どうも最近眠りが浅くて疲れがとれない、肩こりがひどいという場合は寝具に問題があるかもしれません。マットレスも大事ですが、枕が体の不調の原因になることもあります。
自分に合わない枕を使い続けていると、質の良い睡眠がとれません。質の良い睡眠が取れないと仕事中に居眠りをしたり、集中力がなくなったりして生活に悪影響を及ぼす可能性出てきます。
今回は自分に合った枕の選び方について徹底解説します。

そもそもなぜ枕が必要なのか
人の体は横から見るとS字カーブを描いています。よって、背中を壁に着けると首や背中に隙間が生まれます。安定した睡眠をとるためには、寝ている間も体のS字カーブを保つことが大事です。
枕は体と寝具の隙間を埋めることで、寝ている状態でも立っているときと同様の自然なS字カーブをキープする役割を果たしています。自分に合った枕は寝るときに首と頭を安定させ、首と背中の自然なS字カーブを保つことで質の良い睡眠に繋げることができるのです。
合わない枕を使い続けるとどうなるのか
自分に合わない枕を使い続けると体に余計な負担がかかり、深い睡眠がとれなかったり、体に痛みが出てきたりすることが考えられます。
例えば、高すぎる枕を使用し続けていると首筋が圧迫されて呼吸が充分にできなくなるので、深い睡眠がとれません。
合わない枕で起こる症状とは
合わない枕は睡眠が浅くなるだけでなく、以下のような症状を引き起こすことがあります。
- 頭痛
- 肩こり・首こり
- ストレートネック
頭痛
合わない枕が原因でおこる頭痛の多くは「緊張型頭痛」が多くなります。緊張型頭痛は、こめかみ周辺の締め付けられるような痛みが特徴です。
緊張型頭痛は首の後の筋肉がこることで発生します。高すぎる枕で寝続けることで首に負担がかかり、筋肉がこってしまうのが原因です。
肩こり・首こり
「こり」の原因は血行不良です。本来は血流にのって取り除かれるはずの疲労物質が、血行不良によって同じ場所にとどまり続けることで痛みや不快感が生じます。
首こりは、首に負担がかかり続けることで症状が出ます。肩こりは肩に余計な負担がかかり続けたり、肩甲骨が開いた状態が長時間続いたりすることが原因です。
コンピューターやスマホを長時間見続けることで肩や首がこることは、よく知られていますが、枕が合わないことも原因になることがあります。
首は頭をしっかり支えることができるよう、弓なりのカーブを描いています。しかし、高すぎる枕を使用していると、カーブの形が崩れてしまいます。そうなると首や肩の筋肉が硬くなり、肩こりや首こりの原因になります。
また、寝ているときに不自然な姿勢で寝ていることや、枕の高さが合わなくて寝返りが十分に打てていないことも原因になります。
特にうつ伏せで寝ている場合は、首が不自然な方向に曲がってしまうこともあります。そうなると、さらに首に負担がかかり、こりが悪化する可能性否定できません。仰向けで寝つけない場合は、枕が合っていないことも考えられます。
ストレートネック
ストレートネックは、本来カーブを描いている頚椎がまっすぐの状態になってしまっている状態です。頭部の重心が前に偏ることで、頭を支える筋肉に負担がかかることが原因です。スマホの長時間使用で知られるようになった症状ですが、体に合わない枕が原因になることもあります。
たとえば、高すぎる枕で寝ていると、本来カーブを描いているはずの頚椎が不自然にまっすぐに変形してしまう可能性があります。また、硬くて頭が沈まないタイプの枕を使用している場合も首に負担をかけることで、ストレートネックの原因になることがあるので注意が必要です。
ストレートネックは頭痛や肩、首のこりの原因にもなります。一度なってしまうと、元の形に戻すのが難しい症状です。スマホの使用時間を見直すとともに、枕も合わないものを使っていないかチェックしましょう。
経年劣化した枕は要注意
枕は長年使用し続けていると劣化して、高さがなくなることで体に合わなくなってきます。また、素材によっては雑菌やダニが繁殖して、思わぬ健康被害をもたらすこともあります。枕は数年ごとに取り換えるのがおすすめです。
