「うつ伏せ寝って身体に悪いの?」
「普段からうつ伏せ寝をしているけど、身体の節々が痛い気がする…」
「どんな寝方が一番いいのか知りたい」
こんなお悩みはありませんか?
うつ伏せ寝とは、身体の前面(おなか側)を下にして寝る姿勢のことです。
自分に合った寝方を知らないことで、身体に不調を感じる方が少なくありません。
この記事では、うつ伏せ寝のメリット、デメリットに加えて、うつ伏せ寝以外の寝方の紹介や、お悩み別のおすすめの寝方を紹介します。それぞれの寝方を正しく理解して、ぜひ、快適な睡眠を手に入れてください。
1. うつ伏せ寝のメリット3選
まず、うつ伏せ寝には、呼吸がしやすくいびきをかきにくい、そして精神的に安心するといったメリットがあります。
①呼吸のしやすさ
うつ伏せで寝ると、舌が重力で落ち込むことによる気道の妨げがありません。また、胸部が圧迫されることで、横隔膜が下がり、腹式呼吸がしやすくなります。そのため、息が気道を通りやすくなり、呼吸がしやすい寝方です。病院や介護施設でも、呼吸を楽にするためにうつ伏せ寝を取り入れることがあるとのこと。「寝るときに息苦しく感じる」というお悩みがある方は、うつ伏せ寝を取り入れることで改善した方も多いかもしれませんね。
②いびきの軽減
そもそもいびきの原因とは、気道が狭くなった状態で息を吸うことによって、狭くなった部分を息が通過し、のどが振動して音が出ることです。うつ伏せ寝では、舌が気道を狭めることがないため、いびきをかきにくくなります。
③精神的な安心感
犬はうつ伏せで寝ますが、これは本能的に弱点であるおなか(内臓)を隠すためです。人間も同じで、体の前面を下にして寝ることで、「おなかの下に何かがある」という理由で安心できる場合が多いでしょう。また、おなかが温められることによっても、リラックスした睡眠や、安心感につながります。
2. うつ伏せ寝のデメリット8選
うつ伏せ寝にはメリットもありますが、実はデメリットの多い寝方です。身体の各部位(首、肩、腰、顎など)への負担が大きく、また、肌荒れやむくみといったトラブルにもつながりやすくなります。うつ伏せ寝をしていて身体の痛みなどの不調がある場合は、これらが原因になっているかもしれないため、しっかり理解するようにしましょう。
①呼吸への悪影響(息苦しさ、窒息)
顔を下に向けていると、気道が広がるため息がしやすいと考える人もいるいっぽう、枕などの寝具で、鼻や口などの呼吸器が塞がって、呼吸がしづらいと考える人もいます。最悪の場合は窒息してしまう恐れもゼロではありません。
特に、育児中の方は、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを下げるために、赤ちゃんを仰向けに寝かせることを意識している方も多いでしょう。寝返りをはじめた赤ちゃんであれば、仰向けに寝かせても、すぐにうつ伏せになってしまうことがあります。ただし、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高いのは、普段仰向けで寝ている低月齢の赤ちゃんがたまたまうつ伏せになってしまった場合であって、自分でスムーズに寝返りができるようになった赤ちゃんは、必ずしも仰向けになおしてあげる必要はありません。
②首への悪影響(首の痛み、凝り)
うつ伏せ寝をするとき、顔を真下に向けて寝ると息苦しいため、左右どちらかを向いて寝ることが多いでしょう。
このとき、首がひねられた状態になっており、医学的には「回旋(かいせん)」という動きが入っていることになります。この回旋という動きが入ると、骨付近に無数にある神経が骨と一緒にひねられ、圧迫されることになり、首と神経にかかる負担は少なくありません。
これが原因で、朝起きた時に首に痛みを感じたり、凝りを感じたりすることがあります。
