「夜しっかり眠っているのに、日中に眠くなる」
「朝起きられない」
こういった悩みを抱えている方は多いです。
睡眠時間を長めに確保しているにも関わらず、日中に眠くなってしまうととても困りますよね。
とくに運転の仕事をしている方の場合は重大な事故に繋がります。
そうならない為にも、眠気の原因にはしっかりと対処したいですよね。
低血圧だと眠くなる?
低血圧の人は朝に弱いという話を聞いたことがありませんか?
実際、高血圧の人と比べて低血圧は体が目覚めるのが遅いです。
なぜそうなってしまうのかを解説していきます。
そもそも血圧って?
血圧とは、血液が血管を通る際に加わる圧力の事を指します。
動脈の収縮に対して血液の量が多ければ高血圧になりますし、血液量が少なければ低血圧になります。
血液の量が少なくても低血圧になりますし、血液量は普通でも心臓から押し出される量が少なければ低血圧となります。
血流が発生する仕組みとしては、心臓が縮むことで血液が全身に押し出され、拡張することで全身の血液を心臓へと戻しています。
高血圧と低血圧の基準
高血圧の基準について、病院などで検査する場合は140/90mmHg以上、家庭で計測する場合は135/85mmHg以上が高血圧と定義されます。
自宅で測定するのと病院で測定するのとでは数字が変わってしまうので、このような違いが設けられています。
高血圧は明確な基準があるのに対して、日本では低血圧に関して基準がありません。
WHOでは100/60mmHg以下が低血圧であるとされています。
低血圧は高血圧に対して、即座に治療が必要なほど重症化しにくいので、あまり重視されていません。
低血圧の症状
重症化しにくいとはいえ、低血圧は日常生活に大きく影響します。
主な症状は以下の通りです。
- めまい、立ちくらみ
- 動悸、息切れ
- 食欲不振、腹痛
- 疲労感、倦怠感
- 頭痛
これらが一般的な症状です。
低血圧は男性よりも女性に多く見られます。
低血圧の種類
主に3つあります。
- 一次性低血圧(本態性低血圧)
- 二次性低血圧(症候性低血圧)
- 起立性低血圧
順に解説していきます。
一次性低血圧(本態性低血圧)
一次性低血圧とは、これといった病気が無いにも関わらず血圧が低い状態のことを指します。
とくに治療の必要がありませんが、体調不良が起こりやすく日常生活に大きく影響します。
遺伝的な要因が大きいです。
二次性低血圧(症候群性低血圧)
一次性低血圧が遺伝的な要因であるのに対して、二次性低血圧は何らかの疾病が原因で起こる低血圧です。
具体的な病名は以下の通りです。
- 胃腸や心臓などの疾患
- 甲状腺機能低下症
- ケガによる大量出血
- 末期がん
- 貧血
- 糖尿病
低血圧の場合はこれら病気を疑う必要があるので、医師の診察を受けましょう。
起立性低血圧
急に立ち上がるとクラクラしたりしますよね。これが起立性低血圧と呼ばれるものです。身体を動かしても起こります。
下半身に溜まった血液が戻りにくくなってしまうことが原因です。
血液が戻らないと血圧が急激に下がってしまい、立ちくらみやめまいに繋がります。
多くの場合は一次性低血圧です。病気というよりは体質と呼べるものです。
低血圧の人は朝が弱い?
低血圧の人は朝が弱いという話を聞いたことがありませんか?
実は、低血圧だから朝に弱いというのは正確ではありません。
低血圧だからというより、自律神経が乱れているせいで朝起きられない状態になっているというのが正しいです。
自分は低血圧だから朝に弱いんだと思っていた方は、自律神経を整えることで朝スッキリと起きられるようになるかもしれません。
自律神経とは?
