朝スッキリ起きられない…..
日中に眠くなって仕事・勉強に集中できない…..
しっかり寝ているはずなのに疲れが取れない……
こういった悩みを抱えている人は、「睡眠周期」を見直すことで解決できるかもしれません。
睡眠周期は生体リズムの一つで、身体に本来備わっている体内時計によって支配されています。
しかし、この睡眠周期は生活習慣で乱れやすいため、うまく睡眠を取れていない人はこのリズムが狂っている可能性が。
今回は睡眠周期や元となる体内時計について解説。乱れがちな睡眠周期の整え方も紹介していますので、睡眠の質を改善したい方はぜひ参考にしてください。
睡眠周期とは?
睡眠周期は「睡眠サイクル」とも呼ばれ「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2つの周期的なサイクルを指します。
この2つが、睡眠中にだいたい90分の間隔で交互に訪れています。
質が高い睡眠をとるためには、この二つがバランスよく訪れ、脳と身体両方がしっかり休まっている状態にしなければなりません。
「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」にはそれぞれ違った特徴と役割があります。質の良い睡眠のためには、この2つの違いをしっかり理解しておきましょう。
ノンレム睡眠
ノンレム睡眠は「大脳と身体を休ませる」時間です。
脳は一日中活動し続け、とても疲弊しています。この疲弊した脳を癒すためには、深い睡眠が不可欠です。
ノンレム睡眠の間は体の力が抜けて、大脳の働きも弱まり休息する時間に入ります。
ノンレム睡眠には深さの段階が3〜4段階あり、それぞれ休める脳の部分が違ってきます。そのため、深い睡眠ができれば、脳の隅々まで休息できるといえます。
また、近年最も深い4段階目の眠りに成長ホルモンが分泌されていることが明らかになってきています。
成長ホルモンは傷ついた細胞を修復するなど、身体にさまざまな作用を及ぼすため、質の良い睡眠の確保が大切です。
ノンレム睡眠は脳が発達するにつれ、時間が増えると言われています。
胎児ではレム睡眠の時間が7割を占めていますが、5歳ほどになると全体の20%にとどまります。
これは成長するにつれて脳を使う場面が増え、疲労も溜まるようになり、それに従って休息が必要になってくるためです。
レム睡眠
ノンレム睡眠が「身体と脳」の両方を休息させる時間に対し、レム睡眠は身体は休まっている状態でも、脳は覚醒しています。夢を見るのもこのタイミングです。
ノンレム睡眠が深い睡眠に対して、レム睡眠は浅い睡眠なので、このタイミングで起床できれば、すっきりとした感覚で起きられます。
また、レム睡眠は日中起きたことを脳の中で整理し、記憶の定着を促す時間です。
短い昼寝はこのレム睡眠が大半と言われているので、仕事や勉強の合間に休憩を取ると、レム睡眠によって、覚えたことがより脳に定着されます。
睡眠サイクルは90分単位とは限らず個人差も
レム睡眠とノンレム睡眠の間隔はおよそ90分で、起きた時に目覚めが良いレム睡眠の後半に目覚めることが理想です。
それならば、90分の倍数で睡眠時間を取れば良いのでは?となりますが、一概にそうとは言えません。
周期には個人差がある上に、生活習慣の様々な要因によって変化しやすいので、なかなか理論通りに正確ではないところが厄介なところです。
年齢によって最適な時間が変わることも
また、年齢によって睡眠時間が変化してくることも、数々の論文で報告されています。
10歳以下は8〜9時間、15歳になると約8時間、25歳付近で約7時間と1時間短くなり、45歳を超えると約6.5時間、65歳で6時間ほどになると言われています。
老人だから朝早起きになる、というわけではなく、45歳を超えてから徐々に睡眠時間が短くなってきます。
また、歳をとると睡眠が浅くなってくるというデータも。そのため、尿意や物音で起きやすくなってしまい、歳をとって長い時間眠れなくなってしまった、ということもよくあるそうです。
人によっては季節によって睡眠時間が変わることも
さらに季節によっても、睡眠時間が変化することがあります。これは日照時間の変化に伴っていると言われており、秋から冬の日が短い季節には睡眠時間が長くなり、春から夏の日が長くなる季節には、それに伴い睡眠時間が短くなります。よく冬になると眠くなると感じる人は気のせいではなく、季節性によるものだと熟知しておいた方が良いでしょう。