枕は素材によって使用期間が異なる
枕は使用する素材によって耐用年数が異なります。素材による平均的な寿命は以下のようになります。
枕の素材 | 平均的な寿命 |
そばがら | 約1〜2年 |
低反発ウレタン | 約3~5年 |
高反発ウレタン | 約3~5年 |
パイプ | 約3~5年 |
羽毛 | 約2~3年 |
羽根 | 約2~3年 |
ポリエステルわた | 約1~3年 |
ファイバー | 約2~5年 |
全体的に、意外と短いと思った方は多いのではないでしょうか。普段の使い方や手入れの頻度により寿命は異なります。寝心地が悪いと感じたり、体の一部に痛みなどの症状が出たりしたら買い替えのサインです。
自分に合う枕を探すコツとは
どんな枕が合うかは、人それぞれです。体型や寝るときの姿勢、寝具の状態、個人の好みによって大きく違ってきます。
枕の理想の高さを知ろう
枕の最適な高さは、体型や寝るときの姿勢、寝具の硬さとの兼ね合いなど、様々な要素から考慮する必要があります。枕を購入する前に、必ずいつも自宅で使用している寝具に寝て高さを測りましょう。自宅で枕の高さを測る場合は、バスタオルを使用すると便利です。
理想の枕の高さを測る方法
①バスタオルを何枚か用意します
②バスタオルを枕のように折りたたんで寝具に置き、その上に頭を載せて寝る
③バスタオルに頭を載せた状態で、
- 体が立っているときと同じ自然なS字状態になっているか
- 額からあごまでの傾斜が5度になっているか
の2点を確認する
寝返りの打ちやすさを確認する
枕を選ぶときは、高さだけでなく寝返りの打ちやすさも重要になります。人は寝ている間に20回ほど寝返りを打っています。その理由は、血行不良の予防や負担が体の一か所に集中することを防ぐためです。
枕が小さすぎると、寝返りを打った時に頭が枕から外れてしまい、姿勢が崩れてしまいます。枕の最適な大きさは、成人の頭が3人分収まる程度です。横幅が60cm以上あれば、ほぼ問題なく寝返りが打てます。横幅に余裕のあるものを選びましょう。
形はフラットなほうが寝返りを打ちやすくなります。中央が大きく窪んでいるタイプ、中の素材が動きやすいもの、頭が沈み込んでしまうほど柔らかい素材を使用しているものは、寝返りが打ちにくいので要注意です。
呼吸が楽にできるか
呼吸が苦しいと深い睡眠がとれません。枕の硬さは個人の好みにも大きく左右されますが、呼吸のしやすさにも気を配る必要があります。枕の硬さは、詰め物の素材により違いがあります。
枕に頭を載せて、胸を大きく開いて呼吸してみましょう。呼吸がしにくいようであれば、枕が硬すぎる可能性があります。
寝るときの姿勢を確認
寝るときの姿勢も枕の大きさや高さを決める上で大事な要素になります。自分が普段、どんな姿勢で寝ているかを確認しましょう。
仰向け
頭を載せているだけでは首に隙間ができて、負荷が大きくなります。後頭部から首筋にかけて支えられる大きさの枕が理想です。
横向き
肩に重みがかかりやすいので注意が必要です。首筋と頭に隙間がないか、肩まで枕が届いているかを確認する必要があります。肩に重みが集中している場合は枕を変えたほうがいいでしょう。抱き枕を併用すると、体への圧力が分散されます。
うつ伏せ
両手を枕の下に入れ、その状態から手を前に出してスマホを操作したり、本を読んだりしてみましょう。首や頭に負荷がかかっていると感じるようであれば、枕が合っていない可能性があります。
体格の違いで選ぶ
体重が多めで体格がよい人は、背中の厚みで首の下の隙間が大きくなります。高さのある枕を選ぶと隙間が埋まり、快適な寝心地になります。
逆に体重が軽めで細身の人は背中の厚みが少なくなる分、隙間も狭くなるので、低めの枕の方がおすすめです。細身の人が高さのある枕を選ぶと、首が不自然に曲がり、余計な負担がかかることがあります。
枕の素材も重要
