いつもと同じ時間寝ているのに日中眠かったり、なかなか寝付けなかったり。そんなお悩みを持つ人はいないでしょうか。もしかすると熟睡できていないことが原因かもしれません。熟睡できていない状態だと日常生活に悪影響を及ぼし、その状態が続くことで病気になる可能性もあります。そうならないためにも、しっかり熟睡するために習慣的に行ってほしいことをお伝えします。さらに、熟睡するメリットや熟睡できなくなる理由まで説明しますので、やってはいけないことも把握してください。
熟睡とはどういう状態のこと?
熟睡するとはそもそもどういった状態なのか。判断するポイントは大きく分けると2つあります。日常生活を送る中で睡眠時間を取っているのに以下のような状態ではない場合は、睡眠の質が低下しており熟睡できていない可能性があります。
朝、すっきり目覚めることができる
しっかり睡眠時間を取っているのに、朝なかなか起きることができない時は注意が必要です。量も質もしっかりと確保できていれば、朝すっきり目覚めることができるはず。毎日同じ時間に、目覚まし時計が鳴る前に自然と目が覚めるのが理想ですが、最近なかなか朝起きれない人は熟睡できていない可能性があります。
日中に眠気や倦怠感で困らない
しっかり寝ているのに、起きている日中に眠気や倦怠感で困っている人は熟睡できていない可能性があります。仕事中に耐えられない眠気や倦怠感を感じる場合は、睡眠の量や質を見直す必要があると捉えるとよいでしょう。ただし、昼食後にくる軽い眠気は普通のことなので気にしなくてよいです。
熟睡できたことによるメリット
熟睡できているかを判断する代表的な2つの状態をご紹介しましたが、では熟睡することでどんなメリットがあるのでしょうか。大きく分けると4つあります。
- 集中力が高まる
- 疲労が取れる
- 自律神経のバランスが整えられる
- 睡眠負債が溜まらない
以下で1つずつ解説していきます。
集中力が高まる
しっかり熟睡することで集中力を高めることができます。これは睡眠をしっかりとることで、自律神経の交感神経と副交感神経が切り替わるリズムを作ることができるため。交感神経は日中を活動的に過ごす際に優位となり、夜間は副交感神経が優位となりリラックス状態になります。この切替がうまくいかないと、日中に交感神経が上手に働かず集中力が低下し、勉強や仕事に支障がでる可能性があります。神経を上手に切り替え集中力を高めるためにも、熟睡することが重要だと理解できるでしょう。
疲労が取れる
睡眠には脳と体を休ませる効果があります。これは熟睡することで筋肉は損傷した細胞を修復し、脳も同時に休息をとることができるため。日中活動的に行動するほど脳も体も疲労を蓄積します。毎日しっかりと疲労を回復させることは、快適な生活を送るのに欠かせません。そのためにも毎日の睡眠の質にはこだわっていきましょう。
自律神経のバランスが整えられる
集中力の箇所でも述べましたが、睡眠をしっかりとることで自律神経のバランスを整えることができます。これは交感神経と副交感神経がバランスよく切り替わることで、規則正しい生活を送ることができ、睡眠の質をしっかりキープできるため。バランスが崩れると夜間に交感神経が優位となり、睡眠の質を下げてしまいますので要注意。規則正しい生活を送ることが大切です。
睡眠負債が溜まらない
たまにの睡眠不足であれば、翌日などに時間を取って寝ることですぐ解消できます。ただし、睡眠不足の状態が続くと睡眠負債が溜まり解消するのに時間がかかることも。日中は倦怠感や眠気が続き、集中力もなくなったり、食欲がセーブできず食べ過ぎてしまうこともあります。いつもと異なる状態が続いた際は要注意。そうならないためにも、睡眠不足はすぐ解消する癖をつけておくとよいでしょう。
熟睡できない理由とは?
