睡眠ノウハウ

睡眠と筋肉の関係について解説!意識しておきたい習慣とは

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最近、風邪をひきやすくなった、疲れが抜けにくくなったと感じていませんか?そういった症状に悩んでいる方は、筋肉が衰えてきているかもしれません。

筋肉は体を動かすだけでなく、免疫力の維持や体温を一定に保つなど役割を担っています。

そして、筋肉を維持するためには十分な睡眠が欠かせません。寝つきが悪い、夜中すぐ目が覚めてしまうという人は筋肉がうまく作られていない可能性があります。

今回は睡眠と筋肉の関係の詳細を解説するとともに、睡眠の質を高めるための習慣を紹介します。

この記事の監修者
睡眠健康指導士、建築物環境衛生管理技術者
佐々木崇志
東北大学大学院薬学研究科修了。修士(薬科学)、建築物環境衛生管理技術者。 修了後は臨床研修指定病院で医局秘書や学生担当として全国の医療を志す学生や医療従事者と携る。勤務していく中で睡眠に関する訴えが医療従事者にも多い事に気づき、自身も医療従事者や患者の助けにならないかと考えるようになり個人で活動を始める。現在は東北を活動の拠点として睡眠(体内時計・時計遺伝子)の研究の経験、資格の知識を生かしながら睡眠啓蒙活動を行なっている。

睡眠が筋肉を作るのに必要な理由とは

筋肉をつける理由

健康を保つためには良質な睡眠が必要であることはよく知られていますが、睡眠が筋肉の生成にも重要な役割を果たしていることはあまり知られていないようです。

人は健康を保つために、体内で様々な物質を作り続けています。中でもホルモンは健康を守るために必要な物質の中で最も大事な物質のひとつであり、体のあらゆる機能をコントロールしています。

人の体の中では100種類以上のホルモンが作り出されていますが、その中でも成長ホルモンは筋肉を作るために欠かすことができないホルモンです

筋肉に必要なホルモンとは

成長ホルモンは、身長を伸ばすためのホルモンとして知られているため、育ち盛りの子どもに必要なホルモンとして知られています。しかし、成長ホルモンは成長期を過ぎても大事な役割を担い続けています。

その大事な役割の一つが筋肉を作り、成長させることです。筋肉は合成と分解を繰り返して日々成長、変化し続けています。筋肉を合成するのは、主にテストステロン(男性ホルモン)、インスリン、成長ホルモンの役目です。

分解はコルチゾールというホルモンが担っています。コルチゾールはストレスを感じた時に分泌されるホルモンとしても知られています。コルチゾールも健康を守るのに不可欠なホルモンですが、ストレスが溜まって分泌が過剰になると代謝のバランスが崩れたり、過食に陥ったりことがあります。

ホルモンは睡眠中に活発になる

ホルモンは視床下部や下垂体、甲状腺など主に内分泌系で作られ、分泌されて体内の必要な部分に届けられます。ホルモンの活動が最も活発になるのは睡眠中です。睡眠中に体の隅々に必要なホルモンが届くことで、翌日の活動に備えます。

成長ホルモンも例外ではありません。質の良い睡眠をとることで、筋肉の成長をスムーズにしたり、前日の活動で傷ついた筋肉を修復したりできるのです。

また、睡眠はコルチゾールを正常な数値に保つことにも役立ちます。質の高い睡眠は、筋肉だけでなく体の様々な機能が正常に働くのに欠かせません

成長ホルモンはダイエットでも重要

成長ホルモンは、ダイエットでも効果を発揮するホルモンです。人の体は消費できない余分なエネルギーを脂肪として体内に蓄えます。成長ホルモンは、体に溜まった脂肪を「遊離脂肪酸」に分解する働きがあります。遊離脂肪酸は運動すると筋肉で分解され、エネルギー源として消費されます。

つまり、脂肪を燃焼させることで体重、体型を保つことができるのです。

さらに、質の高い睡眠は「レプチン」という食欲を抑える抗肥満ホルモンの分泌も活発にします。ダイエットしている人に質の良い睡眠は欠かせません。

睡眠不足は筋肉にダメージを与える

ダメージ

眠りが浅かったり睡眠時間が短かったりすると睡眠負債がたまり、日常生活に支障が出ることが知られていますが、筋肉の生成にも深刻なダメージを与えることがあります。

睡眠不足が続くと、成長ホルモンが減少することで筋肉の生成や再生がスムーズにできなくなります。また、コルチゾールとのバランスが崩れ、疲労を感じやすくなったり、食欲を抑えることができなくなったりすることで肥満につながります。

