枕ってどれを選んだらよいのか迷ってしまいますよね。
柔らかさや素材、大きさや形状など、自分に合った枕を探そうとするととても大変です。
枕を選ぶ基準として、高さを重要視する方も多いのではないでしょうか。
というわけで、今回の記事では理想的な枕の高さについて解説していきます。
枕の役割
そもそもなぜ枕が必要なのでしょうか。
人間はベッドに横になったとき、首の部分に隙間ができます。その空間を埋めるためには枕が必要です。
枕が無い状態だと首を支えるものがなく、首筋に負担がかかります。そうすると頭痛や肩こりといった症状が出ます。
枕を使うことで首筋を真っ直ぐに整え、全身がリラックスした状態を作り出しています。
人間は立った状態が理想的な寝姿なので、そのために枕が必須となります。
枕が変わると眠れなくなるのはなぜ?
枕が変わると眠れない、なんて方も多いのではないでしょうか。
合わない枕だから眠れないのかな、と思ってしまいがちですが、実はその理由は枕とは無関係です。
「枕が変わったから」ではなく「眠る場所が変わったから」眠れないというのが正しいです。
人間は慣れない環境に対して無意識のうちに警戒心を抱きます。
そのような場所ではいつ外敵に襲われるのか分からないため、生体警告系と呼ばれるシステムが作動します。
少しの物音や痛みに対して敏感になり、脳の覚醒度が上がることが原因です。
体質によっては、眠る際に覚醒してしまいやすい場合があります。
また、過覚醒傾向のある方は普段から生体警告系が作動しやすく、眠りが浅くなりがちです。
合わない枕を使うとどうなるの?
合っていない枕を使うと、肩から上の部分に対して悪影響があります。
肩から上は人体にとって重要な部分が密集しているエリアでもあるので、十分に注意が必要です。
どのような影響があるのか、順に見ていきましょう。
頭痛の原因になる
長時間に渡って無理な体勢をとることで、首や肩の筋肉に負担がかかってしまい、頭痛に繋がります。
睡眠の際は筋肉の緊張を緩めてあげることが大切です。
また、枕の高さが合っていないと首を正しい角度に保つことができません。そうなると血行が悪くなり、頭が痛くなります。
肩こりが悪化する
合わない枕は筋肉への負担が大きいです。
不自然な体勢を取ってしまうことで、肩の周りの筋肉が緊張してしまい、肩こりに繋がります。
デスクワークの方の場合、日常的に肩を使っているので、睡眠の際はしっかり肩を休めるようにした方がよいです。
慢性的な肩こりに悩んでいる方は、枕の高さを見直してみるとよいかもしれません。
いびきをかいているかも
一度横になった状態で顎を引き、鼻で呼吸をしたり声を出したりしてみて下さい。息がしにくかったり変な声になったりしていませんか?
これは気道が塞がれている状態です。
この状態だと、いびきをかいてしまいます。
枕の高さが高すぎると、気道の確保が上手くいかず、いびきをかいてしまいます。
一時的に呼吸が止まる可能性も
いびきがさらに悪化すると、呼吸ができなくなります。睡眠時無呼吸症候群と呼ばれるものです。
睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなってしまうことで、体が低酸素状態になります。
深い眠りに就くことが難しくなるため、日中の活動に影響を及ぼしてしまいます。
また、生活習慣病のリスクも高まるので、医療機関で適切な治療を受ける必要があります。
自分に合う枕ってどんなの?
