質の高い睡眠を取りたいと悩んでいませんか。実際、満足できる睡眠ができずに悩んでいる人はたくさんいます。
そこでこの記事では、睡眠の質を高めて充実した毎日を過ごすための方法を紹介していきます。また睡眠で得られる効果や睡眠不足の影響についても紹介していくので、参考にしてみてください。
睡眠で得られる効果
睡眠をとると身体や精神への健康的な面だけでなく、美容や記憶などにもよい効果が得られます。
ここではあまり知られていない効果まで詳しく解説していきます。
疲労回復効果
睡眠の効果で有名なものの1つとして挙げられるのが、疲労回復効果でしょう。動物は睡眠をとることで、脳や体の疲れを取っています。
特に睡眠中は成長ホルモンが多く分泌されていて、身体や細胞の修復などを行っています。十分に睡眠をとれば体がスッキリとするのは、この作用のため。大人でも成長ホルモンは分泌されるので、健康を維持するためには十分な睡眠が欠かせません。
なお睡眠には浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」の2種類があり、90~120分の周期で繰り返されています。そして十分な睡眠をとるためには、このサイクルを最低でも4回は必要。つまり、質の良い睡眠をとるためには、6時間の睡眠は必要といえるでしょう。
肥満防止
質の高い睡眠をすると肥満防止やダイエットに効果的です。しっかりと睡眠をとると、食欲をコントロールする2つのホルモンがバランスよく分泌されるとわかっています。
2つのホルモンとは、グレリンとレプチン。グレリンとは食欲を増進するホルモンで、レプチンとは食欲を抑える役割があるホルモンです。通常はそれぞれがバランスよく分泌されるので、適切な量の食事が自然にできます。
しかし、睡眠を十分にとらないとグレリンが増える一方、レプチンは減っていくことに。その結果、暴飲暴食をしてしまいやすくなります。つまり、睡眠をとるということは、肥満防止やダイエットになるといえるでしょう。
生活習慣病の予防
しっかりとした睡眠は、生活習慣病の予防にもなります。
たとえば、代謝しきれないほどのカロリーを摂取し続けていると、血中の脂質が増えていきます。その状態を放置すると引き起こされるのが高血圧や動脈硬化。さらに悪化すると、心筋梗塞や脳卒中など、最悪死に至るような病気の発症リスクを高めてしまいます。
ほかにもガンや糖尿病、痛風などにもなりやすくなります。つまり、睡眠は健康的な生活を維持するために欠かせないと考えてください。
精神状態の安定化
睡眠を取ると脳内の分泌物質が正常に作用して、ストレスが解消されて精神状態を安定させる効果も期待できます。
十分な睡眠をとると自律神経が整って脳は休息するので、蓄積した疲れが解消されます。脳の疲れが取れるとストレスや不安感が収まるので、気持ちも前向きに向かいやすくなるでしょう。また、小さなミスも減るので、充実した生活を送りやすくもなります。
もしネガティブなことばかり考えてしまうようであれば、睡眠が足りていない可能性があります。
肌質改善
「美肌は夜作られる」という言葉を知っていますか。実は睡眠には肌質を整える効果があります。
深い睡眠をとっている間、分泌されるのが成長ホルモン。成長ホルモンには、ターンオーバーを促進したり紫外線によって受けたダメージを修復したりする作用があります。つまり、美しい肌を維持するには、十分な睡眠が欠かせません。
なお、成長ホルモンが最も分泌されるのは「午後10時から午前2時の間」。もし肌質改善をしたいのであれば、午前10時には睡眠をとるような生活をしましょう。
記憶定着
受験生や資格試験に挑戦しようと考えている人は、勉強時間とともに睡眠時間にも注意が必要です。その理由は、睡眠は記憶を定着させる作用があるため。
深い眠りであるノンレム睡眠中に、起きている間に得た情報が整理されます。そしてレム睡眠中に、必要とされる情報が記憶として定着します。つまり、記憶を定着させるためには、ノンレム睡眠とレム睡眠をワンセットで考えなければなりません。