人間の体は自律神経によって様々なリズムが作られています。代謝や内臓の働き、体温などは自律神経によって整えられています。
自律神経は交感神経と副交感神経の2種類が存在します。
交感神経
日中活動する時は、交感神経のスイッチがオンになります。体を緊張させる神経です。
興奮しているときやストレスを感じているときに高まります。
交感神経はリラックスとは真逆の効果があるので、睡眠時の切り替えが上手くいかない場合は睡眠障害に繋がります。
副交感神経
夜は副交感神経が優位になります。このスイッチがオンになることによって心と体がリラックス状態になります。
人間が眠りにつく際は副交感神経が優位になります。
全身がリラックス状態になることで、眠ることができます。
副交感神経は睡眠の質にも大きく影響します。寝付きが悪いという方は、この副交感神経が優位になりにくいのが特徴です。
これらのバランスが崩れた状態が自律神経失調症と呼ばれるものです。
低血圧と自律神経失調症の関係
体質的な要因によって引き起こされる自律神経失調症のことを、本態性自律神経失調症と呼びます。
その要因の一つに低血圧が挙げられます。
低血圧の方は本態性自律神経失調症になりやすいです。
もっとも効果的な対策は体質改善です。低血圧を改善することで自律神経失調症の症状も改善します。
低血圧だと日中に眠くなりやすい
低血圧であることが眠気の原因というよりは、低血圧によって自律神経が乱れた結果、眠気が襲ってくるという言い方が正しいです。
自律神経が乱れることによって交感神経と副交感神経の切り替えが上手くいかず、日中に眠くなってしまいます。
日中に眠くなってしまう場合の対処方法
本来眠るべき時間ではないのに眠くなってしまうという場合、副交感神経が優位になっているので、これを直してあげる必要があります。
交感神経が優位になるようなことを行うのがよいです。
軽い運動を行う
身体を動かすことによって全身の血流が活性化します。そうすると血圧が上がります。
また、筋肉を緊張させることによって交感神経が優位になります。
軽い運動を行う際は、足を使うものがよいでしょう。
足の中でもふくらはぎは第2の心臓とも呼ばれており、下半身の血液を心臓へと押し戻すための重要な筋肉です。
低血圧の方はとくにふくらはぎを動かすことを意識しましょう。
具体的には階段の昇降やウォーキングなどがおすすめです。
呼吸を整える
酸素の供給量を増やしてあげることも有効な手段の一つです。
深呼吸を行うことで脳に酸素が行き渡ります。集中力も上がり、日中のパフォーマンスも向上します。
昼寝をする
やはりもっとも効果的なのは昼寝です。
お昼休憩に15分程度の睡眠をとるだけで眠気がスッキリします。
眠る前にコーヒーなどを飲んでおくと、気持ちよく起きられます。
ただし、あまりに疲労が溜まっている場合、寝すぎてしまうこともあるので注意が必要です。
アラームをかけることを忘れないようにしましょう。
また、眠れなくても目を閉じているだけで疲労を回復させることができます。
目を使うという行為は意外と体力を使います。
休憩時間にスマホをいじってしまうという方は、一度スマホから離れてみましょう。意外と体力が回復するのでおすすめです。
食事のあとに眠くなる場合
食事のあとに眠くなったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
食後に眠くなる原因は、血糖値が急上昇と急降下を起こすことで発生する血糖値スパイクです。
血糖値スパイクが発生すると脳に供給される血糖値が下がり、脳の活動が抑制されます。それが眠気に繋がっています。
また、血圧が低下することでも眠気が発生します。これは食事性低血圧と呼ばれています。
食後低血圧の対策
食後低血圧に有効なのは食生活の改善です。
具体的な方法をいくつか見てみましょう。
血圧の低下を抑えるには炭水化物を控えよう
食後に血圧が下がるというのは誰にでも起こる現象です。
炭水化物を摂取すると、食後の血圧が低下しやすいです。
また、砂糖を摂取し過ぎることも血圧の低下に繋がります。
カフェインをとる
コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるカフェインは食後低血圧の予防に効果的であると言われています。
血管を収縮させる効果があるので、血圧が下がりにくくなります。
ただし、夜遅い時間に飲んでしまうと眠れなくなってしまうので注意が必要です。
ゆっくり食べる
早く食べ過ぎると腸に血液が溜まり、それによって血圧が低下します。
早食いは消化にも悪く、胃腸に負担がかかるので改善に努めましょう。
食後は動かない方がよい
食後に血圧が下がりやすいという方は、食後の運動を控えた方がよいです。
めまいや立ちくらみを起こしてしまうと、思わぬ事故に繋がってしまいます。
また、運転の仕事をしている方も食後は休息を取るようにしましょう。運転中にめまいなどを起こすととても危険です。
低血圧の改善
低血圧による眠気を改善したいのであれば、低血圧そのものを直していく必要があります。
日常で改善すべき点がいくつかあるので紹介していきます。
水分を摂取する
血圧とは、血管にかかっている圧力です。
血管の大きさに対して血液量が少なければ低血圧となりますし、その反対であれば高血圧となります。
低血圧の方の場合、血液量を増やしてあげる必要があります。そのためには水を飲むことが大切です。
水分は食事からでも摂取できますが、それでは量が足りません。
1リットル程度の水分を摂取するように心がけましょう。その際、利尿作用のある飲み物は控えて下さい。
水分補給の目的でコーヒーを飲む方がいますが、カフェインには利尿作用があるので効果的とは言えません。
同じ理由でお酒なども水分補給には向いていません。
運動の習慣を身に付ける
運動すると疲れて逆に眠くなるのではないかと思うかもしれませんが、低血圧が原因で眠気を誘発している場合は運動が必須です。
運動することによって全身の血の巡りが良くなります。
低血圧の方は血の巡りが悪い場合があるので、運動習慣をつけることによって血液が流れやすい状態を作ってあげる必要があります。
栄養バランスにも気を付ける
高血圧の方は塩分控えめの食事をとらなければなりませんが、低血圧の方は真逆で塩分が不足しがちです。
適度な塩分をとりつつ、お肉と野菜とお魚をバランスよく食べましょう。
また、1日1食などのダイエットなどは避け、毎日3食しっかりと食べた方がよいです。
過激なダイエットを行うと体調不良が悪化してしまう可能性があるので、低血圧の方は控えるようにしましょう。
睡眠の質を高める
日中に眠くなってしまう原因として、寝不足や睡眠時間の質が低いことが考えられます。
眠る前にスマホやパソコンの使用を控えるなど、対策を行う必要があります。ストレッチも効果的です。
また、適切な睡眠時間は個人差があるので、自分に合った睡眠時間を知ることも大切です。
ある程度の時間は必要ですが、長ければよいというものでもありません。
寝すぎることもまた問題です。
寝具を見直すことも大切
睡眠の質を上げるためには、枕やマットレスなどの寝具を見直すのもよいです。
日常生活において、睡眠時間が占める割合はとても大きいです。
自分に合っていない寝具を使い続けてしまうと、睡眠の質が上がらず、原因不明の体調不良に悩まされてしまいます。
睡眠時無呼吸症候群などを発症してしまうと、睡眠中に上手く眠れず日中に眠気が襲うようになります。
枕が合っていないと、喉が圧迫されて呼吸が止まってしまいます。
自分で解決することも一つの手ですが、可能であれば病院での診察を受けた方がよいです。
まとめ
低血圧が眠気の原因であるというよりは、低血圧によって引き起こされる自律神経の乱れの方が原因であるといえます。
低血圧の方は自律神経が乱れやすいので、日常からしっかりと意識して整えてあげる必要があります。
日中に眠くなってしまうというのは日常生活を送る上でとても不便なので、しっかりと直していきましょう。
食事や運動、水分の補給を行い、質の良い睡眠をとることで、日中の眠気を抑えることができます。
低血圧は病気というより体質的な問題なので、上手く付き合っていかなければなりません。
自分に合った方法を探して、実践していきましょう。