睡眠不足から運動不足への負のループ

また、十分な睡眠がとれないことで注意力や集中力が低下し、仕事の効率が下がってしまう、勉強したことがなかなか覚えられないなど、ストレスがたまる原因を次々と作ることになります。

そうなると精神的に不安定になり、以前は当たり前にできていたことが段々と面倒くさくなってきて、食事をインスタント食品で済ませたり、定期的に行っていた運動や趣味をやめてしまったりと、健康的な生活のサイクルが崩れてきます。

‎そうなると睡眠の質が悪くなり、筋肉の生成や代謝が落ちることでさらに疲労やストレスがたまります。そこから仕事や勉強に、もっと悪影響が出るという負のループから抜け出せなくなる可能性もあるのです。

筋肉を作るのに必要な睡眠時間とは

必要な睡眠時間

最適な睡眠時間は年齢や活動量によって違ってくるので一概には言えないのですが、日本での成人の平均睡眠時間は6~7時間程度となっています。

出典:厚生労働省「健康実態調査」

ただ、筋肉を作るという側面から見るとこの睡眠時間は少々短いかもしれません。8時間未満の睡眠が続くと筋肉を作る際に必要なホルモン、テストステロンが10~15%減少するという研究結果も報告されています

アスリートの場合、けがや病気の少ないアスリートは、そのほとんどが8時間以上の睡眠時間を取っていることもわかっています。18歳~64歳の成人は9時間程度の睡眠が必要であるという研究もあります。

とはいえ、忙しい現代で8時間以上の睡眠時間を取るのは容易ではありません。たまに早く寝ても、なかなか寝付けない、という人も多いのではないでしょうか。

良質な睡眠をもたらす習慣を身に着ける

睡眠の習慣

毎日8時間の睡眠時間をとることは容易ではありませんが、生活習慣や運動をすることで睡眠の質を上げることは可能です。

質の良い睡眠は、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が、およそ90分ごとの周期で訪れることと、睡眠中に目が覚めることがないことが条件です。

運動の習慣を身に着ける

ベッドに入ってもなかなか寝付けない、という場合は週に何日か運動する習慣を身につけるのがおすすめです。スムーズに眠りに入るには、適度な疲労感が必要になります。昼間運動することにより寝つきがよくなり、途中で目が覚めることも少なくなります。

また、ノンレム睡眠中は成長ホルモンが分泌される時間でもあるので、筋肉の生成、再生が活発になり疲労回復につなげることができます。

疲れていても眠れないのは、神経が興奮して休む準備ができていないと考えられます。有酸素運動することで呼吸が深くなり、リラックスした状態を作ることができます。

とはいえ、寝る直前に激しい運動をすると目が冴えてしまうので逆効果です。時間に合わせて運動の種類は変えましょう

夕方~就寝3時間前の運動

今まで運動する習慣がなかった人は、ウォーキングのような軽い全身運動から始めるのがおすすめです。ウォーキングには緊張をほぐす効果もあります。ウォーキングであれば、特に時間を作らなくても通勤、通学、買い物など都合のいい時間に合わせて取り入れることが可能です。

歩数は1日7,000~1万歩が理想です。ある程度心拍数が上がり、軽く汗ばむ程度のスピードが目安になります。歩数は少なくても、毎日少しずつ続けることで習慣として定着していきます。慣れてきたら、歩くスピードを速めて負荷をかけていきましょう。

筋トレとの併用も効果あり

もう少し時間に余裕があれば、筋トレもおすすめです。筋トレは有酸素以上の睡眠促進効果がある可能性が米心臓協会(AHA)で発表されています。

ウェートトレーニングは筋細胞の成長を促進し、テストステロンと成長ホルモンのレベルを上げる効果があるとされています。また、傷んだ筋肉を回復させるために脳に強い信号が送られ、心身の回復に役立つということです。

筋肉をつければ基礎代謝が上がり、筋肉の脂肪燃焼効果も上がるのでダイエット効果も期待できます。

寝る30分~1時間前の運動

寝る直前に心拍数が上がるほどの激しい運動は禁物です。ヨガや軽いストレッチのようなゆったりとリラックスできる運動を選びましょう。深い呼吸を意識しながら行うと、副交感神経が優位になることで睡眠に入りやすくなり、精神的な疲労も軽減されます。

