梅雨になるとどうも眠気を抑えられない…。理由はわからないけど憂鬱になったり、イライラしたりする。梅雨は低気圧が日本中覆い、ジメジメした不快な季節です。
実は、人の体は天気が悪いと眠気を感じてしまうようにできています。女性はとくに天候の変化に体調を左右される傾向があります。
今回は、梅雨と眠気の関係を解説します。梅雨の眠気を撃退する方法も徹底解説しますので、どうぞ最後までお付き合いください。
梅雨に眠気が強くなる原因とは
人の体は自律神経によってコントロールされています。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、昼間、活発に活動する時間帯は交換神経が働き、夕方から夜になるころにはリラックスして安眠できるように副交感神経が優位になります。
低気圧の日に昼でも副交感神経が優位になる理由は、人の本能からくるものだと考えられています。何千年も前、ヒトの生活は狩猟と農耕が中心でした。晴れの日は外に出て農作業や狩りに出ていましたが、雨が降ると外での作業ができないため、家の中で休息することになります。
そういった時期が長く続いたため、人の体は低気圧になると自然に休息モードになるようになったわけですが、様々な技術が発達した現代では、天気に関係なく働けるようになりました。
しかし、ヒトの体は現代も雨天の日も働くという習慣についていけていません。要するに、気圧の低い雨の日も活動するということは、自然の摂理に逆らっていることになります。
梅雨時に眠気を感じることが多いのは仕方がないので、上手に付き合っていくしかありません。
気温の寒暖差も眠気の原因に
また、梅雨時は気温差が激しいことも眠気の一因となっています。雨の影響で気温が極端に低くなったかと思うと、次の日は30℃を超える真夏日になることもしばしばです。1日の寒暖差も激しくなるので、体が気温差についていけずに疲労がたまることで眠気が強くなる傾向があります。
梅雨時は体調不良になりやすい
梅雨どきは眠気だけでなく、様々な体の不調を訴える人も多いようです。梅雨の時期は低気圧と激しい寒暖差の影響で自律神経が乱れがちになり、体調を崩しやすくなります。梅雨どきには以下のような体調不良を感じやすくなる人が多いようです。
- 体がだるい
- 肩こり
- 頭痛
- 体が冷えると感じる
- 朝、なかなか起きられない
- 腰痛
- 眼精疲労
- むくみ
- 食欲不振
- 強い疲労感
- やる気が出ない
- 理由もなく気分がおちこんだり、いらいらしたりする
- 物事に集中できない
- 不安を感じる
低気圧が続くと、「ヒスタミン」という発痛物質の分泌がいつもより多くなり、片頭痛や肩こりなどがひどくなることがあります。とくに眠気を感じた後に片頭痛が始まることが多い人は、睡眠の質が悪くなっている可能性があるので注意が必要です。
片頭痛前に感じる眠気は時間とともに徐々に無くなっていき、夕方以降はすっきり治ってしまうので、夜になって活動量が多くなる傾向があります。結果、就寝時間が遅くなったり、目が冴えて眠れなくなったりすることで、睡眠のリズムが乱れて質の良い睡眠がとれていない可能性があります。一度、就寝前の習慣を見直してみましょう。
女性は天候の変化を受けやすい
天候の変化で体調不良を感じるのは、女性が圧倒的に多いと言われています。なかでも一番多いのは40代の女性です。
その理由としては、女性は男性より自然にたいする感受性が高いため、より天候影響を受けやすいことがあげられます。また、社会環境の変化でストレスを感じることも多くなっていることも原因の一つと考えられています。
さらに更年期に入って、頭痛やうつ、肩こりなど天候の変化による症状がさらに出やすくなっていることも原因のひとつです。
梅雨の眠気を防ぐ方法とは
梅雨どきに眠気が発生するのは仕方のないことだとしても、生活習慣を変えることで眠気を軽減することができます。質の良い睡眠をとるために、交感神経と副交感神経の入れ替わりがスムーズに働くような生活習慣を取り入れましょう。
