認知症

パーキンソン病と認知症。知っておこう!正しい知識。

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皆さんは、パーキンソン病をご存じですか。パーキンソン病は、1000人に1人の割合で起こる進行性の病気で、高齢になるほど発症率が高くなる病気です。重症度によっで難病医療助成制度の対象となることも。

パーキンソン病って、聞いたことがあるかもしれませんが、どんな病気なのか詳しくは知らないという方が多いのではないでしょうか。

このサイトではパーキンソン病がどんな病気でなのか、認知症との関係について詳しく紹介してます。ぜひ、読んでみてください。

この記事の監修者
睡眠健康指導士、建築物環境衛生管理技術者
佐々木崇志
東北大学大学院薬学研究科修了。修士(薬科学)、建築物環境衛生管理技術者。 修了後は臨床研修指定病院で医局秘書や学生担当として全国の医療を志す学生や医療従事者と携る。勤務していく中で睡眠に関する訴えが医療従事者にも多い事に気づき、自身も医療従事者や患者の助けにならないかと考えるようになり個人で活動を始める。現在は東北を活動の拠点として睡眠(体内時計・時計遺伝子)の研究の経験、資格の知識を生かしながら睡眠啓蒙活動を行なっている。

パーキンソン病について知ってみよう

病気の説明

原因は?どんな人がなるのかな?

パーキンソン病は、脳の一部である「中脳」の黒色ドパミン神経細胞が減少して発症します。黒色ドパミン細胞が減る理由は今のところわかっていません。

発症しやすい年齢は50歳~65歳とされていますが、高齢でも発症することはあります。40歳以下でも発症することはあり、「若年性パーキンソン病」と呼ばれています。

どんな症状がでるの?

パーキンソン病になったとき、最初にでる症状が運動障害。診断の手掛かりになります。

運動障害の代表的なもの

静止時振戦 じっとしているときに震えが起こる症状。手を膝に置いて座っているときや、歩いているときなどに震えが起こったりします。動かすと震えが小さくなるものが特徴。
無動 体の動きが悪くなり、細かな動作がしにくくなる症状。歩くときに足が出にくくなる「すくみ足」、話し方に抑揚はなくなる、声が小さくなる、書く文字も小さくなるなどがあります。
筋強剛 筋肉が硬くなって、手や、足、肩、指などをスムーズに動かなくなる症状。顔の筋肉がこわばって無表情に感じられることや、体に痛みを感じることも。
姿勢保持障害 病気になって何年かして起こる症状。体のバランスがとりにくくなり、転びやすくなります。歩いていて止まれなくなる、方向転換が難しくなる、体が斜めに傾くなどもあります。

運動症状以外に非運動症状。
非運動症状には便秘、頻尿、立ちくらみ(起立性低血圧)、発汗、むくみ、疲れやすい、わかりにくくなる、気分が落ち込みがちになる(うつ状態)、興味や意欲がなくなる(アパシー)などがあります。

どうやって治療するの?

今のところ、パーキンソン病の進行を止める根本的な治療法は開発されていません。今、病院でされているのは対症療法です。主に薬物療法が行われます。

薬物療法

パーキンソン病は、ドパミン神経細胞が減ることで発症しますね。薬物療法では、ドパミン系を薬で補う方法があります。ドパミンそのものを飲んでも脳には届かないので、ドパミンの材料となる「L-ドパ」を服用。ただ、L-ドパを長い間服用すると、効きにくくなるというデメリットも。2~3時間で薬の効果が切れてしまい、手や足がくねくねと勝手に動いてしまう「ジスキネジア」という症状が出るようなります。

そこで、「ドパミンアゴニスト」というドパミンに似た合成物質を服用する方法も。脳の中でドパミンと同じ働きをするので、体の症状を改善することができます。薬が効く時間も長く、長い期間服用しても弊害が出にくいのが特徴。L-ドパに比べると、治療効果が出るのが緩やかです。

ここまでドパミン系のお薬を使うお話をしましたが、非ドパミン系のお薬を使うこともあります。ドパミン系のお薬の効果を助けるために服用されることが多いです。代表的なものが「抗コリン薬」。抗コリン薬は、ドパミンの分泌を抑えるアセチルコリンの活動を抑えるために使用します。

リハビリテーション療法

体が動かしにくくなるのがパーキンソン病の特徴。しかし、体を動かさないと筋力が低下し、ますます体が動きにくくなってしまいます。筋力や体力、体の柔軟性が維持し、パーキンソン病の症状は軽減することが期待されます。

手術療法

薬物療法や、リハビリテーション療法で効果が出にくい場合に、「脳深部刺激療法(DBS)」という手術療法が選択されることがあります。脳に電極を埋め込み、電気刺激をすることで脳の神経が興奮するのを抑える効果があります。

パーキンソン病になるとどうなるの?

