睡眠ノウハウ

理想の睡眠時間は?年齢別の目安や睡眠の質を上げる方法を紹介!

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「人生の3分の1を占める」と言われる睡眠。「日本人は世界で最も睡眠時間が短い」とも言われています。みなさんは自分の理想の睡眠時間を知り、質の良い睡眠が取れていますか?

 

一般的に理想の睡眠時間は6~8時間と言われますが、睡眠時間は年齢や季節によって変化することが明らかになっています。また、少なからず個人差があるため、自分にとって適切な睡眠時間を知ることが重要です。

 

この記事では理想の睡眠時間の目安を紹介するとともに、睡眠の質を上げる方法についても紹介します。日頃から睡眠に悩んでいる方の参考となり、質の良い睡眠で毎日をイキイキと過ごしていただけたら幸いです。

 

この記事の監修者
睡眠健康指導士、建築物環境衛生管理技術者
佐々木崇志
東北大学大学院薬学研究科修了。修士(薬科学)、建築物環境衛生管理技術者。 修了後は臨床研修指定病院で医局秘書や学生担当として全国の医療を志す学生や医療従事者と携る。勤務していく中で睡眠に関する訴えが医療従事者にも多い事に気づき、自身も医療従事者や患者の助けにならないかと考えるようになり個人で活動を始める。現在は東北を活動の拠点として睡眠(体内時計・時計遺伝子)の研究の経験、資格の知識を生かしながら睡眠啓蒙活動を行なっている。

年齢や季節ごとの理想の睡眠時間

理想の睡眠時間

最適な睡眠時間には「年齢」と「季節」が深く関わることが明らかになっています。ここでは注意すべき個人差についても併せて解説します。

 

◾️年齢による変化

冒頭でもお伝えしたとおり、一般的に「理想の睡眠時間は6~8時間」と言われることが多いですが、年齢によっても変化します。年齢別の平均的な睡眠時間は次のとおりです。

・25歳:7時間

・45歳:6.5時間

・65歳:6時間

このように、加齢とともに睡眠時間が減少していくことが分かっています。よく「若い時ほど寝ていられなくなった」「歳を取って朝早く目覚めるようになった」という話を聞きますが、これは年齢とともに睡眠時間も減少していくことが影響しています。

 

年齢のよる差や個人差もありますが、成人の理想的な睡眠時間は6~7時間が目安となります。

 

体は必要以上の睡眠を取ることは不可能とも言われています。逆に睡眠時間を確保することが強迫観念のようになってしまい、睡眠時間を過度に気にするあまり、かえってストレスとなり寝付けなくなるケースも。無理に寝ようと意気込むよりも、「睡眠時間6~7時間というのはあくまで目安だから、自分の好きな分だけ寝よう」と構えた方がいいかもしれませんね。

 

◾️季節による変化

睡眠時間は季節によっても変化します。春夏は睡眠時間が短くなる傾向があり、反対に秋冬は睡眠時間が長くなる傾向にあります。これは日照時間の影響により、日が長い春夏は活動時間が長くなり、日が短い秋冬は活動時間が短くなるためと考えられています。

 

「冬の朝は起きられない」なんてことがよくありますが、ある意味理にかなった欲求とも言えるでしょう。「自分の睡眠時間は◯時間!」と決めるのではなく、「アラームが鳴ったけど、冬の朝は布団が気持ちいいからもうちょっと寝よう」くらいの感覚が最適なのかもしれません。

※くれぐれも遅刻には注意くださいね。

 

◾️遺伝や個人差

睡眠時間の目安はありますが、やはり個人差もあります。短時間の睡眠で十分な「ショートスリーパー」もいれば、「最低でも毎日8時間の睡眠が必要」な人もいるのが事実です。

 

朝が得意か夜が得意か、いわゆる「朝型・夜型」については、遺伝による影響が大きいことが分かってきています。本人のライフスタイルや性格に関連づくといった主張もありますが、関連性は明らかになっていません。自分が朝型なのか夜型なのかは、自分で見極める必要があります。

 

最近では出社時刻を柔軟に調整できる「フレックスタイム制」を取り入れている会社も多くあります。朝型の人は朝早くに出社し、夜型の人はゆったりとお昼頃から出社する、なんてことも可能です。フレックスタイム制を活用できる会社に勤めている方は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

 

睡眠時間は年齢や季節によって変化しますし、少なからず個人差があります。大切なのは、今の自分に最適な睡眠時間を把握し確保すること、自分に合ったライフスタイルを確立することです。

