ソファで寝たり机の上に伏せて寝てしまうと、なかなか気持ちよく目覚められませんよね。腰が痛くなったり全身がバキバキだったり。
しっかりと横になって眠ることは、睡眠の質を高めるために必要不可欠です。よい睡眠が取れれば、自然と目覚めもよくなります。
ですが、ちゃんとしたベッドで寝ているのに体が痛むことがあります。
疲労や体調にも左右されますが、もしかしたらそれはマットレスが原因なのかもしれません。
というわけで、今回の記事では寝起きとマットレスの関係について見ていきます。
寝起きに体が痛くなる原因は寝返り
睡眠中は何も動いていないのかというと、そんなことはありません。人は常に快適であろうとしています。そのための無意識の行為が寝返りです。
人間は寝ている間に20回前後の寝返りを打つと言われています。寝返りを打つことで、体にかかった圧力をほぐしています。
では寝返りが打てないとどうなるのでしょうか。そうなると、体の一点に負荷がかかりすぎてしまい、ガチガチになってしまいます。ソファで寝たのと同じような状態ですね。
また、血液の流れも悪くなってしまうので、全身に酸素が行き渡りません。そうなるとリンパの流れも悪くなり、老廃物や細菌類が溜まってしまいます。
その結果、疲労は回復せず体はバキバキ。寝起きの状態は最悪ということに繋がります。
では寝返りをたくさん打てばよいのかというと、そうではありません。寝返りは適度な回数であることが大切です。
寝返りが多い場合
寝返りは意外と筋肉を使うので、寝返りが多いと体への負担がかかりすぎてしまい、眠りが浅くなります。体が大きい方はとくに寝返りの負担も大きくなります。
筋肉に負担がかかると、そのぶん痛みが出ます。筋肉だけでなく関節や背骨にも痛みが出てしまうので、寝返りが多ければよいというものではありません。
強い力で寝返りを打つことによって骨盤がズレることがあります。そうなると肩こりの原因になったり、姿勢の悪さに繋がります。
寝返りを打つときに、大きなエネルギーが必要であるということは、それだけ体も休まりません。せっかくの休息なのに一生懸命に体を使っていたのでは、休まるものも休まりませんよね。
マットレスが固すぎると姿勢が悪くなり、寝返りの回数も多くなります。
寝返りが少ない場合
ずっと同じ姿勢でいると、体が痛くなってしまいますよね。それと同じで、睡眠中も適度に体を動かなければ、起きたときに体が痛くなってしまいます。
寝返りが少ないということは、同じ姿勢でいる時間が長いということなので、体も痛くなります。床ずれも生じやすいです。
寝返りが打てなければ骨盤も曲がり、姿勢が悪くなります。
いくら寝ても疲労は取れず、また姿勢が悪くなることで日中の疲労度も上がってしまいます。
柔らかいマットレスを使っている場合、寝返りが少なくなる傾向にあります。体が沈み込んでしまうので寝返りが打ちにくくなり、回数が減ります。
マットレスによる体圧分散
マットレスには体圧を分散させる目的があります。そうすることで圧力が一点に集中することを避け、血行を促進させています。
寝起きに体が痛くなるのは、この体圧分散がうまくできていない可能性があります。
ベッドに横になった際、もっともよいのは体圧が均一に分散された状態です。
体圧分散がうまくされていれば、圧力が一点に集中しなくなります。すると寝返りを打つときの負担も軽くなるので、筋肉を傷めることもありません。
また血行も促進されるので、リンパの流れもよくなり、目覚めがスッキリします。
体圧分散性に優れたマットレスの場合、正しい寝姿をキープしやすく、腰痛にもなりにくいです。
寝ているときの背骨
立った状態が理想的な寝姿です。
人間は立った状態だと背骨がS字にカーブしてします。これが重要で、実は背骨はカーブしているのが自然です。
合わないマットレスの場合、背骨が真っ直ぐになってしまったり、必要以上に曲がってしまったりするので、腰に負担がかかります。体圧分散もうまくできないので、腰が痛くなったり、血行が悪くなります。
横向きでも、背骨と地面が平行であるのが理想です。
立った状態を想像してください。背骨は大きく左右に曲がったりしていませんよね。多少曲がることはあれど、おおむね真っ直ぐ上に伸びているはずです。
その状態が理想的です。
マットレスに横向きで寝たときに、背骨がぐにゃぐにゃと曲がっていると、正しい圧力がかかりません。
寝ているときは、立った状態と比較して背骨がどうなっているか、という視点で考えるとわかりやすいかと思います。
コイル系? ノンコイル系? どっちが良いの?