朝が強い、夜が強いは実は生まれつき
よく朝が強い人や夜行性だ、という人もいますよね。朝起きられないのはその人の性格や、やる気のなさと捉えられる場面もありますが、一概にはそういえず、生まれつきの修正だということもわかってきました。これは体内時計の機能に関係した遺伝性のものであり、どうにも努力だけでは克服できない側面もあるようです。
起床・就寝時間よりも睡眠直後の3〜4時間の睡眠の質を高める
様々な要因で90分の間隔から外れやすい睡眠サイクル。あまり90分にこだわりすぎるのもかえって神経質になってしまい、睡眠の質に悪影響になる可能性も。
大事なことは睡眠時間よりも、寝始めの3〜4時間の睡眠の質をどう高めるかにかかっています。
睡眠欲求と覚醒力
レム睡眠、ノンレム睡眠に加えて、睡眠と覚醒のリズムも頭に入れておきたいポイントです。
私たちは毎日同じような時間に起き、同じような時間に眠りにつきます。
これは日中受けた疲労を睡眠によって癒そうとする「睡眠欲求」と、人間の体に備わっている「体内時計」によってもたらされる「覚醒力」によるものです。
この2つがバランスよく作用することで、私たちは同じような睡眠時間を確保することができています。
この2つの力も、睡眠サイクルと同様に日中の生活習慣が大きく影響しています。
基本的に日中長い時間起きていれば睡眠欲求が強くなり、普段寝付きが悪い人でもすぐに入眠でき、深い眠りに入ることができます。
また、覚醒力は体内時計によって支配されているため、生活習慣などで体内時計が狂うと、朝起きなければいけない時間に覚醒力がうまく発揮できない可能性があります。
睡眠周期などの生体リズムを支配する「体内時計」
良い眠りをもたらす睡眠サイクルも、起きるための覚醒力も、全ては人間が元来持っている「体内時計」によって支配されています。この体内時計がうまく働くことで睡眠サイクルなどの「生体リズム」が作られています。
体内時計にはさまざまあると言われていますが、私たちが生活する上で一番密接に関わりがあるものは「概日リズム(サーカディアンリズム)」と呼ばれるリズムです。
これは地球の自転に由来している約24時間周期のものですが、人間の体内時計はこれより1時間長い25時間と言われています。
1時間ずれているままでは人間は生活できないため、私たちは様々な方法でこの時間のずれをリセットしています。その代表的なものが朝日を浴びるなど光によるリセット方法です。
朝の光に含まれている成分が体内時計を早めることにより、24時間周期に合わせています。
しかし、現代では夜中でも光を浴びる機会が増えてしまいました。
スマートフォンやパソコンの光はその代表的なものです。
また、強過ぎる室内照明も光が強過ぎると言われ、こういった様々な要因で体内時計は1時間、2時間とずれていってしまいます。
それだけでなく、日中の生活リズムが乱れることも、体内時計を狂わせる要因になります。たとえば睡眠不足が続いたり、食事の時間がまちまちだと、健康面の様々なところで悪影響を及ぼします。
睡眠周期を整えるための方法
では、体内時計(睡眠周期)を整えるためにはどうしたらよいでしょうか?ここでは日常に取り入れやすい方法を6つ紹介します。
光で体内時計と整える
光は体内時計を24時間に合わせる作用があります。
特に朝浴びる光は後ろにずれてしまう体内時計を早める作用が大きく、朝浴びないまま1日を過ごすと、リセットされずにズルズルと後ろ倒しになってしまうため、様々な不調が出てきます。
起きたらまずカーテンを開けて、朝の光をいっぱいに浴びましょう。外に出て軽い散歩に出かけるのも効果的です。
深夜のスマートフォンを控える
光には体内時計を早める力があるため、朝浴びることはとても効果的ですが、逆に夜に浴びてしまうと体内時計を狂わせてしまうため注意が必要です。
スマートフォンなどの液晶の光を寝る直前まで見ている人も多いと思います。しかし、夜にスマートフォンの操作をすると体内時計が乱れてしまうため、なるべく控えることが重要です。
週末の寝だめをしない
平日は仕事のために早く起きるのに対し、休日は溜まった疲れを回復しようと昼過ぎまで寝ている….なんてことはありませんか?
