どうも最近は肩こりがひどい、依然と比べて、目が疲れやすくなった気がする…。こんな場合は、ストレートネックを疑ったほうがいいかもしれません。
ストレートネックの症状を訴える人は、スマホの普及とともに増えてきています。国民病といっても過言ではありません。
スマホだけでなく、合わない枕もストレートネックを悪化させる原因となることがあります。
今回は、ストレートネックの原因だけでなく、対処法について調べてみました。現在、ストレートネックと思わしき症状で困っている人は、ぜひ最後までおつきあいください。
ストレートネックとはどんな症状?
首の骨は、本来は緩やかなカーブを描いているはずの脛骨(下図参照)が、何らかの理由でまっすぐになってしまう症状のことです。横から見ると、頭の位置が前に飛び出しているように見えます。
頭が飛び出している状態が長く続くと体はバランス保とうとして、猫背になったり下腹が前に突き出してきたりと、どんどん姿勢が悪くなってしまいます。
出典:医療法人社団厚済会
ストレートネックになる原因とは
ストレートネックはスマホ首とよばれることもあります。スマホが普及してから、ストレートネックは増える一方です。一説には、日本人の8割がストレートネックになっているとも言われています。
ストレートネックは、長時間のスマホの閲覧や、PCを長時間使用したデスクワークが主な原因です。
頭は体重の10%程度を占めています。個人差はありますが、およそ4kg~10kgくらいの重さです。スマホの閲覧やPCの作業で発生するうつむき加減の姿勢は頭の重さを頚椎だけで支えることになり、首に大きな負担がかかります。頭が前のめりになる角度が大きくなるほど頚椎への負荷は増していきます。
自然に立っているときに首にかかる負荷は5kg前後ですが、15度ほど前のめりになった状態では首への負荷は12kgで2倍以上です。以下の表を見ると、頭の角度が大きくなるほど頚椎への負荷が大きくなるのがわかります。
頭の角度 | 頚椎にかかる負荷 |
0° | 約5kg |
15° | 約12kg |
30° | 約18kg |
45° | 約22kg |
60° | 約27kg |
枕が合わない場合もある
睡眠は、疲労回復だけでなく、傷ついた細胞や筋肉を修復する役割があります。ストレートネックも例外ではありません。夜、寝ている間に修復が行われますが、高さなどが合わない枕を使用していると、深い睡眠がとれなかったり、ストレートネックを悪化させたりすることにもなります。
ストレートネックが判明した場合は、枕も見直す必要があります。
ストレートネックの見分け方
ストレートネックかどうかは、簡単なセルフチェックで見つけることができます。
- 壁を背に立つ
- かかと、お尻、肩の順番で壁にあてる
- あごを引く
以上の状態で、後頭部、肩、おしり、かかとが自然に壁につくようであれば、ストレートネックの可能性は低いと言えます。後頭部が壁に当たらない場合は、ストレートネックを疑った方がいいかもしれません。あくまでセルフチェックなので、心配であれば病院へ行ってレントゲンを撮ってもらう必要があります。
以下はストレートネックの重症度の目安です。
後頭部の付き具合 | |
軽度 | つきにくいが、意識すれば簡単につく |
中度 | つかないが、意識すればなんとかつく |
重度 | つけようとしても、まったくつかない |
また、セルフチェックではわからなくても猫背であったり、上を見上げた時に首に痛みを感じたりするようであれば、ストレートネックの疑いがあります。
ストレートネックを放っておくとどうなる?
ストレートネックが重症になると、首の痛み以外にも様々な症状が現れます。病院で診断を受けたほうがよい症状が隠れていることもあるので、要注意です。
首こり、肩こり
軽度のストレートネック時に出やすい症状です。首周りの血管が圧迫されることで血行が悪くなり、首こり、肩こりの原因になります。
猫背
ストレートネックになると頭の重さが頚椎にかかり、顔が前に飛び出すようになります。体はなんとかバランスをとろうとして、だんだんと猫背になります。
上を見上げると首に痛みを感じる
ストレートネックになると、首が常に前に出ている状態になります。この状態で上を見上げると、首の筋肉を必要以上に動かすことになり、痛みを伴うことがあります。
痛みが軽い、または違和感がある程度であれば、まだ軽度のストレートネックです。少し見上げただけで痛みが伴うようであれば、かなり進行している可能性があります。
眼精疲労、ドライアイ
ストレートネックになると後頭部の筋肉が硬くなり、血行が悪くなることで目が疲れやすくなり、ドライアイを引き起こすこともあります。
睡眠不足、倦怠感
眠いのに寝られない、だるくてやる気が出ない場合もストレートネックが関係している可能性があります。ストレートネックになると首の神経が圧迫され、自律神経が乱れるので質の高い睡眠がとれません。
結果、だるくて仕事や勉強が手につかなくなってしまいます。ひどくなるとうつ病につながることもるので、なるべく早めに病院を受診する必要があります。
いびき
ストレートネックになると頭の位置が通常より高い位置になり、気道が塞がることで、いびきがうるさくなることがあります。
ストレートネックに適した枕の選び方
ストレートネックを改善、矯正するのも大事ですが、自分が寝心地がいいと思う枕を選ぶことも忘れてはいけません。現在使用している寝具との相性も考えて選びましょう。
素材
後頭部と首の下に隙間を作らず、首から頭にかけての力が完全に抜けた状態で眠れる枕が理想です。隙間があると首が不自然に押し出されて、症状が悪化してしまうおそれがあります。
以下は枕の主な素材です。
