睡眠ノウハウ

生理前に眠くなる原因とは?眠気に対処する6つの方法

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生理前になると眠くて仕方がない。仕事や家事が思うようにはかどらず、イライラ…。こんな悩みを抱えている女性は多いのではないでしょうか。

生理前の女性は眠気が強くなるほかにも、心身ともに様々な不調が出ます。これをPMS(月経困難症)といいますが、生活習慣を変えるとかなり改善される可能性があります。

今回は生理前の眠気の原因と、上手な対処法を解説します。

この記事の監修者
睡眠健康指導士、建築物環境衛生管理技術者
佐々木崇志
東北大学大学院薬学研究科修了。修士(薬科学)、建築物環境衛生管理技術者。 修了後は臨床研修指定病院で医局秘書や学生担当として全国の医療を志す学生や医療従事者と携る。勤務していく中で睡眠に関する訴えが医療従事者にも多い事に気づき、自身も医療従事者や患者の助けにならないかと考えるようになり個人で活動を始める。現在は東北を活動の拠点として睡眠(体内時計・時計遺伝子)の研究の経験、資格の知識を生かしながら睡眠啓蒙活動を行なっている。

生理前の眠気の原因とは

女性の体は月に一度、妊娠の準備をするために排卵がおこります。子宮内膜は卵を受け止め、赤ちゃんが育ちやすい環境を作るために厚くなりますが、妊娠が成立しなければ子宮内膜の組織は不要になって外に排出されます。これが生理です。

女性の体は、

  • 月経
  • 卵胞期
  • 排卵期
  • 黄体期
  • 月経

 

というサイクルを繰り返します。卵胞期は女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が豊富になります。エストロゲンは精神状態を安定させ、新陳代謝も活発になる時期でもあるため、女性は良好な体調を保つことができる時期です。

しかし、排卵が始まるとプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増え、エストロゲンの分泌量を上回るようになると、黄体期に突入します。プロゲステロンは妊娠を維持しやすくする役割を担っています。

黄体期は基礎体温が普段より高くなり、夜なかなか寝付けなくなったり眠りが浅くなったりして、それが原因となって昼間の強い眠気に繋がります。

黄体期はリラックスしにくい時期

また、黄体期は心身の安定を保つエストロゲンの分泌量が減ることで自律神経が乱れ、リラックスした状態を作る副交感神経がうまく働きません。そのため、夜寝つきが悪くなり、昼間の眠気に繋がることがあります。

さらに、黄体期はセロトニンの分泌量も減ります。セロトニンは不安や緊張を和らげる役割があり、質の良い睡眠に必要不可欠なホルモン「メロトニン」の原料にもなります。そのため、生理前は深い眠りが得られず、昼間に強い眠気を感じるようになるのです。

加えて黄体期は「GABA」の量も減少します。GABAは脳や神経の興奮を沈め、緊張やストレスを緩和するなどの作用をもつアミノ酸の一種です。

生理が始まる5日ほど前になると、プロゲステロンの量は減少し始めますが、それとともにGABAの量も減少します。

生理前は眠気が強くなるだけでなく、わけもなく不安感が強くなる、イライラして機嫌が悪くなるなど、精神状態も不安定になる女性も少なくありません。こうした不安定な精神状態も不眠の原因になると考えられています。

生理前の眠気はPMSの症状

また、黄体期は強い眠気や不安定な精神状態だけでなく、胸の痛みや腰痛、吹き出物や肌荒れなど体にも様々な症状が現れます。こうした生理前の心身のトラブルを、月経前症候群(premenstrual syndrome 略してPMS)と呼びます。

生理前の眠気に対処する6つの方法

眠気改善

女性は閉経を迎えるまでは、多かれ少なかれPMSと付き合わなければなりません。今後何十年も月に1度はこんな症状が…と思うと憂鬱になるかもしれませんが、上手に対処すればPMSの症状は大幅に軽減できます。

仕事や勉強など昼間の活動に深刻な悪影響を及ぼす強い眠気は、以下の6つの対処法を参考にして、上手に乗り切る工夫をしましょう。

  1. ホルモンバランスの変化を知る
  2. 睡眠時間を増やす
  3. 運動の習慣をつける
  4. 食生活を見直す
  5. 入浴時間の見直し
  6. 睡眠の質を上げる