規則正しい生活を送る
睡眠の質を上げるためには、就寝時間と起床時間を固定することを心がけましょう。就寝時間と起床時間を体が覚えることで、朝、すっきりと目覚めやすくなります。また、朝一番に日光を浴びることで、体内時計が整い、活発に動くことができるようになります。天気が悪くても、カーテンを開けて部屋を明るくしましょう。
休日だからといって昼過ぎまで寝ていると睡眠のリズムが乱れ、夜、熟睡できません。どうしても眠い場合は、朝食後、30分~1時間程度の仮眠をとると眠気を軽減できます。
運動を積極的に取り入れる
質の高い睡眠をとるには、適度な疲労感が必要になります。昼間は積極的に体を動かすように心がけましょう。バスや電車はできれば一駅歩く、エレベーターやエスカレーターに乗らず、階段を使うなど、通勤・通学時のちょっとした習慣を変えることで運動量は増やすことができます。
仕事や勉強の合間にウォーキングや軽いジョギングをとり入れると、気分転換になり、昼間の眠気も軽減します。
急激な寒暖差、冷えを避ける
梅雨どきは寒暖差が激しく自律神経が乱れがちになるので、疲労を感じやすくなります。また、冷房が効いた部屋や電車にいることも多くなり、冷えを感じることも多くなります。長袖の上着を羽織る、ストールやひざ掛けを利用するなどして寒暖差や冷えから身を守りましょう。
また、暑くて湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温をうまく外に逃がすことができません。適度にエアコンやドライ機能を使用しましょう。
食生活を整える
朝食は毎朝しっかりとることで脳に栄養を送り、活発に動けるようになります。梅雨どきでも暑い日はつい冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎてしまうと、体が冷えて体調を崩す原因になります。できるだけ、しっかり火を通して温めたものを食べるようにしましょう。
また、疲労回復には栄養のバランスのとれた食事が欠かせません。特に、筋肉や体を作り、免疫力を保つタンパク質、エネルギー減になる炭水化物、体の調子を整えるビタミンやミネラルはしっかりとるようにしましょう。
昼寝の習慣を取り入れる
昼食をとった後、どうしても眠くなる場合は15分~30分程度の昼寝を取り入れましょう。軽く目をつむって数分ウトウトするだけでも眠気が軽減されます。
お風呂で心身をリラックスさせる
梅雨の時期は気圧の変化と激しい寒暖差への対応のために、体は疲労してしまいます。お風呂にゆっくりつかると自律神経が整い、安眠につながります。また、湿気が多いと発汗がうまくできないこともあるので、湯船にしっかり使って発汗を促すことも大事です。
お湯の温度は38~40℃のぬるめが最適です。ラベンダーなどのアロマオイルを併用するとリラックス効果が上がります。
寝室の温度、湿度を保つ
寝床に入ってもなかなか寝付けないのは、体の中心部の体温の下がり方がうまくいっていないのかもしれません。眠くなると手足が熱くなりますが、それは体の中心部の熱を手足に発散して中心部の体温を下げようとする働きによるものです。
しかし、寝室の温度と湿度が高すぎると熱の放出がうまくできず、睡眠が浅くなってしまいます。寝室の温度は26℃以下、湿度は50~60%くらいを目安にしましょう。寝ている途中、目が覚めないよう、エアコンなどで睡眠後も3温度、湿度が一定に保たれるように調節する必要があります。
寝具を自分に合ったものに変える
自分が寝心地が良いと感じる状態で眠れるよう、寝具も整える必要があります。質の良い睡眠をとるには、立っているときと同じように背骨がきれいなS字を描いている姿勢で眠るのが理想です。
古くて、へたれているマットレスや、高すぎたり低すぎたりする枕では寝るのに理想的な姿勢が保てないばかりでなく、寝返りがうちにくくなり、質の良い睡眠がとれません。