 

睡眠の質を上げる具体的な方法

睡眠の質を上げる方法

睡眠時間の確保も重要ですが、「睡眠の質」にもこだわりたいところ。睡眠の質が悪いと、「しっかり寝たはずなのに、スッキリしない」ことになりかねません。ここでは、睡眠の質を上げるための5つの方法をご紹介します。

 

◾️毎日しっかりと入浴する

人間の体は、体温を一時的に上昇させた後、体温が下がるタイミングで入眠しやすくなるようにできています。そのため、就寝の1~2時間前に入浴をすると、体温が下がるタイミングと就寝のタイミングが重なり、眠りにつきやすくなります。

 

入浴時は、ゆるめのお湯にゆったりと浸かることが大事です。具体的には、39~40℃のお湯に10~15分浸かるようにするといいでしょう。好きな香りや炭酸入りの入浴剤を使用することで、よりリラックスすることができ、効果を高めることができます。

 

◾️自分に合った寝具を使う

睡眠の質を高めるうえで、寝具選びは重要なポイントです。「安かったから」「実家にあったから」などの理由で寝具を使い続けるのではなく、自分への投資として寝具を見直してみてはいかがでしょうか。

 

特にこだわりたいのは枕とマットレス。自分に合う枕の素材やマットレスの硬さなどは試してみないと分かりません。インターネットで購入するのではなく、実際に店頭で試してみることをおすすめします。

 

◾️食事に気を付ける

食事は就寝の3時間前までに済ませるようにしましょう。就寝前に食事を摂ってしまうと、体が睡眠よりも消化を優先してしまい、眠りにつきにくくなってしまいます。

 

前述したように、体を温めて眠りにつきやすくするため、温かい飲み物を飲むことも効果的です。就寝前におすすめな飲み物をいくつかご紹介します。

【就寝前におすすめな温かい飲み物】

・白湯…体をしっかりと温めてくれる

・ホットミルク…快眠に有効な「トリプトファン」の働きにより睡眠を促す

・ハーブティー…体を温めるとともに、リラックス効果が期待できる

 

反対に、就寝前に覚醒作用のあるカフェイン入りの飲み物は避けるようにしてください

【カフェインが入っている主な飲み物】

・コーヒー

・紅茶

・お茶

・エナジードリンク

 

アルコールに関しては、「晩酌をするとよく眠れる」と考えている人も多いですが、実際には睡眠が浅くなってしまうことが明らかになっています。さらに、利尿作用によって夜中にトイレに行く回数が増えるため、快適な睡眠を妨げてしまいます。寝る前のアルコールは避ける、または少量にとどめるのが良いでしょう。

 

最近では、乳酸菌飲料も非常に注目を集めています。睡眠の質を向上させる効果が報告されている商品もあり、店頭では品切れとなっていることも。習慣的に飲むことで効果が高まるため、ぜひ一度日々の習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

◾️適度な運動

日中に適度な運動を行うと、心地よい疲労感から眠気を誘いやすくなります。運動は睡眠のためだけではなく、健康管理の点からも積極的に取り入れたいところですね。一日30分のウォーキングから始めてみてはいかがでしょうか?

 

運動の際に注意したいのが、オーバーワークです。過度な運動は体を興奮させてしまい、眠りにつきにくくしてしまいます。最近は健康志向の高まりや理想のカラダを手に入れるため、筋トレに励んでいる方も多いようです。運動自体は素晴らしいことですから、過度なトレーニングにならないよう、気をつけてくださいね。

 

◾️寝る前のひと工夫

寝る前のちょっとした工夫ひとつで睡眠の質が改善することがあります。今日からでも始められる手軽な方法を4つご紹介します。

・ブルーライトを浴びないようにする

テクノロジーの進歩により、私たちはたくさんの電子機器を所有するようになりました。スマホやタブレット、パソコンなどの液晶画面からはブルーライトと呼ばれる強い光が放出されていて、これは体内のリズムを乱し、寝つきが悪くなる原因の一つです。最低でも就寝1時間前からはブルーライトを浴びないように心がけましょう

 

・音楽でリラックスする

アップテンポな曲や思い入れのある曲は脳を興奮させてしまい、逆効果です。スローテンポのクラシックやヒーリングミュージックで脳をリラックスさせると、よりよい入眠につながります

 

