介護

【基本がわかる】介護予防特定施設入居者生活介護とは?簡単に解説

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高齢化が進む社会。調べると様々な介護サービスがありますよね。
代表的な施設サービスは、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービス、有料老人ホーム、グループホームなどでしょうか。

「どのサービスも種類も多くて難しいし、よく分からない!」と思う方も少なく無いのでは?

そこで今回は、有料老人ホームなどの「特定施設」に焦点を当て、そこで受けることができるサービスである
介護予防特定施設入居者生活介護について、解説します。

  • 特定施設サービスの利用を考えている人
  • 特定施設入居者のご家族
  • 特定施設サービスの仕組みや概要を知りたい人

このような方は、是非参考にしてみてください。

この記事の監修者
睡眠健康指導士、建築物環境衛生管理技術者
佐々木崇志
東北大学大学院薬学研究科修了。修士(薬科学)、建築物環境衛生管理技術者。 修了後は臨床研修指定病院で医局秘書や学生担当として全国の医療を志す学生や医療従事者と携る。勤務していく中で睡眠に関する訴えが医療従事者にも多い事に気づき、自身も医療従事者や患者の助けにならないかと考えるようになり個人で活動を始める。現在は東北を活動の拠点として睡眠(体内時計・時計遺伝子)の研究の経験、資格の知識を生かしながら睡眠啓蒙活動を行なっている。

介護予防特定施設入居者生活介護とは?

見出し「介護予防特定施設の目的」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特定施設に入居している要支援者に対して、介護予防を目的とする日常生活上の支援や、機能訓練を提供するサービスのことです。

ここでいう「特定施設」というのは、有料老人ホームなどを指します。

有料老人ホームの他にも

  • サービス付き高齢者向け住宅
  • ケアハウス
  • 養護老人ホーム

があり、施設種別は全4種類です。

特定施設は略称

「特定施設」というのは略称で、「特定施設入居者生活介護」が正式な名称です。

また、特定施設入居者生活介護は厚生労働省から指定を受けなければならず、「介護付き有料老人ホーム」と呼ばれます。

指定を受けていない施設は、外部から「訪問介護」などのサービスを利用することになり、金額に違いが出るため注意が必要です。

指定を受けている特定施設 指定を受けていない特定施設
施設は「介護付き」でサービスを受けることができる

費用は定額制

施設は介護付きでは無いため「訪問介護」などのサービスを利用

費用はサービスを利用した分だけ払う

このようにサービス利用料に違いがあります。

類似したサービス

介護予防を目的とした当サービスですが、名前が似ているサービスが2つ存在します。
それは、「特定施設入居者生活介護」「介護予防特定施設入居者生活介護」です。

これらは名称も似ていて、どういった違いがあるのかイメージが湧きにくいですよね。順番に解説していきます。

特定施設入居者生活介護

「介護予防」という用語が付いていません。
名前の通り、要介護の方が受けるサービスとなっています。
対象者は要介護1以上となっています。

主なサービス内容は以下の通りです。

  • 食事、排泄、入浴などの身体介護
  • リハビリテーションなどの機能訓練
  • 療養上のお世話(看護、介護)
  • 買い物代行、掃除などの生活支援

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型と名の通り「同市町村に住民票がある人」が対象です。
こちらのサービスも同様に、対象者が要介護1以上となっています。

主なサービス内容は以下の通りです。

  • 食事、排泄、入浴などの身体介護
  • リハビリテーションなどの機能訓練
  • 療養上のお世話(看護、介護)
  • 買い物代行、掃除などの生活支援

サービス内容は、上述したサービスと基本的に類似したものになります。
また、それぞれの地域の特色があるため、アットホームな雰囲気があるのも特徴です。

要介護状態とは

補足として、要介護状態について説明します。

要介護状態とは、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態です。
また、要介護は7区分に分けられており、以下のようになります。