そのため、受験生や資格試験に挑戦する人は、記憶能力を十分に発揮するためにも睡眠をしっかりととるようにしましょう。
睡眠不足が及ぼす悪影響
睡眠は身体だけでなく脳を休めるためにも重要です。もし睡眠が不足すると、身体のいたるところで悪影響を及ぼしてしまいます。
ここでは睡眠不足が及ぼす悪影響について解説していくので、参考にしてください。
判断力の低下
睡眠を十分にとれていないと脳が疲れてしまい、前頭葉という部分の働きが悪くなってきます。
前頭葉とは、言動や運動、感情などを司る部分で、適切な判断をするのに欠かせない部分です。もし睡眠不足が続いていると、普段はしないミスをしてしまいやすくなるでしょう。
免疫力の低下
緊張してお腹が痛くなったことはありませんか。脳とお腹はお互いに影響し合う関係があり、脳の働きが悪くなると連動してお腹の調子も悪化してしまいます。
実は腸には免疫細胞の約6割が存在しているといわれるくらい、免疫システムの中心。そのため、睡眠不足で脳の働きが低下すると、免疫力も落ちてしまいます。
つまり、病原体であるウイルスやバクテリアと戦う力が弱まるので、風邪などを引きやすくなります。
うつ病などの発症リスク上昇
睡眠不足で心配なのが、うつ病などの精神障害。正常なときは、活動時に交感神経が活発になり、睡眠時は副交感神経が優位になります。自律神経はバランスよく切り替わることで、精神状態を正常に保ちます。
しかし、睡眠が少なくなると交感神経の時間が長くなり、脳は常に緊張にさらされる状態に。そして脳が耐えられなくなったとき、うつ病などの精神障害を引き起こしてしまいます。
質の高い睡眠を取る方法
健康的な生活を送るためには、質の高い睡眠をとらなければなりません。
ここでは質の高い睡眠をとる方法を8つ紹介していきます。今すぐできるものがありますので、できるものから試してみてください。
規則正しい生活
睡眠の質を高めるには、規則正しい生活が有効です。
人間の身体には体内時計があることはご存じでしょう。その体内時計は、起きた時からホルモンの分泌や生理現象などを通して睡眠のタイミングを決めています。体内時計によって眠気を覚えたタイミングで眠ることで、質の高い睡眠がとれるでしょう。
なお体内時計が狂ったからといって、自分の意志ですぐに調整することはできません。規則正しい生活でもって整えられていくので、今日から起床と就寝の時間を決めて生活のリズムを作るようにしましょう。
定期的な運動
定期的な運動が睡眠の質を高めることもわかってきています。
人間が眠たくなるタイミングは、体温が下がっていくとき。運動をすると身体の深部が温められるので、運動を終えて身体が冷めていくときにスムーズに寝つけるようになります。快眠を目的に運動をするのであれば、就寝の3時間前くらいがおすすめ。
また、1回の運動ではなく、定期的に運動をしているときの方が高い効果が得られます。そのため、質の高い睡眠を取るためにも、運動を習慣にするようにしましょう。
なお、運動といっても激しい運動をしてしまうと、交感神経が刺激されて寝つきを悪くしてしまいます。早歩きや軽いランニングなど負担が少ない有酸素運動をするようにしましょう。
食生活の改善
食事の摂り方に気を配ると、質の高い睡眠をとりやすくなります。
たとえば日中の活動量を増やすためにも、3回の食事でしっかりとエネルギーを摂取することが大切です。日中の活動量が少ないと、睡眠に悪影響を及ぼすといえるでしょう。
また夕食の時間は、就寝の3時間前までがベスト。これよりも遅いと、いざ寝ようとしても消化器官が働いているため、なかなか寝つけなくなってしまいます。消化のよい献立で就寝の3時間前までに済ませれば、気持ちよく眠れるでしょう。
なお、寝酒をしているという人は注意が必要です。お酒を飲むとアルコールの力によって、スムーズに寝つけられるかもしれません。しかし、アルコールの筋弛緩作用によって気道がふさがれて、いびきをかきやすくなります。その結果、睡眠の質を低下させてしまいます。
また、アセトアルデヒドの覚醒作用によって、浅い眠りの時間が増えてしまうでしょう。寝酒の習慣がある人は、控えるようにしてください。