コイル系とは、文字通りマットレスの中にコイルが入っているタイプのものです。家具屋さんのベッドに備わっているようなマットレスですね。
ノンコイル系とは、近年売れているマットレスで、中の素材がウレタンやファイバーでできているもののことを指します。
寝心地に関しては、そこまで大きな差はないので、好みのものを選ぶとよいでしょう。
コイル系のメリット
- 耐久性が高く、長く使えるものが多い
- 高価なものは寝心地が抜群
- ノンコイル系のマットレスと比較すると、クリーニング代が安い
高い物であれば寝心地は抜群で、高級品の多くがコイル系のマットレスです。
コイルなので体圧分散も申し分ありません。ふかふかでとても気持ちがよく、きれいな寝姿が保てます。
ホテルでよく使われるのはコイル系です。
寝心地を重視するのであれば、圧倒的にコイル系がおすすめ。
ノンコイル系のメリット
- 比較的安価でコストパフォーマンスが高い
- ファイバー系の素材であれば、自宅でのお手入れが簡単
- 様々な素材があるので、好みのものを探しやすい
- 薄めのマットレスが多いので、部屋を軽く見せたい場合に重宝
「寝心地は改善したいけど、高すぎるのはちょっと…」という方におすすめなのがノンコイル系マットレス。
コイル系のマットレスが万人向けなのに対し、ノンコイル系は個人によって合う合わないがあります。ですが、合うマットレスが見つかれば、比較的お金をかけずに快適に過ごすことができます。
さらに、コイル系のマットレスですと、その構造上どうしても厚みが出てしまい、部屋が重くなりがちです。
ですがノンコイル系の場合は厚さが薄いので、お部屋のコーディネートがしやすいです。ローベッドと組み合わせれば、お部屋が軽い印象になります。
ロフトベッドや二段ベッドで使う場合、ノンコイル系の薄いマットレスはとても便利です。マットレスに厚みがあると、サイドガードが機能せずに落下する危険性もあります。
また、ノンコイル系のマットレスには低反発や高反発といった特徴があります。
ノンコイル系のマットレスの素材について
- 高反発ウレタン
- 高反発ファイバー
- 低反発ウレタン
- ラテックス
大きく分けてこの4つです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
高反発ウレタン
- 若干硬めで弾力性がある
- コストパフォーマンスが高い
- 薄めのものが多い
- 基本的に通気性はイマイチだが、表面が加工されているものは通気性がよい
- 高弾力ウレタンは比較的寝心地がよい
ウレタンとはポリウレタンの略で、プラスチックの一種です。
マットレスに使われているのは軟質ウレタンフォームで、高反発でも低反発でも同じ素材が使われています。加工の違いによって低反発と高反発に分かれています。
持ち運びが手軽なので、引っ越しが多い方におすすめです。折りたためるタイプのものもあるので、収納もラクラク。
高反発ファイバー
- 水洗いができる
- 通気性は抜群なので、カビに強い
- アスリートが好んで使う
- 弾力性は硬め
- 素材はポリエチレン製の樹脂
高反発ファイバーのマットレスといえば、エアウィーヴです。
私も使っているのですが、寝心地がよくてお手入れも簡単なので、とても重宝しています。中身は繊維状のものが絡み合って構成されているので、通気性も水はけも抜群。お風呂場で洗って日陰で干すだけでおしまい。とてもお手軽です。
体系の大きい方や、筋肉量が多い方におすすめです。
ラテックス
- 硬さは低反発と高反発の中間
- 薄くて弾力性がある
- 重い
- カビ、ダニに強い
- 天然素材を使用しているので、比較的高価
- 寝心地は最もよい
ラテックスとは天然ゴムの一種です。一般的にゴムというと、化学材料で生成されたものをいいますが、ラテックスは天然ゴムと呼ばれています。
天然素材100パーセントのものは高価ですが、ラテックスの中ではもっとも耐久性に優れています。
低反発も高反発もイマイチだったという方は、一度試してみるとよいかもしれません。
低反発ウレタン
- すこし柔らかめで弾力性も控えめ
- 体圧分散性に優れている
- 反発が弱く、体が沈み込むので寝返りが打ちにくい場合がある
- 高反発ウレタン同様、通気性はイマイチ
- 寝心地はふんわりと柔らかい
触っていて気持ちがよいのが低反発ウレタンの特徴です。体全体を包み込むようにフィットします。
身体が小さい方や、体重の軽い方であれば沈み込み過ぎず、丁度よく反発します。
ですが、比較的体重が重かったり体が大きかったりすると、体が沈み過ぎてしまうので、腰痛の原因になってしまうので注意が必要です。
マットレスは低反発と高反発、どっち?