パーキンソン病は、個人差はありますが進行する病気です。しかし、きちんと治療をうければ、発症して10年くらいは普通の生活を送ることが可能です。その後は、介助が必要になる人もいますが、生命予後は決して悪くはありません。一般的な平均余命より2~3年短いといわれています。高齢者は、脱水や便秘、栄養障害などに気を付けることが大切。また、寝たきりになった後に誤嚥性肺炎などの感染症も予防してけるよう、医師や看護師、家族と協力していきましょう。

パーキンソン病と認知症

医者に相談

以前はパーキンソン病で認知症になることはないといわれていました。ところが、今は認知症を発症する人が一般の人より多いといわれています。パーキンソン病認知症を発症するリスクがあるので、そのことについてお伝えしますね。

パーキンソン病認知症はレビー小体型認知症という病気と似ています。

レビー小体とは、たんぱく質が固まった物質で、これが脳に溜まると脳の機能が低下して認知症になります。レビー小体型認知症では脳の外側の層全にレビー小体が作られます。一方、パーキンソン病認知症は、パーキンソン病によって異常をきたした黒質という脳の部分にレビー小体が作られます。

レビー小体型認知症

認知症の中で一番多いのがアルツハイマー型認知症です。その次に多いのがレビー小体型認知症です。

レビー小体型認知症の特徴は?

一般的な認知症の場合は、記憶力や理解力といった「認知機能」が少しずつ低下するのか特徴であるのに対し、レビー小体型認知症は、認知機能に波があり良い時と悪い時があります。「良い時」はしっかりしているので認知症だと気づきにくいのも特徴の一つ。レビー小体型認知症でもパーキンソン病のような症状が出うことがあります。主な症状は以下のとおりです。

認知機能の低下 注意力の低下やぼーっとした症状。認知症が進むと記憶力の低下もみられるようになります。計画を立てたり、判断することも難しくなります。
認知の変動 1日のうちの時間帯により、頭がはっきりしているときとぼーっとしているときが出る症状。ぼーっとしているときは、同じところを長い間見つ続けることもあります。
抑うつ 気分の落ち込み、悲観的、やる気がなくなっていく症状。
寝ているときに異常な行動をする 寝ているときに大きな声で叫んだり、暴れたりする症状。
自律神経症状 立ちくらみ、便秘、排尿障害、口の中が乾燥する、汗をかかない、汗をかきすぎるなど。血圧や体温調整が難しくなることも。
幻覚 人や動物など、実際にはそこにいないものが見える症状。
パーキンソン症状 手足の震え、筋肉が硬くなる、動作が遅くなるなどパーキンソン病の症状に似た症状。

パーキンソン病認知症

パーキンソン病認知症は、パーキンソン病のほかの症状が出てから10~15年後に発症します。記憶力や注意力の低下、考えることが難しくなるのはほかの認知症と同じです。計画を立てたり、難しい課題を行う能力が低下するのはアルツハイマー型認知症よりも多く、早く見られる傾向があるのが特徴。

レビー小体型認知症よりも幻覚症状は軽度。

パーキンソン病認知症は、認知症がないパーキンソン病の人に比べて、体のバランス感覚は悪くなる傾向にあり、転びやすくなります。筋肉のこわばりや運動が遅くなる症状の悪化も早いです。

どうやって診断するの?

