最近、朝起きたときしっかり疲れが取れていますか?寝ても体のだるさが取れなかったり、スッキリした感じが得られない場合は、睡眠の「質」が悪いからかもしれません。
今回は睡眠の中でも「質」にフォーカスし、なぜ睡眠の質を上げるべきなのか、その理由と具体的な実践方法10選をまとめました。
睡眠について悩みがある方は、この記事の内容を取り入れることで、日々のパフォーマンスが向上するかもしれません。
いい睡眠の3箇条
質がいい眠りとは、どのような状態を指すのでしょうか?
一般的な目安として、「スムーズに眠りにつけること」「深く眠れたと実感できること」「朝スッキリと目覚めること」この3つが揃っていることと言われています。この3つが実感できているなら、脳・身体・精神が充分に休めたと言えるでしょう。
あなたは毎日実感できているでしょうか?もしそうでなければ、質が悪い睡眠が習慣化してしまっているかもしれません。
質の良さは「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」がカギ
質の良さと睡眠時間の長さは必ずしも比例しません。
時間が長くても睡眠環境などの外的要因や、ストレスなどの内的要因によって睡眠の質が悪いと、「睡眠不足」の状態と言えます。
睡眠の質を左右するのは「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のリズムです。
私たち人間はこの2つを一定のリズムで繰り返します。「レム睡眠」は浅い眠りでおもに身体の休息時間であり、脳は覚醒しています。
また、このタイミングで起きると「スッキリ起きられた」と実感できます。「ノンレム睡眠」は深い眠りで主に脳と精神が休まる時間です。レム睡眠にはレベルがあり、どれだけ深く眠れたかで質の良し悪しが変わってきます。
睡眠の質をあげるメリット
睡眠の質をあげることで、どんなメリットがもたらされるのでしょうか?ここでは主なメリットを取り上げていきます。
成長ホルモンの分泌
1つは成長ホルモンがしっかり分泌されることです。成長ホルモンは子供だけが関係あるものではなく、大人にとっても必要なホルモンです。
この成長ホルモンは、日中の傷ついた細胞を回復させる機能や疲れを回復させる機能、脂肪燃焼や新陳代謝を促す機能があります。
質が悪い睡眠が続くとこれらの働きが鈍くなるので、疲れやすくなったり、太りやすくなったりなどさまざまな悪影響が出てきます。
自律神経バランスの回復
人間の意思とは関係なく働き続けている内臓の働きや体温調節の機能は、自律神経のバランスによってコントロールされています。
自律神経には身体を活発的にする交感神経とリラックスモードにする副交感神経があります。
この2つのバランスが保たれることで私たちは日々健康に生活できますが、疲れが溜まったり不眠が続くとバランスが悪くなり、不調が出てきます。
特に寝不足の場合は交感神経が優位になりやすいといわれ、活発な状態が長く続きやすくなります。そこで無意識的に身体から「休め!」とSOSがでて眠気が出てきますが、そのタイミングで無理に活動を続けると副交感神経の働きの低下を解消できず、疲れが取れない状態が続くことも。
自律神経の乱れを解消する最も有効な方法が質の良い睡眠だと言われているため、自律神経をケアするといった観点からも、睡眠の質にこだわることはとても重要です。
生活習慣病の予防
眠りが浅い人や睡眠不足が続くと交感神経が優位になるため、常に身体が緊張している状態になります。これにより血圧が高くなりやすく、高血圧のリスクが高まります。
また睡眠不足になると、血糖値をコントロールするインスリンの働きが悪くなるため、糖尿病にかかる恐れも。
加えて食欲を調整するホルモンの働きが悪くなり、食欲も出てくるため肥満につながります。高血圧、糖尿病、肥満は生活習慣病と呼ばれ、さまざまな重大症状につながる恐れがあります。睡眠の質を高めることでこれらを予防できるため、早くから対策として取り入れることが大切です。