結論から言うと、体重約45キログラム以上の方は高反発、それ以下の方は低反発がおすすめです。
正しい寝姿をキープするためには、ある程度体がマットレスに沈み込む必要があります。ある程度、という部分がポイントで、沈み過ぎてもよくないし、沈まなさ過ぎてもダメ、ということです。
マットレスの反発に対して体重が軽すぎると、マットレスに体が沈まず、背骨の状態が悪くなります。背骨が不自然な曲がり方をしていると、体に負担がかかってしまい、睡眠の質も下がりやすいです。
また、一点に圧力がかかり過ぎることで体が不快感をおぼえやすく、寝返り回数の増加に繋がります。
逆にマットレスの反発に対して体重が重すぎると、マットレスに体が沈み過ぎてしまいます。寝返りが打ちにくいので回数が減ってしまい、寝起きの不快感につながります。
寝返りを打つときにも力が入りやすく、眠りが浅くなりがちです。
たとえば、人をダメにするクッションは心地よいのですが、動きにくいですよね。それと似たようなものです。
自分に合ったマットレスを選ぼう
高反発だからよい、低反発だから悪い、ということではなく、しっかりと自分の体系に合ったマットレスを探すことがとても大切です。
私の体重は約65キロなのですが、低反発のマットレスだと沈み過ぎてしまい、腰が痛くなりました。体重が55キロだった頃はそこまで不快感を感じませんでした。
ただし、薄すぎるマットレスはおすすめしません。
理由は単純で、床の硬さを感じてしまう可能性があるからです。これは「底つき感」といわれ、一点に圧力がかかっている状態です。
その状態を避けるためにも、ある程度厚みのあるマットレスを使いましょう。
どのマットレスが自分に合っているのか確かめるために、最初は安価なマットレスから購入するのがよいと思います。
「自分は体重が軽いから低反発で」と思っていても、意外と合わないなと感じることはあります。
我慢して使い続けるのも本末転倒ですし、自分の好みが分かってから高価なマットレスを購入しても遅くはありません。
まとめ
寝起きは一日の始まりです。気持ちよく一日を過ごすためにも、寝起きの気分は爽快でありたいですよね。
日中のパフォーマンスを最高のものにするためにも、心地のよい睡眠は必須です。
そのためにも、自分に合ったマットレスを選ぶようにしましょう。
わかりやすいように、今回の内容を簡単にまとめました。
- 寝起きの不快感は寝返りの回数が原因
- 回数は多くても少なくてもダメ
- 体圧分散性に優れたマットレスを使う
- 背骨の状態は、立った状態が理想
- コイル系とノンコイル系がある
- コイル系は寝心地が良いが、高くて高価でお手入れが大変
- ノンコイル系は安くてお手入れが手軽だが個人差がある
- 快適さは体重や体系によって変わる
- 自分に合ったものが見つけられれば、ノンコイル系はとてもよい
よりよい睡眠を心がけましょう。