支援1の基準

要支援1基準

要介護認定は下記の動作における利用者の介護にどれだけの時間を要するかをもとに介護度の重要度を判定しています。

  • 入浴、トイレ、食事の介護
  • 家事の援助
  • 徘徊に対する探索や不潔行為の後始末
  • 歩行や日常生活の機能訓練
  • 点滴や傷の処置などの医療的管理

介護に必要とされる時間の基準を「要介護認定基準時間」といい、25分以上32分未満が要支援1の要介護認定基準時間にあたります。

要支援1 25分以上32分未満
要支援2 32分以上50分未満 ※要支援の状態
要介護1 32分以上50分未満 ※要介護の状態
要介護2 50分以上70分未満
要介護3 70分以上90分未満
要介護4 90分以上110分未満
要介護5 110分以上

また、厚生労働省は「要介護認定基準時間」に加えて、高齢者の認知機能低下の程度も要介護認定の指標としており、認知症の有無は要介護認定を受けるにあたり重要なポイントといえるでしょう。

要支援2との違い

要支援の違い

先述した要介護認定基準時間でも要支援2は32分以上50未満と区分されているように、要支援2では要支援1よりも日常生活において介助が必要な場面が増えます。

要支援1が起き上がりや立ち上がりに介助を要する段階と定められている一方で、歩行などでのふらつきも見られ、日常の意思決定や買い物にも介助が必要になってくるのが要支援2の段階です。

要支援1や2では日常生活など自身の基本的な動作は行えますが、ふらつきや物忘れ、理解力の低下などにより介助が必要な状態となっています。

要支援は要介護1と近い位置にあるため、要支援の段階でいかに機能を落とさないようにするか、要介護の状態に移行させないようにするかが重要といえるでしょう。

(出典:厚生労働省「要介護認定に係る法令」

認知症が強いと要介護認定がおりることも

認知症が強い場合

認知症の症状が強いと要介護認定は重く出るという話を聞いたことがある方もいるかもしれません。

結論から言うと、認知症がある場合介護度は重症に判定される傾向にあります。

先ほども述べたように厚生労働省が要介護認定基準時間に加えて、高齢者の認知機能の低下を加味しているということからも認知症の重要度がうかがえるでしょう。

介護認定の判定項目には以下のものがあります。

  • 麻痺や体の関節が固まっているなど身体的に介助が必要な要因
  • 日常生活動作、認知機能、行動、社会生活、医療における自立度

身体状況はもちろん、軽度の物忘れなどの認知機能、徘徊や大声を出したり介護に抵抗したりするなどの問題行動の有無、内服や金銭の管理ができるかなどを評価しています。

上記のような問題行動がある場合、例えふらつきなく動けても、介護者の負担はかなり大きくなるでしょう。

要支援1を取得する手順

申請手順

要介護認定を受けるには申請から要介護認定を受けられるまで約30日程度かかるため、事前に下記の手順に従った申請が必要です。

  1. 市町村のや自分の地域を管轄する地域包括支援センターの窓口に相談し、申請する
  2. 認定調査員による訪問調査
  3. 訪問調査や主治医意見書をもとに一次判定(コンピューター)
  4. 専門家による二次判定

1.市町村や地域包括支援センターに相談して申請

要介護認知を受けるには以下のものを準備のうえ、市町村もしくは地域包括支援センターなどに相談、申請しましょう。

  • 申請書
  • 介護保険被保険者証
  • 健康保険証(※第2号被保険者の場合)

市町村で申請をする場合、「福祉課」や「介護保険課」、「高齢者支援課」など自治体によって名称が異なるので総合案内で確認すれば間違いがありません。

入院中や出かけられないなど申請者本人が申請をできない場合は、家族の申請も可能です。

家族の支援が受けられない場合は、先ほどの地域包括支援センターや居宅介護支援事業所で申請を代行してもらえます。

2.認定調査員による訪問調査

要介護認定の申請ができたら、現在の状態を把握するための認定調査員による聞き取り調査があります。

調査を行うのは市町村職員や認定調査員(介護・医療の知識がある専門員)、ケアマネージャー。
原則1人につき1回の調査で、要介護認定の申請から30日以内に実施されます。

普段の生活状況を把握するのが目的なので、自宅などを訪問して調査が行われるのが一般的です。

申請者本人のみで対応する場合、質問に対して「できる」と何でも答えてしまうことも多いため、実際に困っている動作が調査に反映されないこともあるので注意しましょう。

家族の方が同席できる場合は、正確な調査結果のためにも普段どのような様子かを伝えるようにしてください。

3.一次判定、二次判定

コンピューターによる一次判定

事前に行った訪問調査の結果と主治医に書いてもらった意見書をもとに、コンピューターによる一次判定が行われます。

主治医意見書はかかりつけの病院、または市役所が定める病院で書いてもらいますが、市役所が医療機関へ直接依頼するので、申請者自身が連絡する必要はありません。

専門家による二次判定

一次判定の結果や主治医意見書、認定調査における特記事項(自立、介助などの簡単な表現での分類が難しい動作など)をもとに、介護・医療分野の専門家が協議します。

要支援1で受けられるサービス

介護保険サービス

要介護認定を受けられたら、担当ケアマネジャーによりケアプラン(介護保険サービスをいつ、どの程度、どのような目的で使用するのかを記載した計画案)が作成され、介護保険サービスの利用が開始されます。

