睡眠時間が足りないと、さまざまな不調が引き起こされます。
症状がひどいと、日常生活や仕事にも支障がでるため、適切な対処が必要です。
今回は不調の中でも吐き気に焦点を当ててお伝えしていきます。
「なぜ寝不足になると吐き気がするのか。」
「吐き気がする時はどう対処するとよいのか。」
「そうならないためにはどんな対処法をとればいいのか。」
こんなお悩みを持つ方には、特に読んでいただきたいです。
吐き気が起こる原因から理解し、適切に対処できるようにしましょう。
寝不足が体や精神に及ぼす影響
そもそも寝不足になると、どんな悪影響があるのでしょうか。
以下に代表的なものを挙げてみました。
- 日中に眠気が残る
- 意欲の低下
- 記憶力の低下
- 免疫力の低下
- 生活習慣病にかかりやすくなる
風邪にかかりやすくなったり、ホルモンバランスが崩れて食欲が増したり、太りやすくなったりもします。
このように、寝不足はさまざまな影響を及ぼします。より詳細が気になる方は以下の記事も参考にしてください。*1
*1 睡眠不足が体や精神にもたらす影響は?:https://wellness.fitmap.jp/2089/
寝不足で吐き気がするのはなぜか?
では、寝不足で吐き気が起きる原因はなんなのでしょうか。
それには、神経の働きが関係しています。私たちの体には、以下の3つの神経があります。
- 感覚神経
- 運動神経
- 自律神経
感覚神経は感触に、運動神経は手足を動かすことに、自律神経は血圧の調整や消化器官の動きに関わっています。
この3つの神経の中で自律神経の乱れが、吐き気につながります。
さらに、自律神経は『交感神経』と『副交感神経』に分けられます。
交感神経は活発に活動をするための神経で、副交感神経は体を休めてリラックスさせる神経です。
通常だと、日中は交感神経が優位となり、睡眠中は副交感神経が優位となります。ただし、寝不足になると切り替えがうまくいかず、交感神経が優位のままとなってしまいます。
副交感神経には、食べ物の消化がしやすいように、消化管の動きを活発にする働きがあるのですが、それがうまく機能しないようになります。
さらに交感神経には、すぐ行動できるように消化管の動きを緩める働きがあるため、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかないことで、吐き気が起きるようになります。
病気が隠れている可能性は?
寝不足になることで自律神経に乱れが生じると、胃や腸が正常に働かなくなります。その結果、吐き気のほかにも胃もたれ、下痢、便秘などが引き起こされ、生活の質を下げることにつながっていきます。
たとえば、過度な下痢によって通勤することに不安を感じ、何度も繰り返すうちに通勤できなくなることもあります。過敏性腸症候群と呼ばれる病気で、日本人の10〜20%がかかっていると言われています。*2
*2 過敏性腸症候群について:https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=5
ほかには、自律神経失調症もあります。
今回のように、交感神経と副交感神経のバランスが乱れて、さまざまな症状が発症する状態のことです。
たとえば、吐き気以外にも、精神的に不安定になったり、倦怠感に悩まされたり、うつ状態になったりと、体にも精神にも悪影響を及ぼします。
そのため、現在起こっている症状が寝不足によるものなのか、それともほかに原因があるのかを見極めることが重要です。
見極める際のポイントですが、たとえば、以下のような時は注意が必要です。
- 急に激しい症状に襲われる
- 時間を置いてもどんどん症状が強くなる
- 吐き気以外にも、高熱や麻痺などの症状が見られる
こういった症状がある場合は、何らかの病気である可能性がありますので、すぐに医療機関を受診し、検査してもらいましょう。
ストレスも関係あるの?
先ほどご紹介した、過敏性腸症候群や自律神経失調症にも、ストレスが大きく関わっています。
十分に眠れているのに、ストレスを感じることで睡眠不足になってしまい、その睡眠不足がさらにストレスを生むことがあります。このような負のサイクルに陥ってしまうと、自律神経が乱れる原因となり、さまざまな病気を引き起こすきっかけとなってしまいます。
睡眠不足の解消も大切ですが、ストレスを溜めすぎず、解消できるように日々の生活でも気をつけて行動することが重要です。
寝不足で吐き気があるときの対処法
「寝不足だけど、どうしても今日は休むことができない。」
どうしても、仕事や学校を休めない日もあるかもしれません。では、そんな時に寝不足で吐き気が起きてしまった際は、どう対処すればよいのでしょうか。
いくつか対処法をご紹介しますので、その時の体調に応じて試してみてください。
仮眠をとる
休憩時間で仮眠をとることで、症状が軽減されることがあります。おすすめの時間は30分〜1時間ほどです。
通常の仮眠であれば、15〜30分ほどが夜の入眠を妨げない時間としておすすめですが、寝不足の場合だと、同じ時間仮眠をとっても頭がスッキリしないこともあります。
そこで、まず30分でアラームをかけておき、起きた時にスッキリしていなければ再度30分仮眠してみましょう。体調を確認しながら、調整してみてください。