要介護区分 要介護区分の目安
要支援1 基本的に日常生活は自立しているが、買い物などに支援が必要な状態
要支援2 基本的に日常生活は自立しているが、筋力低下などにより支援が必要な状態
要介護1 基本的に日常生活は遅れるが、要支援2よりも身体機能が低下している状態
要介護2 自立歩行が困難、認知症の症状がみられ、見守りや介護が必要な状態
要介護3 要介護2より身体機能の低下、認知症の進行がみられ介護が必要な状態
要介護4 自力移動が難しく、また意思疎通も困難であり、介護が必要な状態
要介護5 基本的に寝たきり状態で、概ね全介助が必要な状態

このように、サービス利用者の要介護状態や居住地ごとに、利用できるサービスがあることがお分かりいただけたでしょうか?

それでは、今回の本題である介護予防特定施設入居者生活介護の解説に戻ります。
次は介護予防特定入居者生活介護の目的について解説します。

介護予防特定施設入居者生活介護の目的

見出し「介護予防特定施設の目的」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主な目的は、要介護状態になることをできる限り防止することです。
そのため、できるだけ自立した生活を過ごすことが重要です。
施設では入居者にできることは自分で行っていただく「自立支援」を行います。

例えば…

・食事 →自身で咀嚼、嚥下をスムーズにできるように声かけや見守りを行う
・排泄 →ズボンの上げ下ろしのみ介助し、立ち座りは自身で行ってもらう
・入浴 →足先まで手が届かない場合、その部分のみ介助を行う

これが自立支援となります。

介護は「困ってることは全てしてあげる」と考えてしまうかも知れません。
しかし、自身でできることはできるだけ行ってもらうことが要介護の防止に繋がるのです。

具体的なサービス内容は?

冒頭で「日常生活上の支援」「機能訓練」を行うと説明しましたが、具体的に何を行うのか解説します。

日常生活上の支援

  • 介護職員による食事、排泄、入浴などの介助
  • 居室の清掃や衣類の洗濯、買い物代行
  • 看護職員による医療的ケア、服薬管理

機能訓練

  • 機能訓練指導員による機能訓練
  • 個別訓練プログラムの提案と実施

以上がサービス内容です。
サービス内容は施設ごとに異なる場合があるため、事前に確認が必要です。

次は、これらのサービス費用、利用するメリット、デメリットについて解説します。

費用(自己負担額)はどのくらい?

見出し「介護予防特定施設の自己負担額」

 

 

 

 

 

 

 

利用料金(1日あたりの基本料金)

要介護区分 自己負担額(1割負担の場合)
要支援1 180円
要支援2 311円

※上記は、自己負担1割の場合の金額です
※食事代、おむつ代、その他日常生活に必要な物品費用が別途必要になります。また、施設入居費用が別途かかる場合があります。
※施設の所在地、サービス提供体制、サービスの内容等に応じて利用料は異なります

出典:厚生労働省「特定施設入居者生活介護 (参考資料)」

1ヶ月あたり、約5400〜9330円+食事などその他生活費用でサービスを利用できるということですね。

メリットとデメリット

特定施設入居者生活介護のメリットでメリット

 

 

 

 

 

 

 

 

 

要介護状態防止を目的とする介護予防特定施設入居者生活介護ですが、どのようなメリットデメリットがあるのでしょうか。

メリット

メリットは、手厚いサービス(介護、医療、機能訓練、日常生活支援)があることです。
「介護予防」を目的にしているため、専門的なサービスを受けることができます。
さらに、特定施設では介護看護職員が24時間常駐しているため、緊急時にも対応してくれます。

また、認知症の進行などにより要介護度が上がったとしても転居しなくて良い場合があります。

デメリット

デメリットは、介護サービスの他に、入居時費用や月額利用料が掛かることです。
訪問介護や日帰りのデイサービスでは、施設費用はかからないため、月額費用がかかることが大きな違いです。