では、なぜ熟睡できなくなるのでしょうか。大きく2つの問題が考えられます。それぞれ解説していきます。
睡眠時の問題
1つ目は睡眠時の問題です。寝ている最中や睡眠のリズムの影響で熟睡できていないパターンのことを言い、比較的多いのが以下の4つです。
- 早期覚醒、中途覚醒、入眠困難
- 概日リズム睡眠障害
- 睡眠時無呼吸症候群
- むずむず脚症候群
1つずつ解説していきます。
早期覚醒、中途覚醒、入眠困難
早く起きてしまう早期覚醒や、夜中に何度も目覚める中途覚醒、寝づらくなる入眠困難の問題があります。加齢やうつ病などの精神疾患が原因で併発することもあるため注意しましょう。早期覚醒や入眠困難になると睡眠時間の低下、中途覚醒は睡眠の質の悪化につながるため熟睡の妨げになります。
概日リズム睡眠障害
概日リズム睡眠障害とは、体内時計が乱れることで起きる時間や眠る時間にずれが発生してしまうことをいいます。一度体内時計が乱れてしまうと元に戻すことがなかなか難しいため、日頃から規則正しい生活を心がけるようにしましょう。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に一時的に無呼吸状態になる症状のこと。就寝中に気道が塞がるのが原因とされており、肥満の人や元々気道が狭い人はなりやすい症状だと言われています。呼吸が途切れることで体内の酸素量が低下し、その結果脳が酸素を取り入れようと覚醒することで睡眠の質が低下するので注意が必要ですよ。他の病気の併発リスクもあるため、いびきや呼吸音が止まっているのを指摘された場合は専門の医療機関を受診することをおすすめします。
むずむず脚症候群
むずむず脚症候群とは、夕方から就寝前までに脚に虫がはうような不快感を感じる症状のこと。感じる不快感から寝づらくなったり、中途覚醒を何回もしてしまうことがあるため睡眠の質が低下します。こちらも治療には専門の医療機関を受診するのがおすすめですよ。
生活習慣
2つ目は生活習慣による睡眠の質の低下です。日中の行動によっては熟睡を妨げるものがあります。よい睡眠をとるために控えてほしい行動をここでは4つ紹介します。
- カフェインの過剰摂取
- 寝る前のスマホ、テレビ、パソコン
- 就寝直前に飲食する
- 就寝直前に入浴する
カフェインの過剰摂取
代表的なのはコーヒーですが、カフェインを摂取することで眠気が覚めます。カフェインを摂取することで脳は覚醒するため、朝起きた時や眠い時に飲む人は多いのではないでしょうか。効果がある分、間違えると睡眠に悪影響を及ぼします。気をつけてほしいのはカフェインを摂取する時間帯。15時以降に飲むのは控えましょう。それ以降は夜間の睡眠に影響を及ぼす可能性がありますので気をつけてください。
寝る前のスマホ、テレビ、パソコン
強い光や内容によって脳が覚醒し、睡眠を妨げる可能性があります。最近ではブルーライトを浴びることで脳が覚醒することもわかっているため、就寝前はなるべくこういった機器に触れないようにするとよいでしょう。ベッドに入った後に眠くなるまでスマホを見続けることがないよう気をつけて使用してください。
就寝直前に飲食する
遅い時間にご飯を食べると、寝ている最中に胃が消化をするために脳が活性化します。その結果、睡眠の質が下がる可能性があるため、就寝直前に食べない生活を送るよう心がけましょう。どうしても帰りが遅い場合は、消化のよいものを少量食べるようにしましょう。軽く食べることで食欲も満たされるため、気持ちの面でも眠りやすくなりますよ。
就寝直前に入浴する
入浴は上手にとれば睡眠の質を上げます。ただし、就寝直前に入浴すると深部体温が上がることで、体が覚醒し眠りにつくまで時間がかかり、睡眠の質を下げてしまいます。ちょうど深部体温が下がるタイミングを就寝時間と合わせることができれば眠りやすくなり、睡眠の質も上がるので入浴するタイミングを気をつけるとよいでしょう。
熟睡するための習慣
では、熟睡できるようにするために、具体的にどういったことをするとよいのでしょうか。ここでは、明日からすぐ取り組める9つの行動をお伝えします。
- 睡眠時間にこだわらない
- アルコールを控える
- カフェインを控える
- 食生活の見直し
- 有酸素運動を行う
- 入眠儀式を習慣化する
- 寝室環境を整える
- 就寝前にスマホやPCを見ない
- 軽めのストレッチを行う
睡眠時間にこだわらない