江戸中期の枕は箱枕と呼ばれ、ずいぶんと高いものが主流でした。とても寝にくいのですが、これは髪型を崩さないための枕です。
おしゃれを優先した江戸の人々にとってはライフスタイルに沿った枕であったと言えます。
このように、合う枕の基準は人それぞれな部分もありますが、やっぱり快適に眠れる枕が理想ですよね。
それではどの枕なら快適に眠れるのでしょうか。
その答えはその人の体系や眠る姿勢によって変わってきます。
横向きで眠る場合
横向きで眠る場合、首や背骨が真っ直ぐになった状態がもっともよい状態です。
自分の背骨が地面に対して平行になるイメージです。
横向きで眠ると肩が下にくるので、枕の高さは高めの方が快適に眠れます。厚みのある枕を選ぶとよいでしょう。
仰向けで眠る場合
人間の首はゆるやかなS字を描いています。
仰向けで眠る場合は、このS字が綺麗に保てるような枕を使う必要があります。
枕が低すぎると首や肩に負担がかかりますし、高すぎると気道を圧迫してしまいます。
できるだけ立った状態に近付けてあげることが大切です。
小柄な人や細身な人
体系の違いは枕の固さに関わってきます。
小柄な人や細身の人は、固い枕だと頭が沈み込まないので、うまく眠ることができません。
枕の高さが高くなりがちなので、気道が圧迫されやすいです。なので、低めの枕や柔らかい枕を選ぶようにしましょう。
体格の大きい人
細身の人や小柄な人と比べて、頭が枕に沈み込みやすいです。そうすると頭が下がり過ぎてしまうため、肩や首に負担がかかります。
筋肉が緊張してしまうことで眠りが浅くなってしまったり、肩こりや頭痛を引き起こしてしまいます。
首が下がるので寝返りも打ちづらくなります。
枕の高さはどれくらいが丁度いい?
首とマットレスの隙間を埋めるのが枕の役割です。
隙間を埋めることで、立った状態と同じ姿勢を保つことができます。
具体的には、うなじが埋まる程度の高さがよいです。また、頚椎をしっかりと支えられる程度の厚みとクッション性が必要になります。
仰向き寝と横向き寝の場合で丁度いい高さが変わってくるので、順に見ていきましょう。
仰向き寝の場合
仰向きで眠った際、首の骨がS字にカーブを描いているのが理想的な姿勢となります。
枕が低すぎると首が反ってしまいますし、高すぎると首の付け根が浮いてしまいます。
一度横に寝転んで、触って確認してみると分かります。
自分が真っ直ぐ眠れているかどうかの確認は、視線を意識すると分かりやすいです。
天井に対して下の方向に視線が向いてしまう場合、枕が高すぎます。
逆に、上に向きすぎている場合は枕が低すぎます。
視線の向きは、真っ直ぐ天井を見つめるよりも5度ほど傾斜がついている方がよいです。
横向き寝の場合
仰向けの場合は天井を基準としましたが、横向き寝の場合は壁を基準にすると分かりやすいです。
壁を見つめた際、視線が上方向に向いてしまう場合は枕が高すぎます。
反対に、下の方向に向いてしまう場合は、枕が低すぎます。
視線は平行であることが望ましいです。背骨から頭までが一直線に真っ直ぐな状態がもっとも理想的な姿勢です。
高さが合わない場合の対処法
自分でチェックしてみてどうも高さが合わないな、と感じたら自分で調整するのも一つの手です。
枕が低い場合
もっとも手軽なのは、タオルで調整するやり方です。
枕の上か下にタオルを敷いて、その厚さを調整してあげましょう。
その際、自分のうなじに合わせて厚みを変えると、自分に合った枕が作れます。
フェイスタオルを重ねてもよいのですが、バスタオルを使うとお手軽です。
「寝相が悪いから寝ているとズレないか心配」と思う方は、枕にTシャツを被せてあげるとズレなくなります。
自分で調整することのメリットは、市販のものよりも自分に合った枕が手に入る事です。
何度も横になりながらチェックすることで、より理想的な枕が作れます。
首や肩に負担がかかっていないか、視線は正しいか、息苦しさは感じないか、といった部分に着目して作りましょう。
枕が高すぎる場合は買い替えもアリ
低い枕の場合は簡単でしたが、高すぎる枕の場合は少し大変です。
中材を抜き取ることで調整が可能ですが、裁縫をしなければならないので、多少面倒です。
ミシンが無い場合は手縫いになってしまいますし、調整も手軽にできません。
中材を抜く場合は一気に中身を抜いてしまい、そのあとタオルで高さを調整していきましょう。
とても面倒なので、買い替えてしまった方がよいかもしれません。
枕の大きさも大切
人間は寝ている間に20~30回の寝返りを打つと言われています。
枕が小さい場合、寝返りを打った際に頭が落ちてしまいます。
せっかく自分に合った枕を見つけられたとしても、頭が落ちてしまっては意味がありませんよね。
寝返りの事を考えると、枕は頭が3つほど入る大きさのものがよいです。
寝相のよくない場合は、もっと大きい枕でもよいかもしれません。
ただ、大きい枕は高さも高くなりがちなので注意が必要です。
素材はどんなものが良いの?