現在の状況を踏まえ、どのサービス利用が適しているかを考える必要があります。
これらの情報を基に、介護予防特定施設入居者生活介護の入所におすすめな人をまとめました。

サービスの利用に向いている人

入所におすすめな人は次のような人です。

  • 介護が必要になってきたが、できるだけ自立して過ごしたい人
  • 安心できる環境で介護サービスを利用したい人

介護が必要になってきたが、できるだけ自立して過ごしたい人

特定施設では、必要な時に必要な介護を自立支援で受け、その時間以外は自由に過ごすことができます。
また、部屋も個室であるため、プライベートの時間を確保できます。

そのため、「できるだけ自分の力で生活したい」と思う方にも向いているといえます。

安心できる環境で介護サービスを利用したい人

特定施設では、ケアプランに基づいた一人ひとりにあった介護サービスを行います。
職員が24時間常駐しており、もしものことがあっても対応してくれるため、安心して生活することができます。

施設、運営、人員配置基準は?

介護予防特定施設の施設基準

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、介護予防特定施設入居者生活介護における施設基準と運営基準について順番に解説します。
それぞれの施設の職員体制や居室の特色なども、サービス利用を考慮するうえで必要な要素です。

①施設基準

介護居室 原則個室、プライバシーの保護に配慮、介護を行える適当な広さ、地階に設けない等
一時介護室 介護を行うために適当な広さ
浴室 身体の不自由な者が入浴するのに適したもの
便所 居室のある階ごとに設置し、非常用設備を備える
食堂、機能訓練室 機能を十分に発揮し得る適当な広さ
施設全体 利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間と構造

出典:厚生労働省「特定施設入居者生活介護 (参考資料)」

②人員配置基準

  • 管理者:1人
  • 生活相談員:要介護者100人につき1人
  • 看護・介護職員:①要支援者10人につき1人(ただし看護職員は30人までは1人、30人を超えると50人ごとに1人)
  • 機能訓練指導員:1人以上
  • 計画作成担当者:1人以上

職員体制が整っているか、居室の設備、その他施設全体の構造も確認することが大切です。

その他の豆知識

医療費控除の対象にはならない

医療費控除とは、年間に支払った医療費が一定額を越えた場合に、所定の手続きをすることで、税金を再計算するものです。
こちらは、介護保険サービス(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)で適応されます。

しかし、介護予防特定施設入居者生活介護では対象とならないため、注意が必要です。

住所地特例の対象

住居地特例とは、介護保険被保険者が市外に転出し、同時に介護保険施設に入所した際に前住所の市町村が引き続き、介護保険の徴収を行う制度のことです。
これは、施設等が多く建設されている地域とそうではない地域の、財政の不均衡を無くすための制度です。

まとめ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回、介護予防特定施設入居者生活介護について解説しました。

要点を以下にまとめました。

  • 要支援1〜2の人が利用できる介護予防サービス
  • 手厚いサービス(24時間職員常駐)がある
  • サービス内容は、食事排泄入浴などの支援や、機能訓練
  • 1ヶ月あたり5400円〜9330円で利用できる(別途費用必要)
  • 費用のほかに、設備や職員体制も施設選びの基準にする

介護サービスは種類が多く、何を基準に選べばわかりませんよね。
しかし、本記事で紹介をしたサービス内容を知れば、その他介護サービスを知る時にスムーズに理解することができますよ。

また、手厚い医療介護サービスを受けながら、自立した生活を過ごしたい方は利用を考えてみてはいかがでしょうか。
今回の内容が、少しでも参考になれば嬉しいです。

 

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FitMap Wellnessを運営する株式会社FiiTは、正しいヘルスケアを直接ユーザー様へお届けすることはもちろん、ヘルスケアを提供する事業者の属人性も無くし、「誰でも健康になれる世界」を創るヘルスケアベンチャーです。 毎日有益コンテンツを制作しています。
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