睡眠の質をあげる具体的な方法10選
身体のさまざまなところに影響がある睡眠不足。少しでも質がいい睡眠をとっていきたいですよね。ここでは生活習慣で取り入れやすい方法を10選まとめました。できるところから取り入れてみてください。
就寝3時間前に食事を終わらせる
就寝の直前に食事を取ると、体内の消化活動が終わらないまま眠りにつくことになるので、内臓がうまく休まらず、質の悪い睡眠につながります。就寝と食事は3時間ほどあけることが理想です。
睡眠の質を優先したい場合は、就寝時間から逆算して食事を取ると良いでしょう。
もし生活スタイルの関係で時間を空けるのが難しいという方は、おかゆなど消化がいいものを食べるだけに留めてください。
ぬるめのおふろに浸かる
眠気が出てくるためには、一度体温をあげてから下げる必要があります。
体温が下がるタイミングで強い眠気が出てくるのですが、元の体温が低い状態だとこの落差が生み出されないため、うまく入眠できない場合があります。
なのでしっかりと体温を上げるためにも入浴は欠かせません。ポイントはあまり温度が高いお風呂ではなく、38〜40℃程度のぬるま湯にゆったりと浸かること。こうすることで副交感神経が優位になり身体がリラックスモードになります。
逆に42℃以上の熱めのお風呂は、交感神経が活発になり脳と身体が興奮状態になるためおすすめしません。
就寝前に温かいものを飲む
お風呂に加えて寝る直前に温かい飲み物を飲むこともおすすめ。入浴との相乗効果で体温が上がりやすくなります。このとき、カフェインが入っていないかどうかしっかりチェックしましょう。カフェインが入っていると覚醒効果で逆に目が覚めてしまいます。
安眠効果を狙うためにも、ノンカフェインのハーブティーや生姜湯、白湯などがおすすめです。
また寝る前にお酒を飲むことでよく眠れる、という人もいますが、あまりおすすめできません。寝つきはよくなるかもしれませんが、その後の睡眠の質が悪くなると言われており、利尿作用もあるため、途中で起きる危険性もあります。
朝食に大豆製品や乳製品を積極的に食べる
仕事やプライベートが忙しいと、朝食を抜きがちだという方も多いのではないでしょうか。睡眠の質を考えると、朝食をしっかり食べることも大切です。
朝食を食べることで体内時計がリセットでき、睡眠のリズムを整えることができます。
また、睡眠の質をあげるには「メラトニン」というホルモンをしっかりと分泌させる必要がありますが、元となる栄養素の「トリプトファン」を朝食でしっかり摂取することが大切とされています。この栄養素は大豆製品や乳製品に多く含まれているので、お味噌汁やお豆腐が揃った日本伝統の朝ごはんは理想的なメニューと言えるでしょう。
就寝部屋を適した環境にする
睡眠の質にこだわることを考えると、睡眠中に過ごす部屋は最適な状況にしていきたいものです。まず温度と湿度ですが、冬は20℃前後、夏は26℃前後、湿度40%〜70%に保つのが理想です。エアコンや除湿機、加湿器などを使い上手に保ちましょう。
また、寝るまでの時間に明るすぎる照明にあたるとよくないため、日が落ちたらなるべく間接照明などの柔らかく明るすぎない照明に切り替えましょう。
また、香りの力も欠かせません。代表的な安眠効果が期待できる香りは「ラベンダー」で、医療機関や介護の現場でも使われています。
その効果は睡眠薬に匹敵するという研究結果まであります。ある年配患者にラベンダーを嗅いでから眠りにつくようにしたところ、それまで必要だった睡眠薬なしでも深く眠れるようになり、日中の眠気が減ったといいます。ほかにも香りと睡眠は様々な研究がなされており、効果的な研究結果が多くあります。実証済みの方法は積極的に取り入れていきたいですよね。
手軽に取り入れるなら吹きかけるだけでOKなアロマスプレーがおすすめです。しっかりと部屋全体に香りを行き渡らせたいという方は大きめのアロマディフューザーを使うと良いでしょう。
寝具選びを意識する