・アロマを活用する

自分の好きな香りのアロマを活用することも非常に有効です。ディフューザーやスプレー、キャンドルなどを活用してみてください。アロマキャンドルは、香りだけでなく炎のゆらめきによる視覚的な癒し効果があるため、特におすすめです。

 

・ストレッチをする

寝る前のストレッチには、心身をほぐし寝つきがよくなる効果があります。リラックスを促す「副交感神経」を優位にすることができ、かつ筋肉を緩めることで血流がよくなるため、ほどよく体を温めることができます。ただし、ストレッチのやりすぎは禁物です。体が興奮しないよう、「気持ちいい」と感じる程度に行うのがポイントです。

 

質の良い睡眠によってもたらされるメリット

睡眠のメリット

時間・質ともに十分な睡眠を取ることで、人生の充実度はぐっと上がります。睡眠による効果は数えきれませんが、ここでは質の良い睡眠のメリットを3つご紹介します。

 

◾️病気の予防になる

生活習慣病患者には睡眠時無呼吸症候群や不眠症の症状を持った方が多いことが知られており、質の悪い睡眠が生活習慣病を引き起こす原因の一つであることが明らかになっています。

【睡眠が影響する主な生活習慣病】

・肥満

・糖尿病

・高血圧

・脂質異常症

・心血管疾患

 

また、睡眠は心にも作用します。嫌なことがあっても、「一晩寝たらスッキリして、気にならなくなった」という経験を持つ人も多いでしょう。うつ病などの精神疾患に関しては、睡眠不足によって心身がすり減ってしまうことも大きく影響しています。

 

忙しい現代人の生活の中で、睡眠時間は犠牲にされがちです。しかし、日頃の質の悪い睡眠は少しずつ、確実に私たちの心と体を蝕んでいきます。やがて私たちの健康を大きく害することになりかねません。

 

健康を維持するうえで大事なことは、普段の「食事・運動・睡眠」とよく言われますよね。質の良い睡眠を取ることで、生活習慣病や精神疾患を予防につながります。健康的な毎日の実現のため、質の良い睡眠を心がけましょう。

 

◾️生産性の向上

「日本人は生産性が低い」と聞いたことはありませんか?これは「世界一短い」とも言われる日本人の睡眠時間が原因の一つと考えられています。良い睡眠が取れていないと、次のような症状が現れます。

【質の悪い睡眠による症状】

・意欲の低下

・日中の眠気

・パフォーマンスの低下

 

これらは仕事の生産性を下げる要因ですよね。睡眠を改善することでこれらの症状を防ぐことができ、生産性の向上につながります。

 

【睡眠の改善によって得られる効果】

・意欲の向上

・疲労回復

・パフォーマンスの向上

・記憶定着

 

仕事の生産性が向上すると、

「日中テキパキと仕事をする→残業をしなくて済む→睡眠時間が確保できる」

といった好循環につながります。睡眠を改善することで仕事の生産性を上げることができ、より充実した社会人生活が期待できます

 

◾️美容面での効果

睡眠と美容は、切っても切れない関係にあります。睡眠中はアンチエイジングに欠かせない2つのホルモンである「成長ホルモン」と「メラトニン」が生成されるためです。

 

【成長ホルモンの効果】

・肌の水分保持量の増加

・皮膚のターンオーバーの促進

・抗利尿効果で肌ツヤを改善

 

【メラトニンの効果】

・肌の老化を遅らせる

・活性酸素を除去する

・成長ホルモンの分泌を促進する

 

この2つのホルモンの効果により次のような美容効果が期待できます。

 

【質の良い睡眠による美容効果】

・肌荒れ、ニキビなどの肌トラブルの改善

・シミ、シワの予防

・肌のキメが整う

 

肌トラブルでお悩みの方、美肌を手に入れたい方は、まず初めに自分の睡眠について見直すことをおすすめします。睡眠を改善することは、高価な化粧品を使うよりも手軽に実践することができ、効果も大きいと言えます。

 

まとめ

成人の理想の睡眠時間は6~7時間が目安とされています。ただし、睡眠時間は年齢や季節によって変化するものであり、少なからず個人差があります。

 

大事なことは、自分にとっての理想の睡眠時間を見つけるとともに、睡眠の質を上げることです。今回紹介した睡眠の質を上げる方法は、どれも手軽に取り組める方法です。いま一度自分の睡眠について振り返り、日頃から習慣として取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

人生の3分の1を過ごす睡眠は、人生の充実度に直結します。理想の睡眠を手に入れて、素敵な毎日を過ごしていきましょう。

 

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