③肩への悪影響(肩こり)
首の筋肉と肩の筋肉はつながっているため、首への負担が大きいうつ伏せ寝は、肩にも負担をかける姿勢です。肩への負担が原因となって、肩こりになったり、肩が痛んだりする場合があります。
④腰への悪影響(反り腰、腰痛)
うつ伏せで寝るときは、足を伸ばす体勢になることが多いですよね。この体勢を長時間つづけると、腰回りのインナーマッスル(深部にある筋肉)が伸びたままになるため、起きているときも反り腰になりやすく、腰痛につながることがあります。
⑤肌への悪影響(肌荒れ、シワ)
人は寝ている間にコップ一杯分の汗をかくと言われており、その汗は枕にも染み込んでいます。汗による水分や皮脂汚れがたまった枕に、ダニや雑菌が繁殖することは、想像に難くないでしょう。
そのような枕に長時間顔をあてることで、ニキビなどの肌荒れの原因になります。
また、枕に顔を押しあてて頬を圧迫することは、顔の皮膚の皮下脂肪がかたよる原因です。皮下脂肪がかたよることで、シワやたるみにつながるでしょう。
⑥体への悪影響(むくみ)
うつ伏せ寝の体勢は、胸部を圧迫し、リンパの流れを妨げるため、むくみにつながりやすくなります。
特に、顔を下に向けて寝ることで、顔に水分がたまりやすく、その結果むくみやすくなるのがまぶたです。
⑦顎への悪影響(歯並び、顎関節症)
成人の頭の重さは、約4〜6kgと言われており、体重の約10%を占めるものです。顔を下に向けた状態で寝ることで、頭の重さで顔を押しつぶすことになるため、歯並びや輪郭といった顔の歪みにつながります。
顔の歪みが悪化すると、身体に対する頭の位置がずれはじめ、偏頭痛や不眠につながる場合もあるため、気をつけなければなりません。
また、歯並びの悪さは、「顎関節症(がくかんせつしょう)」といって、顎に痛みを感じる症状にもつながります。
⑧衛生面の悪影響(枕の汚れやすさ)
うつ伏せで寝ると、口の中の唾液が枕に付着しやすいため、仰向けの場合と比べて汚れやすくなります。清潔に保つためには、枕を頻繁に洗う必要があるでしょう。
3. うつ伏せ寝以外の寝方
うつ伏せ寝にはメリットもありますが、デメリットも多いことを理解していただけたでしょうか。うつ伏せ寝のデメリットが気になり、「では、うつ伏せ寝以外なら、どのような寝方を取り入れればよいのだろう?」とお考えの方に向けて、それぞれの寝方を解説します。
①仰向け寝
まず、仰向け寝は最もポピュラーで、身体を休めるには理想的な寝方といわれることが多いです。ただし、いびきや反り腰でお悩みの方には向かない場合もあるなど、全員にとって理想的とは断定できません。
■メリット①立ち姿勢をキープしやすい
一般的に、理想的な寝姿勢と言われている、立っているときの背骨のS字カーブを保ったままの姿勢で寝ることができるため、腰に負担がかかりにくいです。
■メリット②体圧分散がしやすい
マットレスに接する面積が広いため、体重による圧力も体全体に分散しやすく、身体のそれぞれの部位にかかる負担も小さく、疲れにくくなります。
■メリット③体液が循環しやすい
手足を自由に動かしやすい姿勢のため、体液が循環しやすく、筋肉が凝りにくいです。筋肉をほぐすことは、猫背の改善や防止にも役立ちます。
■デメリット①舌の落ち込みで気道を狭めやすい
うつ伏せ寝の逆で、舌が重力で落ち込むことによって気道を狭めやすいため、息がしづらかったり、いびきをかきやすくなったりします。
■デメリット②尾てい骨を圧迫しやすい
尾てい骨がマットレスで圧迫され痛くなったり、反り腰の人は腰への負担が大きくなりやすいです。
②横向き寝(右向き寝、左向き寝)
次に、横向き寝は、呼吸がしやすかったり腰痛がやわらいだりといったメリットがありますが、身体がゆがんだり、血流が悪くなったりするデメリットもあります。
■メリット①呼吸がしやすい