睡眠の質は、睡眠中に快適な寝心地であるかどうかで大きく左右します。ただ、寝具にはそれぞれたくさんの種類があるため、それぞれの特徴を把握して自分に合った寝具を選ぶことが重要です。
マットレス
マットレスは、スムーズに寝返りを打てるかどうかが選ぶポイントです。適切なタイミングで寝返りをスムーズに打てないと、睡眠の質の低下につながり朝起きた時にスッキリと起きられません。
合う合わないは個人差なので、展示場などでしっかりと硬さを確認し、自分がスムーズに身体を動かせるようなマットレスを選びましょう。
掛け布団
掛け布団は保温性・吸湿性・軽さが選ぶポイント。
快適に寝られる布団の中の温度は32〜34℃が理想と言われているため、これを保てるような掛け布団を選ぶと良いでしょう。
また寝る間に汗をかくため、吸湿性が優れているものを選んでください。また、重い掛け布団だと身体が圧迫され、寝返りを打ちづらくなってしまうため、なるべく軽い掛け布団を選ぶことがおすすめです。
まくら
まくらは寝具の中でも一番個人差があるもので、自分に合った枕を選ぶのは難しいです。
理想の寝姿勢は直立の状態をそのまま横にした状態と言われていますので、まくらを使って直立の姿勢になるようなものを選びましょう。
枕の大きさは、寝返りを打ってもはみ出さない程度の大きさが良いとされています。これも展示場等で実際に確認した方が良いでしょう。
寝る前のスマホ操作をやめる
寝る直前にスマホやパソコンを操作することは睡眠の質低下につながります。
スマホやパソコンからはブルーライトが放射されており、脳を活性化させてしまう恐れがあるためです。
ブルーライトを浴びることで脳が昼間だと勘違いしてしまい、メラトニンが抑制されてしまうため、睡眠の質が悪くなります。
寝る2時間前にはスマホやパソコンの操作をやめることが理想とされています。もしやめられないという方はブルーライトカットができる画面シートをつかうなど工夫が必要です。
就寝前に軽いストレッチやヨガを取り入れる
就寝前、ベッドの上などで軽いストレッチやヨガを取り入れることもおすすめです。
ゆっくりとした動きで副交感神経が優位になり、入眠がスムーズになります。また巡りがよくなり体温が軽く上がることで落差が大きくなり、体温ぐっと下がるタイミングで眠気が出てきます。
ただし、汗が出るほどの激しいストレッチやヨガは禁物。交感神経が優位になり、脳が覚醒してしまうため注意が必要です。じんわり身体が温まり、心身ともにリラックスできる程度に留めましょう。
日中適度に運動する
睡眠と運動には深い関係性があります。
日中に適した運動を行うことで夜の睡眠を促進する効果があり、睡眠がしっかり取れ、身体が休まることでより運動の効率が上がるためです。
また身体が適度に疲れることで夜に向けて睡眠欲求が強くなるため、寝つきが良くなり途中で起きることもなくなります。特に睡眠時間前半の深い眠りに寄与しているといわれ、その後の睡眠も安定してきます。
そのため、短い時間でも質の高い睡眠を維持できると言われています。
ただし、自身が持っている運動能力に比べてはるかに激しい運動は禁物です。ある研究では、ウォーキングを1時間行うことで睡眠が改善できたという研究結果がありますので、これを目安に運動を習慣化すると良いでしょう。
睡眠アプリを活用する
近頃は眠りに特化したアプリも充実。睡眠中の状況を記録しグラフなどで可視化してくれるものや、いびきの状態を測定しデータ化してくれるもの、入眠をサポートする音楽アプリなど、あらゆるアプローチで睡眠をサポートしてくれます。無料のものから有料のものまで幅広くラインナップがあるので、気になる方はダウンロードしてみてください。
まとめ
睡眠は時間が長ければ良いというわけではなく「質」も重要であることがわかりました。質を高めることで日々のパフォーマンスを上げられるだけでなく、将来的な病気のリスクを避けることができます。今回取り上げた実践法は日常生活で実践しやすいものが多くありますので、ぜひ日々の習慣の中で取り入れてみてください。