1. ホルモンバランスの変化を知る

前述したとおり黄体期はプロゲステロンの分泌量が多くなり、体温が上昇傾向にあります。ホルモンバランスの変化により、睡眠の質が普段より悪くなりやすい時期です。

少し長丁場になりますが、数か月ほど睡眠日誌をつけて、生理日とそれ以外の日の睡眠状態の変化を記録してみましょう。生理の周期とともに、睡眠の質と体調も変化していることがわかるようになります。

そして、体調に合わせて仕事やプライベートのスケジュールを組むようにすると、眠気が強い時期や、調が悪いときの過度に激しい活動を未然に防ぐことができるようになります。

2. 睡眠の時間を増やす

生理の周期を把握して、特に眠気が強くなりそうな時期の検討がつくようになったら、睡眠時間を少し増やしてみましょう。適正な睡眠時間は人それぞれですが、およそ8時間が理想です。

ただ、無理に寝ようとして眠くもないのに早い時間から床に入ると余計なプレッシャーがかかり、逆に眠れなくなってしまうことも考えられるので注意が必要です。

昼寝の時間をとる

夜の睡眠時間を増やせない、よく眠れなくて昼間の眠気がどうしても取れないという場合は、昼寝をすると改善されます。

昼寝は15分程度の短めな時間にとどめるのが理想です。どんなに長くても1時間以内に収めるようにしましょう。あまり長く寝すぎると夜の睡眠に響きます。

また、夕方以降の仮眠は夜の睡眠のリズムを乱すことになります。昼寝はなるべく日中、早めの時間に済ませるようにしましょう。

3. 運動の習慣をつける

生理前は体調が悪く精神的にも不安定でストレスがかかりやすい時期ですが、軽めの運動はストレスを解消する効果があり、リラックスしやすくなります。また、生理中でも軽い運動を取り入れると血行が良くなるので、生理痛の改善になります。

生理前の運動でおすすめなのは

  • ヨガ
  • ウォーキング
  • ストレッチ

の3つです。

ヨガ

ヨガは体に負担をかけずにできる動きが多く、不安定になりがちな気分を沈め、ストレス解消につながります。ただ、ホットヨガのようなハードな動きをするヨガは体調を崩しやすい生理前、生理中は避けましょう。

また、ヨガをやったことのない人が我流でいきなりヨガを始めてしまうと、体を痛めてしまうことも考えられます。まずは、インストラクターの指導を受けるか、初心者でもできる体に負担をかけない動きら始めるのがおすすめです。

ウォーキング

天気のいい日に日光を浴びながらのウォーキングは、ストレス解消の硬化があり、血行不良改善の効果も期待できます。体調をみながら、無理のない距離で行うのがベストです。自宅や職場近くの公園で気分転換もかねて短めの時間で行いましょう。

ストレッチ

夜寝る前の軽めのストレッチはリラックス効果や血行の改善に効果があります。ストレッチも、体調が悪いときに無理にやる必要はありません。

生理前の運動で気をつけたいこと

生理前、生理中はホルモンバランスの乱れや血行不良で体調が悪くなりやすく、精神的にも不安定になりがちです。生理前、生理中の運動は疲れたら迷わず休憩をとり、予定より早めに切り上げるなど体調に合わせて調整して、体に負担をかけないようにしましょう。

3. 食生活を見直す

朝食を抜く、甘いものの摂りすぎなど栄養のバランスを欠いた食生活は睡眠の質にも悪影響を及ぼします。生理前の眠気がひどいという場合は、食生活も見直しましょう。

トリプトファンを多くとる

トリプトファンは自律神経を整え、リラックスした気分を作り出すホルモン「セロトニン」を作るのに欠かせないアミノ酸の一種です。また、質の良い眠りに欠かせない「メラトニン」を作る原料にもなります。

トリプトファンは大豆、乳製品、ナッツ類、レバーなどに多く含まれています。また、トリプトファンを効率よく摂取するには、ビタミンB6が欠かせません。ビタミンB6はトウガラシやニンニクなどに含まれています。上手に食事に取り入れる工夫をしましょう。

イソフラボン

イソフラボンはエストロゲンによく似た化学構造を持った栄養素です。生理前はプロゲステロンが大量に分泌される一方でエストロゲンの量は少なくなり、PMSの症状が出やすくなります。普段からイソフラボンを積極的に取ることで、PMSの改善につながり、睡眠の質が安定します。