枕の固さを左右するのが素材です。
感じ方は十人十色なので一概に言えませんが、自分がリラックスできると感じるものを選ぶとよいです。
ただし、そば殻が使用された枕には注意が必要です。
そばアレルギーを持っている場合は症状が出てしまう可能性があります。また、保存状態が悪いと虫が湧きます。
そば殻の枕のメリットは、通気性の良さと天然素材なのに比較的安価な点です。それに、しっかり手入れしてあげれば虫も湧きません。
防虫という視点ではヒノキ枕もおすすめです。こちらもそば殻と同じくアレルギーの問題があるので、注意は必要です。
ヒノキ枕は香りがとてもよいので、リラックス効果があります。
そば殻もヒノキも天然素材なので、好きな方はハマると思います。
タオル枕を自作するのもアリ
自分に合った枕を作りたいのであれば、自作するのも一つの手です。
最近注目を浴びているのがタオル枕です。
くるくる巻いて円筒状にする方法が一般的ですが、この方法はあまりよくありません。
寝返りの事をあまり考えられていないからです。
仰向けの場合は首のカーブにフィットするのですが、横を向いた際に首が苦しくなります。
寝返りも打ちにくいので、安眠できるとは言えません。
タオル枕を作る際は折りたたんだものを重ねるようにして作りましょう。
バスタオルを2~3枚用意し、頭を支える部分と首を支える部分、そして土台の部分の3つに分けて重ねます。
そうすることで、仰向けでも横向きでも対応できる枕が完成します。
タオル枕のメリット
なんといってもお手軽です。
洗濯も簡単ですし旅先でも手軽に作れます。アウトドアでも大活躍です。
世界中どこにいてもタオルさえあれば自分の理想的な枕が作れます。
災害時に体育館で雑魚寝をしなければならない状況に陥っても容易に対応可能です。
タオル枕のデメリット
市販の枕と違い、素材がタオルなのでクッション性があまりよくありません。やはり弾性が不足しています。
最初はよくても、寝ている間に生地が潰れていき、寝心地が変わってしまいます。
また、タオルを重ねただけなので寝ている間にズレる可能性があります。少し工夫が必要です。
通気性もよくないので、毎日洗濯をしないと不衛生です。
高さの調整ができる枕
最近では自分で高さを調整できる枕が売られています。
多重構造のものや、部位によって高さが調整できるようなものがあります。
自分の頭の形に合わせて調整できるので、とことんこだわることができます。
どうしても市販のものでは合わないという方は、一度試してみるのもよいかもしれません。
枕のオーダーメイド
完全に自分に合った枕が見つかればよいのですが、枕の好みは様々なのでなかなか見つけられない場合もあります。
そんな方はオーダーメイドをお願いしてみましょう。
自分の体系や寝姿に合わせて作成してくれるので、完全に自分好みの枕が作れます。
こだわりが強い方の場合は市販のものを探すより、いっそのこと頼んでしまう方が安上がりかもしれません。
金額はかかりますが、確実に自分に合った枕が手に入ります。
オーダーメイド枕のギフト券なんかもあるので、大切な人への贈り物としても喜ばれます。
まとめ
枕はとても重要な寝具です。私たちの頭を支える土台なのですから、しっかりと考えて選ぶ必要があります。
しつこい肩こりに悩んでいたのが、枕を変えたら症状が改善された、なんて場合もあります。
睡眠は人生の3分の1を占めるものです。
その膨大な時間を間違った方法で過ごさないために、今回の内容をわかりやすくまとめました。
- 合わない枕は頭痛や肩こりの原因になる
- 気道が塞がれるので、睡眠中の呼吸に影響が出る
- 仰向けと横向きで合う枕が変わる
- 自分でチェックしてみる
- 枕が低い場合は自分で調整できる
- 高い場合は買い替えも検討
- タオル枕を自作するのも一つの手
正しい姿勢で眠れるよう、自分に合った枕を使いましょう。