枕の使い心地は詰め物の素材でも大きく変わります。枕に使用されている素材には以下のようなものがあります。
そばがらの枕
乾燥させた蕎麦の実の殻を使用しています。空気を含みやすいので通気性が高く、安定感があります。高温多湿の場所に長期間置いておくと、虫が湧くことがあるので要注意です。
低反発ウレタンの枕
頭の形に合わせて形状が変わるので、頭にかかる体重をバランスよく分散することができます。家では洗濯できないタイプがほとんどです。気温の低いときは硬くなり、夏は熱がこもりやすいという特徴があり、季節によって使い心地が違ってきます。
高反発ウレタンの枕
反発力が強く、寝返りが打ちやすいのが特徴です。体のS字カーブを保ちやすく、寿命が長めです。
パイプの枕
ストローを細かく切ったような形をしています。通気性に優れ、家で丸洗いするので清潔さが保てる一方で、変形しやすいというデメリットもあります。
羽毛枕
詰め物に羽毛が50%以上使用されている枕をさします。劣化が緩やかで、通気性と保湿性が高いのが特徴です。ものによっては、においを感じることがあります。
羽根枕
詰め物に羽根が50%以上使われている枕のことです。羽毛枕同様、通気性と保湿性にすぐれていて、適度な弾力があります。羽毛枕同様、においが生じることがあります。
ポリエステルわたの枕
柔らかな弾力性があり、ボリューム感もある枕です。ポリエステル素材のため、自宅で洗濯できます。
ファイバーの枕
ポリエチレン素材を使用しています。通気性に優れていて、安定した寝心地です。自宅で洗濯できるので清潔に使用できます。
素材が違えば寝心地も違ってきます。枕は実際に売り場で試してみるのがおすすめです。
店舗で枕を選ぶときの注意点とは
実際に売り場で購入する場合は、実際に寝て試せる売り場を選ぶのがおすすめです。できる限り、寝心地のちがう様々な枕を試してみて相性を確認してみましょう。今まで使ったことのない素材の枕が意外と合っていた、という可能性もあります。
また、忘れてはならないのが店舗のベッドと自宅で使用しているベッドは、寝心地がまったく違うということです。店舗で試したときの寝心地はよかったのに、自分のベッドで使ってみたら思っていたのと違う…ということになりかねません。
店舗のベッドが自宅のベッドより硬いと、店舗で試したときより体が持ち上がった状態になります。購入する際はやや高さのある枕を選ぶと失敗しにくくなります。
店舗のベッドの方が柔らかい場合は、自宅のベッドのほうが体が沈み込んだ状態になります。やや低めの枕を選ぶようにしましょう。
自分では判断できない…。思ったら、お店のスタッフに相談しながら選ぶと失敗がありません。どちらかといえば、やや低めを購入した方が失敗は少なくなります。
というのも、多少低くてもバスタオルなどを下に敷けば、好みの高さにできるためです。初めから高さのある枕を選んでしまうと、調整が難しくなります。
購入後の注意点
枕にはカバーが付属していることがほとんどですが、枕カバーはできればもう1枚購入しておきましょう。枕の使い心地は清潔さにも左右されます。枕カバーは月2回を目安に洗濯すると、においや汚れを防ぎ、快適に使用できます。
また、自宅で洗濯が可能な素材の枕は半年に一度は洗濯するのがおすすめです。枕に使用されている素材は紫外線に弱いものがほとんどで、長く日光にさらすと品質が変わってしまうことがあります。枕を干すときは、風通しががよい場所で陰干しすると品質を長く保つことができます。
まとめ
睡眠は健康を大きく左右します。首に負担がかかる、体のどこかに痛みや違和感を感じるような枕を使用していると、体に思わぬ症状が出てくる可能性も否定できません。
枕は、寝るときの姿勢や体格、布団やベッドの硬さ、素材など様々な面から吟味することが大事です。
様々なタイプの枕を試してみることで、思いがけず自分にピッタリな枕を見つけられる可能性もあります。健康のために、ぐっすり眠れる枕を選ぶようにしましょう。