- そばがら
- 低反発ウレタン
- 高反発ウレタン
- パイプ
- 羽毛
- 羽
- ポリエステル
- ファイバー
ファイバーやウレタン素材のマットレスは適度な弾力と硬さがあり、ストレートネックに適した枕といえます。低反発、高反発はお好み次第です。逆に、そばがらやパイプ素材の枕は、形崩れしやすいので頭が沈みこみやすく、首に余計な負担が寝るときの姿勢が悪くなったりするので、ストレートネックを悪化させてしまう可能性があります。
高さ
仰向けで寝たときに後頭部から肩の中心が、まっすぐになる高さの枕が理想です。首が自然なカーブをつくり、さらに背骨も自然なS字カーブになることで寝るのに理想的な姿勢を保つことができるので、首への負担を減らすことができます。
理想の枕の高さは体格によって違いがあります。5cm~8㎝を目安として選ぶとよいでしょう。
仰向けで寝る場合は、首から頭にかけての角度が10~15度、頭は5度くらいの傾きになるくらいの高さが理想です。横向きで寝る場合は、枕に頭をのせた状態で、頚椎と床が並行になる高さの枕を選びましょう。
大きさ
自分にとって寝心地がいいと思う大きさで構いませんが、横幅は少なくとも頭が三つ分載せられる程度の大きさは必要です。それより狭い横幅の枕は、寝返りを打った時に頭の位置が不安定になり、首に余計な負担がかかります。
縦幅は、頭から肩をしっかり支えてくれるくらいの、少し長めで安定感のあるものがおすすめです。
硬さ
どちらかといえば、やや硬めの枕のほうが向いています。柔らかすぎる枕は頭が沈みすぎるので、顎が上がって首に負担をかける可能性があります。また、頭が沈み込んでしまうことで、寝返りを打ちにくくなり、深い睡眠がとれなくなったり、むくみや肩こりの原因になったりします。
適度な硬さがあり、首とマットレスの間に隙間を作らない、後頭部をしっかりと支えられる枕を選びましょう。
マットレスとの相性も重要
店で試してみたら寝心地が良かったので買ったのに、家で実際に寝てみると思ったほど寝心地がよくない…。こんな場合は、マットレスも見直す必要があります。使用しているマットレスが、体が深く沈み込むタイプであれば、枕が予想より高くなっていることが考えられます。
体が深く沈み込むほど柔らかいマットレスは枕が高くなるだけでなく、寝返りがうちにくくなり、首がねじれたり血行不良になったりするので、おすすめできません。
好みの問題でもありますが、体が沈み込みすぎず、適度な硬さのあるものを選ぶと首への負担が少なくなります。
高すぎる枕を無理に使用し続けるとが悪化する可能性があります。ストレートネックを改善したいのであれば、枕と一緒にマットレスも取り換えましょう。
バスタオル枕は就寝時に使用できる?
首が自然に伸びて気持ちがいいということで、バスタオルをロール状に巻いて作ったバスタオル枕をすすめる情報もありますが、正直な話、おすすめはできません。
昼寝など数10分程度の使用であれば問題ありませんが、夜、長時間の睡眠中に使用すると頭が下がった状態が長く続き、非常に寝心地が悪くなります。横向きに寝た場合は、下になっている方の腕がしびれてくる、寝返りが打ちづらいなど、安眠を妨げる原因にもなります。
バスタオルは、あくまで枕の高さを調節するために使った方がよさそうです。バスタオルを枕そのものとして使用することは避けましょう。
ストレートネックは枕なしが良い?
ストレートネックは枕がなしで寝た方がよいという話もあります。枕に頭をのせると首が上がって気道が塞がるので、息苦しさを感じるため、というのがその理由のようです。
しかし、一方では、枕なしで寝ると後頭部が安定せず顎が引けるため、長時間うつむきの姿勢を続けるのとあまり変わらなくなります。余計に症状を悪化させてしまう可能性も少なくありません。また、枕なしで寝ると寝返りが打ちにくくなり、肩こりやむくみの原因になることもあります。
ストレートネックの症状は人それぞれ違います。枕なしでは寝心地が悪い、という場合は迷わず自分に合った枕を使用するようにしましょう。
枕を変えても改善されないときの対処法
枕を変えても、首が動かしづらいなどの違和感があったり、頭痛や肩こりなどストレートネックの影響と思われる症状が治らなかったりした場合は、一度病院で専門医の診断を受けるようにしましょう。
ストレートネックは、放置しておくとうつ病など精神的に深刻な症状を引き起こすこともあります。
何科を受診すべき?
まずはしっかりとした診断を受けるために、整形外科で検査を受けましょう。首の骨の変形具合や症状をチェックしてもらう必要があります。
症状が軽度で、頚椎のゆがみを直したいのであれば、整体院に通うという方法もあります。
ストレートネックは治療より予防
ストレートネックは日ごろの習慣を変えることで予防が可能です。枕の高さ以外にも、スマホやPCの長時間使用を避ける、座るときの姿勢を見直す、ストレッチをするなどを心がけることで、首への負担を軽減できます。
病院で治療すれば治りますが、治療費がかかるだけでなく、経過観察に何度も通院しなければならないなど、時間的な負担も少なくありません。枕を変えるだけでなく、スマホの長時間の閲覧など、不自然な姿勢を何時間も続ける生活を改めましょう。
まとめ
ストレートネックは、スマホなどの閲覧で長時間うつむいている姿勢を続けていると発症しやすくなりますが、合わない枕も原因の一つとなります。
高すぎる枕や枕なしの寝方は首に余計な負担をかける上に、症状の悪化にもつながります。
今、自覚症状がなくても、放置しておくと重症化して生活に支障をきたす可能性もあります。首に痛みや違和感がある場合は早めに整骨院を受診して原因を突き止めて、対策を考えましょう。