寝室にスマホを持ち込まない
寝る前に目にスマホやPCなどの強い光を浴びてしまうと、脳が朝だと勘違いしてしまい、深い眠りにつくことができません。また、刺激の強い内容の動画やゲームは脳が覚醒してしまうだけでなく、夢中になるあまり就寝時間が遅くなるので寝不足の原因になります。
漢方薬を取り入れる
東洋医学では、水分が体内で滞って体調不良を起こしている状態を「水毒」とよびます。湿気の多い梅雨時は、体内の水分の流れが滞るので、水毒による症状が出やすい時期です。眠気のほかにも頭痛やめまい、手足の冷え、だるさ、消化器系の不調が見られます。
特に胃腸など消化器系の調子が悪くなると、疲れやすくなり、だるさを感じやすくなります。
水毒を改善する漢方薬には、「沢瀉(たくしゃ)」「茯苓(ぶくりょう)」「朮(じゅつ)」「猪苓(ちょれい)」、「半夏(はんげ)」「陳皮(ちんぴ)」などがあります。利尿や発汗を促す作用や胃にたまった水を長に押し出す作用があり、体内に滞っている水分を体外へ押し出す効果が期待できます。
ちなみに、水毒の症状があらわれている人にはこんな特徴があるので、自分がどれだけ当てはまるかチェックしてみましょう。
- 舌が厚く、舌先に歯の跡がついている
- 雨が降る前に眠気や頭痛、めまいなどが出る
- 雨の日に気分が落ち込みやすい
- PCやスマホを見る時間が長い
- ストレスを感じている
- HSP(人の気持ちや音などの刺激に過敏に反応しやすい)と診断された
- 体に雨の日や冷えで痛む部位がある
眠気や頭痛だけでなく、胃腸の調子が悪い時は漢方医を訪ねてみるのもいいかもしれません。
一時的に眠気を飛ばす方法
睡眠に気を付けてはいても、日によってはどうしても眠気が収まらないこともあります。一時的に眠気を飛ばす方法をあげてみました。
額、こめかみを冷やす
額やこめかみに冷やしたタオルや冷却シートを張ると、目が覚めます。低気圧による頭痛を軽減する効果も期待できます。
カフェインを含む飲み物を飲む
コーヒーを寝る前に飲むと眠れなくなるのはよく知られていますが、緑茶もカフェインを多く含んでいます。とくに玉露はコーヒーに負けないくらいの量のカフェインを含んでいます。昼の休憩時に気分転換を兼ねて、玉露を飲むのもいいかもしれません。
辛い食べ物で眠気を撃退
どうしても昼間の眠気が収まらない場合は、辛い食べ物を食べると目が覚めます。辛みは消化器を刺激することで交感神経が活性化します。トウガラシやコショウの聞いた食べ物を昼食に食べてみるといいでしょう。
トウガラシに含まれるカプサイシンは、脳の集中力や判断力を増す作用がある「アドレナリン」の分泌を活発にすることがわかっています。
おやつは甘いものよりチーズやナッツ
眠気を飛ばしてくれる成分には「ノルアドレナリン」もあります。ノルアドレナリンは自律神経を調整や、集中力をあげるためにも必要です。ノルアドレナリンを出すには、アミノ酸の一種である「チロシン」が必要になります。チロシンを含む食べ物には以下のようなものがあります。
- 大豆製品
- カツオ
- ナチュラルチーズ
- バナナ
- ナッツ類
チロシンには、神経伝達物質を作る役割も担っています。神経伝達物質が作られることにより、脳が活発に働くようになることで披露が軽減する効果も期待できます。
休憩時のおやつは、糖分や糖質の多い甘いお菓子より、チーズやナッツなどを食べて眠気を撃退しましょう。
まとめ
人の体は低気圧が続くと、どうしても眠くなることがわかりました。とくに40代以上の女性は天候の変化で体調を崩しやすいと考えられます。
眠い時は、素直にその場で横になるのが一番ですが、仕事や家事が忙しい場合はそうもいっていられません。普段から充分に睡眠をとり、適度な運動や栄養のバランスのとれた食事を心がけることで、梅雨どきの眠気は改善されます。
できることから少しずつ改善して、梅雨の眠気を乗り切りましょう。