認知症かどうかを診断するには、医師の診察による評価と、CTスキャンやMRIによる画像診断があります。まず、認知症かどうかを診断します。認知症の診断が付いたらレビー小体型認知症かパーキンソン病認知症かを判定します。

認知症検査

診察 身体症状を本人や家族から聞き取る。
精神状態検査 高齢による記憶力に低下、軽度の認知機能障害、うつ病と認知症の鑑別検査

認知症の種類の鑑別

レビー小体型認知症は、パーキンソン病に似た症状が出ることと、幻覚、精神状態が不安定になることが特徴の一つ。他の認知症と判別するためにもCTスキャンやMRI検査が行われます。PET(陽電子放出断層撮影)やSPECI(単一光放出型CT)も有効。しかし、症状が似ているのでレビー小体型認知症と、パーキンソン病認知症の鑑別は困難な場合も。

レビー小体型認知症 精神機能の低下と、身体の症状が同じ時期か直後に起こる
パーキンソン病認知症 身体の機能低下が起こって、何年か経ってから精神機能が低下がおこる

体の機能低下のほうが精神機能の低下よりも重度なことがある

認知症の治療はあるの?どうしたらいいの?

まずは、生活環境を整えよう

明るく楽しい、穏やかな環境を作る工夫をしましょう。音楽を流したり、ラジオやテレビからの刺激も有効です。また、1日の計画を立てておくことも効果的。食事、入浴、睡眠などの1日の活動を同じにすることは、認知症になった人の見当識をや記憶の助けるのに役立ちます。

回想法

認知症になると、最近の出来事は思い出すのが難しく、昔のことは覚えているのが特徴。昔の記憶を人に話したり聞いたりするのが回想法です。人に昔の話をすることで認知機能の向上が期待されます。昔住んでた場所の話や昔見た映画などの話でもOK。

音楽療法

精神を安定させるために、音楽を聴くことや歌うことが効果的とされています。

園芸療法

認知症になると、季節を感じることが難しくなります。外で草花に触れることで脳に良い刺激を与えます。春は桜、秋は紅葉など季節に合った草木に触れることがより効果的。

薬物療法

レビー小体型認知症やパーキンソン病認知症の場合も、アルツハイマー型認知症の薬剤を使用することがあります。精神状態改善が期待できます。また、どちらの認知症でも、パーキンソン病の治療薬を使うことで、体の震えや筋強剛などの症状に効果的。しかし、レビー小体型認知症の方にパーキンソン病の治療薬を使った場合、妄想や、幻覚、錯乱などの精神症状を悪化させてしまう可能性もあります。医師と話し合い適切なお薬を服用しましょう。

パーキンソン病認知症は予防できるの?

脳に良い刺激をあたるものとしてポピュラーなのが「脳トレ」。簡単な計算やパズルは脳に良い刺激を与えます。また、日常の中で、興味があることに取り組むことも認知症を予防する方法の一つです。日記をつけたり、体に負担がかからない程度に体を動かすことも効果的。生活環境を整えたり、瞑想法、音楽療法など、上記の治療法は予防にも役立ちます。ぜひ、取り組んでみてください。

介護を行う人のケアも忘れずに!!

パーキンソン病も、認知症も進行する病気です。いずれも、体が思うように動かなくなってしまうため、他の人からの介護が必要となってきます。これは仕方がないことですが、介護をする人にも負担がかかり、心身ともに疲れてしまうことも。

介護者を一人に決めない 同じ人が介護をするのではなく、交代制にするなど家族や介護をする人の間で話し合っておきましょう。

介護者が変わると認知症の方が驚いてしまったり、誰かわからなくて戸惑うことも。それは、仕方がないことなので、毎回挨拶して安心してもらいましょう。

必要な場合は社会資源を活用する 介護保険制度を活用しましょう。

訪問介護、訪問看護、デイサービスなど、今では様々な社会資源があります。かかりつけの病院や、区役所などで相談してみましょう。

介護をする人も休む時間を作る 介護をする人の責任感が強いほど、休むことに躊躇する傾向も。自分一人で頑張らず、家族や周りの人と協力しながら認知症になった方の介護をしていきましょう。

パーキンソン病と認知症についてまとめてみると・・・。

ラベンダー

パーキンソン病は、脳で起こる病気でしたね。また、認知症のリスクもあることをお伝えしました。パーキンソン病も認知症も医学の進歩により進行を遅らせることは可能となりました。でも、残念ながら根本的な治療はできません。ただ、パーキンソン病になってもきちんと治療すると一般的な人と平均余命に大きな差はなことお伝えしました。パーキンソン病になったら、しっかりと病気の向き合い、医師や看護師の相談し、家族の手を借りながら病気と付き合っていきましょう。

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