夜の食事はタンパク質を中心に

食事は良質なタンパク質を積極的にとるようにしましょう。ダイエット中でもタンパク質を減らしてしまうと筋肉が作りにくくなり、代謝も悪くなってしまいます。

タンパク質は質の良い睡眠に欠かせないリラックス物質、セロトニンの材料になるので昼より夜に取るのがお勧めです。

寝る直前の食事はNG

とはいえ、寝る直前に食事をすると食べ物の消化が優先され、深い睡眠がとれません。夕食は寝る3時間前には済ませるのが理想です。どうしても夕食をとる時間がない場合は、牛乳など胃に残りにくいものを少量だけ取るようにすると睡眠を妨げません。

寝酒、カフェイン、タバコはNG

アルコールは眠気を生じさせることはできますが、代謝時に覚醒作用が発生するので夜中に目が覚める原因となります。また、寝酒の習慣をつけると、段々量を増やさないと眠れなくなるという悪循環も生じてきます。

カフェインを寝る前に取ると眠れなくなることはよく知られています。夜眠いと感じるのは、アデノシンという睡眠物質が覚醒物質であるヒスタミンを抑制するからです。しかし、カフェインはアデノシンがヒスタミンを抑制する働きを阻害してしまいます。これにより脳が興奮状態になって眠れなくなってしまうのです。

また、タバコにはニコチンが含まれていますが、ニコチンもカフェインと似たような働きをします。寝る前にタバコを吸うと血中のニコチン濃度が高くなり、興奮状態となるので眠れなくなります。

寝酒や就寝前の刺激物の摂取は睡眠の質を下げるので、絶対にやめましょう

睡眠の質を高めるサプリを利用する

サプリメント

短期間であれば睡眠の質を高めるサプリメントの服用も可能です。睡眠薬は医薬品であり、医師の処方箋が必要になるので簡単に入手できません。一方、サプリメントは質の良い睡眠を得やすくするための成分を服用するのが目的です。睡眠薬より効き目が緩やかで入手も簡単です。

睡眠の悩みによって有効な成分は違ってくるので、自分の睡眠の悩みをしっかり把握した上で選ぶ必要があります。

睡眠の質が悪い人向けのグリシン

グリシンはアミノ酸の一種で、魚介類に多く含まれています。深い睡眠に入りやすく、睡眠の質の改善につながります。ストレスが溜まっている人、年齢とともに深い眠りに入りにくいと感じている人に向いています。

眠りが浅いならテアニン、オルニチン

テアニンは緑茶などに含まれています。交感神経の働きを抑え、途中覚醒を防ぐ効果がありあります。

オルニチンはシジミなどに含まれる栄養素です。有害物質であるアンモニアを解毒し、腎臓をはじめとする疲労回復を助ける働きがあります。

ストレスによる不眠にはGABA

GABAは発芽玄米などに含まれているアミノ酸の一種です。副交感神経の働きを高め、リラックス効果があります。精神的ストレスや疲労感でノンレム睡眠が短くなっている人におすすめです。

睡眠リズムの乱れにはラフマ葉エキス

フラボノイドやアミノ酸を豊富に含んでいます。中国では不眠や精神の安定に効くとして、古くからラフマ葉のお茶が飲まれていました。

精神の安定に関わる物質セロトニンを増やす効果があり、セロトニンを介して作られる睡眠ホルモン、メラトニンの生成を促すことで睡眠のリズムを整える効果が期待できます。

サプリメントの注意点

サプリメントは、あくまで一時的な対処法です。長時間使用しすぎるとサプリメントなしでは眠れなくなる可能性もあります。また、説明書にある使用量、服用時間は必ず守るようにしましょう。

病気の治療中場合は、かかりつけの医師と相談の上で服用するようにしてください。

まとめ

睡眠と筋肉まとめ

健康や若々しさを保つのに、筋肉の維持は欠かせません。筋肉は運動だけでなく、質の良い睡眠がないと作ることができないことがわかりました。

質の良い睡眠は、適度な運動、良質なタンパク質を中心とした食事が欠かせません。それとともに、寝る前のアルコール、タバコなどの悪習慣も断っていくことが必要になります。

睡眠の質を上げるサプリメントも上手に利用しつつ、生活習慣や食生活を改善して質の良い眠りを維持して、筋肉を維持するように心がけましょう。

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