イソフラボンが多く含まれるのは豆腐や納豆などの大豆食品です。大豆はトリプトファンも多く含むので、普段から積極的に食事に取り入れるように心がけましょう。

カフェインの取りすぎに注意

カフェインを取ると、睡眠物質であるアデノシンの働きを邪魔することになる為、安眠できません。カフェインの効果は約8時間続くと言われています。夜11時に就寝する場合は、昼3時過ぎにコーヒーなどカフェインを多く含む飲み物は避けましょう。

5. 入浴時間の見直し

夜、眠くなるのは手足から熱が放出されることで体温が下がっていくからです。寝る直前に熱いお風呂に入ると体温がうまく下がらず、深い睡眠をとることができません。入浴は就寝する1~2時間前に済ませるのが理想です

また、お湯の温度は40度以下のぬるめに設定しましょう。ぬるめのお湯でゆっくり体を温めることで副交感神経が優位になり、眠りに入りやすくなります。寝る前に40度以上のお湯につかると交感神経が優位になり、体が興奮状態になってしまうので眠りにつくのが遅くなってしまいます。

湯船にゆっくりつかる時間がない場合は、シャワーで体を温めるだけでも効果があります。

入浴後、寝る前に手足を冷やしすぎると熱の放出がうまくできず、体温調整がスムーズに行かなくなります。入浴後は体を冷やしすぎないよう注意が必要です。

6. 睡眠の質を上げる

睡眠は時間の長さだけではなく、質も重要です。睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠が交互に行われ、夜明けになるにつれて眠りの浅いレム睡眠が多くなることで朝目覚めやすくなります。

この睡眠のリズムをしっかり整えることで、睡眠の質が上がります。昼間の眠気が強く出る場合は、寝具や就寝前の習慣を見直す必要があるかもしれません。

寝具は自分に合ったものを

マットレスや枕は自分が快適だと思うものを使用しているでしょうか?マットレスは硬すぎても柔らかすぎても肩や腰に負担がかかり、寝返りが打ちにくくなます。そうなると、血行不良のもとになり、安眠できません。

長年使用して摩耗しているマットレスは寝心地が悪くなったり、ダニやカビの温床になっていたりして、夜ぐっすり眠ることができなくなっている可能性あります。

また、枕が高すぎたり低すぎたりしても肩こりや頭痛の原因になり、深い睡眠がとれません。一度、寝具を点検して、何か不具合があったら、寝具売り場で相談してみましょう。

寝る直前の飲食は控える

寝る直前に食べてしまうと、体が食べ物の消化に集中してしまい、睡眠の妨げとなります。生理前は食欲が抑えられなかったり、甘いものが無性に食べたくなったりしますが、寝る前に食べるのはNGです。

寝酒、カフェイン、タバコは厳禁

夜、ぐっすり眠るために寝酒をする人がいますが、アルコールは代謝時に覚醒作用が発生します。夜中に目が覚めてしまう原因となるので、寝酒の習慣はやめましょう。

また、生理前は少量のアルコールでも酔いやすくなることがあります。プロゲステロンとエストロゲンはアルコールの代謝を遅くする作用がありますが、生理前は分泌量がとくに多くなるので、体内にアルコールが残りやすくなります。

そのため、悪酔いや二日酔いを起こしやすくなり、PMSの症状を悪化させることもあります。

タバコに含まれるニコチンもカフェイン同様、覚醒作用があります。血中のニコチン濃度が高くなると、興奮状態になり眠れなくなってしまいます。

就寝前のスマホも厳禁

朝、日光を浴びると眠気を促すメラトニンの分泌が抑制され、脳が昼の活動に向けて動き出します。そのため、夜に明かりを大量に浴びてしまうと脳が昼間だと錯覚してしまい、体内時計がずれる原因になります。

寝る2~3時間前のスマホやPCの使用は極力控えましょう。どうしても使用したいときは、画面をスリープモードにするなどして明るさを抑えて使用するなどの工夫が必要です。

まとめ

眠気まとめ

生理前に眠気をどれくらい感じるかは、人それぞれです。眠気の対処法も人によって合うものと合わない物があります。まずは、自分の生理周期と睡眠の質を把握して、眠気が強く出そうな日のスケジュールは体に負担がかからないようにすることが大事です。

そのほかにも食生活や生活習慣を見直して、生理前の昼間の眠気を改善するようにしましょう。一度にすべてを変えることは難しいですが、毎日少しずつ改善していけば眠気も徐々に改善されていきます。

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