こういった平日と休日にリズムのズレが生じている状態を「ソーシャル・ジェットラグ」といいます。
ジェットラグは、日本語訳だといわゆる時差ぼけ。
つまり平日と休日にリズムの差がありすぎて時差ぼけのようになってしまっている状態を表しています。
時差ぼけのイメージは、昼の活動期に眠くなったり、夜の寝なければいけないタイミングで目が冴えてしまうといった状態ではないでしょうか。まさにこの状態が、平日と休日の”
時差”によって引き起こされてしまいます。
休日の朝寝坊は平日の活動効率を極端に下げてしまう可能性があります。研究結果によっては週明け前半まで疲労感が続くといった報告まで。
この「ソーシャル・ジェットラグ」に陥らないためには、遅くても平日起きる2時間以内には起きるようにしましょう。もし日中に眠くなるようでしたら、思い切って1〜2時間の昼寝をとってしまってもOKです。頭も冴えてその後の活動も行動的になります。
朝起きる時間を一定に
「早寝早起き」という言葉がありますが、実際の順番としては「早起き・早寝」からはじめると良いとされています。
夜遅い時間まで起きている人は体内時計が遅い時間にセットされてしまっています。
これをリセットするためには、先述した朝の光を浴びることが重要です。この朝浴びる光の力を使って体内時計をリセットする方が、早く寝ることより楽に睡眠時間を調整できます。この現象を「光位相反応」と呼びます。
食事をする
朝の光は脳にある「主時計」とよばれる体内時計を動かしますが、臓器などにある「副時計」と呼ばれる体内時計は、朝に摂る食事で動くことがわかってきました。
また、朝日を浴びて脳の体内時計をリセットするタイミングと、食事をして臓器などの体内時計をリセットするタイミングを合わせることが重要とされています。
そうでなければ、脳と臓器の体内時計のリズムが合わず、結果的に生体リズムの乱れにつながってしまいます。
仕事が忙しいからと朝食を抜いてしまう人も多いのではないでしょうか?体内時計をリセットするためにも、朝食を摂るなどルーティーンを見直してみましょう。
おふろに浸かる
朝の生活習慣の見直しも大切ですが、夜寝るまでのルーティンも見直してみることで、より質の良い睡眠時間の確保が望めます。
睡眠導入として効果的なのは体温を一度あげて、入眠のタイミングで下がるよう調節すること。
人間の身体は体温が下がるタイミングで眠くなり、この落差が大きいほど眠りにつきやすいと言われています。そのため、お風呂にゆっくり浸かって身体の芯から温め、体温を上げておくことでよりスムーズに入眠できます。
あまり熱い温度だと逆に体が覚醒してしまうため、38℃程度のお風呂に30分ほど時間をかけて浸かることがおすすめです。
まとめ
今回は睡眠の質を左右する「睡眠周期」について解説しました。
「レム睡眠・ノンレム睡眠」はどちらも私たちにとってとても大切な睡眠周期であり、リズムよく繰り返されることで心身の疲れを取ることができます。
そして、大元となる体内時計についても詳しく解説しました。私たちが健康に生活するためには体内時計のケアは欠かせません。
リズムが乱れているなと感じたら、今回の記事を参考に改善方法を実践してみてくださいね。