また、仮眠をとる前にコーヒーなどでカフェインを摂取しておくと、起きやすくなります。
どうしても時間が取れない場合は、目をつむるだけでも効果はありますので、短い時間でも構いません。仮眠をとってみましょう。
朝起きたら入浴する
朝に目が覚めて時間に余裕があれば、お風呂に入りましょう。温度は37℃〜39℃のぬるま湯で、10分以上ゆっくり浸かるのがポイントです。
朝からゆっくり入浴することで、副交感神経が優位な状態にすることができ、消化管の働きを正常に戻すことができます。
寝てもなかなか改善しない時などにおすすめです。
消化の良いものを食べる
先ほど述べたとおり、寝不足が続くと胃腸へ悪影響がでるため、食べ物によってはより吐き気を促進してしまう可能性もあります。
ただし、何も食べないのはより体調を悪化させる可能性もあるため、食べやすいものでエネルギーをしっかりと摂取しましょう。少し糖分をとるだけでも、頭にエネルギーが回り、吐き気が軽くなることがあります。
ただし、消化の良いものを食べるように気をつけてください。おかゆやうどん、固形物が難しければスポーツドリンクやフルーツジュースなどで糖分を摂取していきましょう。
吐きそうならば我慢しない
我慢せず、吐いてしまったほうが楽になる場合もあります。そんな時は我慢せず吐いてください。ただし、吐いた後はのどが胃酸で荒れてしまうため、水分を補給しつつ、胃酸を洗い流すようにしてください。
吐き気が起きないよう気をつけること
ここまでは、吐き気が起きた時の対処方法をお伝えしましたが、そうならないよう日頃の生活に気をつけて予防することも大切です。
ここでは、日頃の生活で気をつけるとよいことを、いくつかご紹介します。
自律神経を乱さないようにする
大前提、自律神経が乱れないよう、意識して生活することが大切です。夜ふかしや食べ過ぎなどは控え、生活リズムが乱れないようにしましょう。
ただ、どうしてもストレスや疲労は溜まります。ですので、自分なりのリラックス方法を見つけておきましょう。人によってリラックスできる方法は異なるので、普段どんなことで癒されているかを理解し、必要な時に使えるようにしておくことが大切です。
そして、しっかりと眠りましょう。まず快適な睡眠環境を整え、寝る時間を確保しましょう。寝室の温度は20℃前後、湿度は40〜70%、睡眠時間は7〜9時間が成人でとる目安となりますので、参考にしてください。
ただし、眠ろうと意気込みすぎると、かえって頭が冴えるもあります。そんな時は眠らないとと考えすぎず、リラックスすることを重視してください。
睡眠に効果的な栄養素と食べ物
寝不足にならないためにも、日頃からしっかり栄養を摂り、健康を維持することも大切です。自身の胃腸の状態も考え、食べ物を選びましょう。
ここでは、睡眠によいとされる栄養素や食材を紹介します。ぜひ、日頃の食事を考える上での参考としてください。
乳酸菌
乳酸菌を適度に摂取することは、睡眠によい影響を及ぼすことがわかっています。
最近では、睡眠の質が改善されるものもありますので、日常的に乳酸菌を摂取していきましょう。
ビタミンB1
よく眠るためには疲労回復も重要です。ビタミンB1は疲労回復に役立ちます。糖質をエネルギーに変える働きがあるため、疲れにくくなることがわかっています。
豚肉に多く含まれており、たまねぎやニンニクに含まれているアリシンとよばれる栄養素と一緒に摂取すると、ビタミンB1の吸収率が上がるのでおすすめです。
クエン酸
クエン酸も疲労回復に役立ち、体内でエネルギーを生成するサポートをしてくれます。
レモンやグレープフルーツ、お酢などに多く含まれています。お酢の飲み物も最近出てきています。定期的に摂取し、疲れを残さないようにしましょう。
コエンザイムQ10
エネルギーを作り出すのになくてはならないものです。体内で合成されますが、加齢とともに減少することがわかっています。ご自身の年齢も考えながら、量を摂取していきましょう。ブロッコリー、イワシ、牛肉などに多く含まれています。
さらに、ゴマを一緒に摂るのがおすすめです。ゴマにはセサミンが含まれており、一緒に摂るとより効率良くコエンザイムQ10を体内に吸収できます。
L-カルニチン
L-カルニチンもエネルギー生成をサポートする栄養素で、脂肪の燃焼を助けてくれます。
おもにラム肉やかつお、牛肉などに含まれています。
食べ過ぎや間食のとりすぎに注意
どんなに体によい食べ物も、食べ過ぎると体に毒です。食べ過ぎや間食のしすぎは、胃の消化吸収力を低下させ、不調の原因となります。腹八分目を意識したり、間食をする場合は時間を空けるなど気を付けましょう。
また、寝る直前に食事をすると、睡眠中は消化にエネルギーが回されるため、睡眠の質が下がります。食べる時間帯も注意しましょう。寝る前の2〜3時間は、何も食べないのがおすすめです。
まとめ
今回は寝不足によって引き起こされる『吐き気』に焦点をあてました。
いかがでしたでしょうか?
寝不足による吐き気が続くことで、ストレスを増大させ、自律神経を乱し、重大な病気につながる可能性があります。そうなりたくないですよね。
よい睡眠をとって快適な生活を送るために、日常的にリラックスする時間を作ったり、睡眠時間を確保したり、寝不足に効果的な食べ物を選びましょう。
早速、今日からできることを始めて、寝不足にならないようにしていきましょう。