具体的には後述する「区分支給限度額」内(要支援1は50,320円)で以下のような介護保険サービスの利用が可能です。

訪問系サービス 訪問入浴 介護スタッフによる自宅での入浴介助
訪問看護 看護師による自宅での処置や医療的ケア
訪問リハビリ 理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問して行うリハビリテーション
通所系サービス 通所リハビリ 利用者自身がリハビリ施設に通い、リハビリテーションを実施
通所介護 利用者が対象施設に通い、食事や入浴などの支援を受ける
多機能型サービス 小規模多機能型居宅介護 施設通所を中心に、訪問介護サービスや短期宿泊サービスを受ける
宿泊系サービス 短期入所生活介護(ショートステイ) 介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの対象施設での短期間宿泊
短期入所療養介護 医療機関や介護老人保健施設などでの短期間宿泊に加えて、医療ケアを受ける
入居系サービス 特定施設入居者生活介護 有料老人ホームなどの対象施設で日常生活の支援を受ける
地域密着型サービス 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 認知症ケアに特化した施設で支援を受けられる、少人数の共同生活サービス
福祉用具 福祉用具貸与 専門業者からの福祉用具レンタルサービス
特定福祉用具販売 専門業者からの福祉用具の購入

要支援1の車椅子や介護用ベッドの貸与は対象外?

介護保険サービスには福祉用具のレンタルサービスもありますが、車椅子や介護用ベッドは原則要介護2以上が対象となります。

利用者の状態によって要支援や要介護1の状態でも必要とされる際は、厚生労働大臣が定める告示に該当する場合に限り、特例給付されることもあるので担当ケアマネジャーに相談してみるとよいでしょう。

住宅改修費用も20万円まで負担

要介護認定を受けると先述した区分支給限度額とは別枠で最大20万円まで以下のような住宅改修費用の補助が受けられます。

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修  など

まず、ケアマネージャーに相談し、住宅改修の申請書や見積もり、簡単な完成図の提出などの提出をしたのち、施工というのが一連の流れです。

工事が完了したら領収書や再度完成図を提出することで、改修費用の7〜9割が償還払いされます。

相談せずに自分で改修した場合、補助を受けられない可能性もあるので注意しましょう。

サービスを利用するうえでの注意点

サービス使用上の注意

区分支給限度額を超えた場合は自費

先に要支援1の区分支給限度額は50,320円であるというお話をしましたが、要介護認定の区分によって月に受けられる介護保険サービスの上限が決まっています。

要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

【要支援1の場合】
1割負担の場合、要支援1だと1ヶ月に最大5,032円までなら介護保険を利用したサービスを受けることが可能です。

通所介護(デイサービス)は1回の自己負担額が1,672円(個人や施設によって変動あり)なので、週に2回の利用では3,428円となります。

限度額を超えた場合は自己負担になりますが、通所介護やリハビリ程度なら余分に1回利用しても1,700前後なので、どうしても週に2回以上利用したいという場合もそこまで大きな額ではないでしょう。

排泄・入浴に関するものは購入

以下のような、排泄や入浴など衛生的に問題が懸念されるものはレンタルができないので、自身で購入する形になります。

  • 腰掛け便座(ポータブルトイレ)
  • 自動排泄処理装置の交換可能部分
  • 入浴補助用具(入浴用椅子、浴槽用手すり、浴槽内イス、入浴台など)
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのハーネス など

特定福祉用具は区分支給限度額とは別に年間10万円の枠が設けられ、限度額内であれば1〜3割の価格で購入できます。

よくある質問集

よくある質問

いつから介護保険サービスは使えますか?

基本的には介護認定が行われたのち、該当する区分に応じたケアプランが作成されます。

従って、介護保険サービスの利用もケアプラン作成後に始まるのが通常です。

どうしても介護保険サービスの利用が必要な際は、認定結果が出る前でも地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネージャーに相談すると利用可能なケースもあるので検討してみてください。

第2号被保険者(40〜64歳)でも申請は可能か?

65歳以下の第2号被保険者でも指定された16疾病に該当する場合のみ、介護保険サービスの利用が可能です。

該当疾患を診断した医師名、診断書に該当病名を主治医意見書に記入する必要があります。

  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊柱管狭窄症
  • 脳血管疾患
  • 後縦靭帯骨化症
  • パーキンソン病関連疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 多系統萎縮症
  • 関節リウマチ
  • 脊髄小脳変性症
  • 早老症
  • 両側の膝関節または股関節の著しい変形を伴う変形性関節症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • がん

主治医意見書はどこで書いてもらえますか?

主治医意見書は基本的にはかかりつけ医に書いてもらいます。

直近の状態を把握するためのものなので、近日中の受診が必要です。
受診の際に、要介護認定のために意見書を書いて欲しい旨を伝えておくとよりスムーズでしょう。

また、主治医意見書は市役所から医療機関へ直接依頼し、作成された書類に関しても直接市役所へ郵送になるので、申請者が行う手間はありません。

要支援1の状態まとめ

要支援1まとめ

要支援1は要介護認定の中では最も軽度な位置付けになります。

しかし、動作時のふらつきや認知機能の低下により日常生活において困難感や介助の必要性が出てくるため、早期から介護保険サービスを利用し支援することが大切です。

できない動作が増えて生活の水準が下がったり、疾病や骨折などにより身体機能が落ちたりすることで容易に要介護状態へ移行してしまうことも少なくありません。

このくらいなら大丈夫と思わずに、まずは要介護認定の相談をして自身に合った介護サービスを利用してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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