うつ伏せ寝とおなじで、舌によって気道が狭まることがないため、呼吸がしやすく、いびきもかきにくいです。
■メリット②腰に負担がかかりにくい
横向きだと、腰の角度を自由に調整できるため、少し腰を曲げて、自分の負担のかかりにくい角度で寝ることができます。特に、腰痛でお悩みの方には、足の間にクッションを挟んで横向きに寝ることがおすすめされやすいです。
■メリット③消化作用を促進しやすい
横向き寝は、胃や膵臓などの消化器官への負担を減らし、消化作用を促進しやすいという説がある寝姿勢です。また、胃の構造から、左側を下にして寝ることで、胃酸が食道に逆流することを防ぎ、臓器に負担がかかりにくいと言われることもあります。
■デメリット①身体の片側に負担がかかりやすい
身体の片側の、特に体圧がかかりやすい腰や肩への負担が大きく、腰痛や肩こりにつながりやすいでしょう。
■デメリット②身体がゆがみやすい
背骨に対して首が地面の方に落ちていることで、下にしている肩が内側に押しこまれる形になり、巻き肩になるなど、身体のゆがみやすい寝姿勢です。
■デメリット③血流が悪くなりやすい
身体とマットレスの接する面積が小さいことから、血流が悪くなりやすく、筋肉がこったり、冷えの原因になったりします。
③半うつ伏せ寝
「うつ伏せ寝に慣れてしまい、仰向けや横向きでは寝つけない」という方には、半うつ伏せ寝がおすすめです。半うつ伏せ寝とは、抱き枕などをかかえ、斜め下を向く形で寝る姿勢のことを指します。
「おなかの下に何かがある」という安心感を保ったまま、首のひねりを小さくできるため、うつ伏せ寝よりは、首や肩の痛みを軽減することができるでしょう。
4. お悩み別のおすすめの寝方
では、最後に、すでに睡眠に関するお悩みをお持ちの方に向けて、おすすめの寝方を解説します。この寝方が必ずしも正解というわけではありませんが、お悩みを改善できそうであれば、取り入れてみてください。
①腰痛がある方におすすめの寝方
腰痛がある方には、仰向け寝、または横向き寝がおすすめです。
仰向けの場合は、足の下にクッションを置くなどして、足の位置を高くすること。横向きの場合は、体を少し丸めて膝を曲げ、足の間にクッションを挟んで寝ることが、腰痛の軽減には効果的でしょう。
②肩こりがある方におすすめの寝方
肩こりがある方には、仰向け寝がおすすめです。
肩周りの筋肉をゆるませ、血流をよくすることができます。
横向き寝やうつ伏せ寝は、肩に負担のかかりやすい寝姿勢のため、肩こりを治したい場合は選択すべきではありません。
③いびきをかく方におすすめの寝方
いびきが気になる方には、横向き寝がおすすめです。仰向け寝だと、舌の落ち込みによって気道が狭くなり、いびきをかきやすくなってしまいます。横向き寝とうつ伏せ寝では、横向き寝の方が身体への負担が少ないため、横向き寝を選択するとよいでしょう。
もし、より身体への負担を少なくするために仰向けで寝たいという場合は、高さのある枕を使って頭の位置を高くすることで、気道が広くなり、いびきもかきにくくなります。
5. まとめ
うつ伏せ寝のメリット、デメリットや、うつ伏せ寝以外の寝方、さらにお悩み別のおすすめの寝方をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
うつ伏せ寝には、呼吸がしやすく安心感を得られやすいといったメリットがある一方、身体の各部位への負担が大きく、衛生面も含めデメリットの多い寝方であることがわかっていただけたと思います。
うつ伏せ寝に慣れてしまっている人は、まずは半うつ伏せ寝から取り入れてみて、なるべく仰向け寝や横向き寝に移行していただけると、身体への負担を減らせてよいのではないでしょうか。
あなたのお悩みを解決できる寝方をみつけて、快適な睡眠を手に入れられることを願っています。