なかなか寝付けなかったり、早く寝ようと焦るほどストレスを感じてしまい熟睡できなくなります。ストレスでの悪影響は、寝付きが悪くなったり朝早く起きてしまったりと様々。そんな時は、睡眠時間にこだわらず起きたら活動しようと考えるのもよいでしょう。眠くなったら仮眠を取ろうと考えることで、プレッシャーもだんだん薄れてきます。大事なのは熟睡感を得ること。時間にこだわり過ぎず、質のよい睡眠を目指す気持ちを持つとよいでしょう。
アルコールを控える
寝る前にお酒を飲むことで寝付きをようしようとする人もいるのではないでしょうか。たしかに寝つきはよくなるかもしれませんが、就寝前のアルコールは中途覚醒を増やす原因。摂取してから3〜4時間で分解され体の外へ出そうと促されるため、寝ている途中で目が覚めてしまい眠りが浅くなります。熟睡するためには、寝る直前はお酒を飲むのを控えるとよいでしょう。
カフェインを控える
カフェインの過剰摂取の箇所でも述べた通り、摂取するタイミングを間違えると熟睡を妨げる原因となります。15時以降はカフェインを取るのを控えるようにしましょう。また、コーヒーだけでなく栄養ドリンクや紅茶、緑茶などもカフェインが含まれています。飲み物を買う際は成分表示をしっかりと確認しましょう。カフェインは上手に摂取することで集中力向上につながります。効果的に活用していきましょう。
食生活の見直し
寝る直前の食事を控えるようお伝えしましたが、夜は就寝3時間前までに食事を終えるのが理想。また、朝昼晩しっかり食べることで規則正しい生活リズムを作ることができ、睡眠の質にもよい影響を及ぼします。なるべく食事の時間は毎日同じ時間にとるよう意識するとよいでしょう。
有酸素運動を行う
日中に適度な運動をすることで、心地よい疲労感から夜眠りやすくなります。少し汗ばむ程度に身体を動かすぐらいにするとより効果的。激しい運動をする場合は夜間は避けてください。交感神経が活発になってしまい、脳が興奮状態になるため眠気が覚めてしまいます。運動する時間帯を考えて強度を決めるようにしましょう。
入眠儀式を習慣化する
規則正しいリズムで生活することが熟睡することにつながります。そのために眠る前に決まった行動を習慣的に実施することで、体が眠る準備に入るのでおすすめ。これは入眠儀式といって、歯を磨いた後は部屋の照明を暗くして、本を読みながらアロマを嗅ぐといった一連の行動をとることを言います。自分に合うものを試行錯誤して探すとよいでしょう。
寝室環境を整える
眠りやすい寝室を整えることも大事です。たとえば、部屋の温度や湿度、枕やマットレスなど快適に眠るために自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。室温であれば13〜29℃の範囲で夏は高めで冬は低めに、湿度は40〜60%を目安にするのがおすすめです。枕やマットレスは寝姿勢がしっかりと保てるものを選びましょう。仰向けの姿勢で立った時の背骨のS字カーブが保て、横向きの姿勢でマットレスと背骨が並行になる硬さがおすすめです。素材の好みなどもありますので、自分に合ったものを実際に試しながら見つけてください。
就寝前にスマホやパソコンを見ない
就寝前にスマホやパソコンは見ないようにしましょう。眠る前は副交感神経を優位にさせるのが大事。スマホを使うことで脳を覚醒させ、交感神経が優位にならないよう注意しましょう。そのためにも、入眠儀式をしっかりと行い、デジタルツールを使用せずリラックスできる環境を整えるのがおすすめです。
軽めのストレッチを行う
就寝前の激しい運動は交感神経を刺激し脳が覚醒するため控えてほしいですが、軽めのストレッチはリラックス効果があるため寝る前にはおすすめです。ストレッチの他にはヨガも効果的。リラックスすることが重要ですので、身体を動かしすぎずに眠気を誘うように意識して実施するとよいでしょう。
まとめ
今回は熟睡できない理由から、よりよい睡眠をとるために習慣的にやるとよいことまでお伝えしましたがいかがでしょうか。大事なのは自分が熟睡できているかどうかを日常的に確認することです。どうしても夜遅く帰宅することやアルコールを飲むこともあるでしょう。その時々で適切に状況を把握し、規則正しい生活に戻すための対策を打つことが重要です。日中の行動も睡眠の質につながっています。毎日の行動を見直して、睡眠の質を上げていきましょう。