入浴
入浴を適切にできれば、質の高い睡眠をとることができます。
ポイントは、入浴のタイミングと温度です。眠気は体温が下がっていくときに訪れるので、就寝の3時間ほど前がベスト。この時間に入浴すれば、就寝時間に眠くなりやすいです。
入浴するときの温度は、40度程度がよいでしょう。あまり温度が高すぎると交感神経を刺激してしまい、低いと身体を温めきれません。約40度の湯船に半身浴で30分程度入ってみてください。少し汗ばむ程度に入浴すれば、効果的です。
毎日シャワーで済ませてしまっている人は、今日から湯船につかる習慣を取り入れてみてください。
日光浴
日光浴は体内時計を整えるのに最適です。
人間の体内時計は24時間よりも少し長いといわれています。そのため、規則正しい生活を心がけていても、体内時計が後ろにズレて寝つけないという人もいるかもしれません。そんなときは、起床してすぐに太陽の光を浴びてください。
光が目に入ってから15時間ほどすると、メラトニンというホルモンが分泌されるようになっています。メラトニンとは睡眠ホルモンと呼ばれていて、質の高い睡眠には欠かせません。
目が覚めたらすぐにカーテンを開けて外の光を取り込む習慣を身につけると、寝つきをよくしやすくなります。
室内の環境改善
質の高い睡眠には、室内の環境をよくすることも必要でしょう。
たとえば、快適に眠るには室内の温度は25~26度で湿度は50%前後がよいといわれています。真夏や真冬などは、エアコンを使うなどして温度と湿度を調整するとよいでしょう。
また、光や音などの刺激があると、眠りを妨げる可能性があります。これらが気になる場合は、防音や遮光効果があるカーテンを取り付けると効果的です。
なおその際は、青や緑、ベージュなど心を落ち着かせるような色のカーテンを選ぶようにしましょう。
寝具の厳選
睡眠の質にこだわるのであれば、寝具も厳選してみてください。
たとえば、寝返りをスムーズに打てるマットレスであれば、質の高い睡眠をサポートしてくれます。また通気性が優れていれば、寝ている間に汗をかいても不快感がなくて済むでしょう。ほかにも、枕の高さや硬さも重要。
自分に合った寝具を選べれば、心地よく眠れます。今使っている寝具は自分に合っているか、確かめてみてください。
質の良い睡眠のために改めるべき行動
質の高い睡眠をとる方法を実践していても、台無しにしてしまうような習慣もあります。
ここでは睡眠のために改めるべき、やってしまいがちな行動を紹介していきます。心当たりがあれば、今日から改めましょう。
スマホやテレビの視聴
睡眠の質を落とすものとしては、スマホやテレビの視聴があります。
スマホやテレビからはブルーライトが放たれていますが、この光はかなり強力なエネルギーを持っています。寝る前に浴びてしまうと、脳が刺激されて覚醒状態になって寝つけません。
ブルーライトの影響を減らすためには、寝る30分前にはスマホやテレビなどの画面を見ないようにしましょう。
カフェインの摂取
カフェインの摂取も睡眠の質を低下させる要因です。
睡眠の質を気にしている人なら、寝る前にカフェインを含んだ食べ物を食べないように気をつけているでしょう。しかし、寝る直前だけでは不十分です。
カフェインの効果は4時間は持続するといわれていて、敏感な人なら5~6時間は続くかもしれません。つまり、夕食に緑茶や紅茶を飲んだりデザートにチョコレートを食べたりすると、カフェインの効果で眠れなくなる恐れがあります。
もし午後10時に就寝するのであれば、カフェインを摂取するのは午後の4時までにするようにしましょう。
まとめ
質の高い睡眠をしっかりと取れば、身体的にも精神的にも健康的で若々しい状態を維持しやすくなります。さらに記憶を定着させるのにも有効。
質の高い睡眠を取るためには、運動や食事、入浴など生活面に注意する必要があります。しかし、ちょっとした改善と工夫で睡眠の質を高めれば、充実した生活を送れるようになるでしょう。
人生を思いっきり楽しむためにも、生活習慣を改めてみてはいかがでしょうか。