夜勤やテスト勉強などの影響で、昼夜が逆転した生活を送っている人は多いでしょう。実は昼夜逆転した生活を続けていると、様々な悪影響が身体などに出てくることを知っていますか。
この記事では昼夜逆転した生活を送ることによる悪影響や考えられる原因、また改善するための方法を詳しく解説していきます。生活リズムが反対になっているという人は、ぜひ参考にしてください。
昼夜逆転の悪影響
昼夜逆転の生活をしていると、肉体面や精神面などに多大な悪影響を与えます。ここでは、どのような悪影響を受けるのかを詳しく解説していきます。
身体的な悪影響
昼夜逆転の生活をしていると疲れが取れないので、肉体的につらくなってくるのが大きな問題の1つです。
日中にだるさを覚えたり、ちょっとしたことでも疲れを感じたり、仕事や趣味の時間であったとしても集中力が続かなかったりするでしょう。身体だけでなく脳にも疲れが蓄積しているので、頭がぼーっとして本来持っている力を発揮できなくなります。
また、夜はぐっすりと眠ることで成長ホルモンが分泌されて、内臓や粘膜などの細胞が修復される時間帯です。しかし、昼夜逆転しているとホルモンの分泌が不十分になるので、ダメージの修復がされません。
すると、内臓の機能が低下するので免疫力も落ち、粘膜も傷んでいるので外敵が身体の中に侵入しやすくなります。その結果、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなります。
さらに、成長ホルモンは肌細胞の修復にも関わっているので、肌のハリやツヤが失われるなど美容面にも悪影響が出てくるでしょう。
精神的な悪影響
昼夜逆転の生活は、目には見えませんが精神面にも大きな悪影響を与えます。
たとえば、自律神経の乱れ。健康的であれば日中は活動期に優位になる交感神経が活発になり、夜になればリラックス時に優位になる副交感神経が活発になります。こうしてスムーズな切り替えのお陰で、自律神経が整ってメンタル面を健康的に保っていられます。
しかし、自律神経が乱れたままでいると精神面には大きな負担がかかり続けるので、すぐにイライラしたり気分が落ち込みやすくなったり感情が不安定になってしまうでしょう。
また、夜に寝ることによって、脳は日中にあった出来事の整理や定着をしたり怒りや悲しみなどの感情を鎮静化したりしています。しかし、しっかりと睡眠を取らないと記憶や感情の整理が十分になされないので、頭の中は乱れたままになってしまいます。
その結果、認知力や記憶力などが低下したり感情的になりやすかったりして、普段の生活にも悪影響を与えるようになるでしょう。
病気になるリスクの増大
昼夜逆転の生活で最も恐ろしいのは、様々な病気になるリスクを増大させることです。
たとえば、乱れた生活で引き起こしやすいのが、概日リズム睡眠障害。夜になっても眠りにつけず朝はスッと起きて動けないなど、生活に大きな支障をきたすほどの病気です。
人間の体内時計は24時間よりも少し長く作られていますが、生活習慣を正すことで太陽の24時間と同調しています。しかし、生活リズムを崩して生活をしていると、体内時計が狂い始めて睡眠障害を引き起こすようになるでしょう。
また、昼夜逆転した生活はホルモンバランスや自律神経を乱すので、生活リズムだけでなく生活習慣全体に悪影響を与えます。すると、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病を引き起こすリスクを高めます。さらに、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わるような病気の発症リスクも高めるでしょう。
昼夜逆転した生活をして、すぐに重篤な病気になるというものではありません。しかし、将来的に恐ろしい病気を引き起こすリスクは増大するので、今症状がなくても注意が必要です。
昼夜逆転になると考えられる原因
そもそも、昼夜逆転はどのような生活からなってしまうのでしょうか。ここでは考えられる原因を4つ紹介していきます。昼夜逆転の生活になるのではと不安に感じている人は、ここをチェックして予防してください。
生活リズムの乱れ
昼夜逆転を引き起こす原因としてよく挙げられるのが、生活リズムの乱れです。
たとえば、テレビを見たりゲームをしたり、スマホを操作したりしていると生活リズムが乱れます。特にテレビやスマホの画面からは強力なエネルギーを持つブルーライトが放たれているので、浴びることで脳が覚醒して余計に眠れません。
また、仕事がシフト制であるため、寝る時間や起きる時間が日によって違うという人も昼夜逆転してしまう可能性があります。もし夜勤があれば仕事が終わるまでは眠れないので、生活が夜型になるので昼夜逆転になってしまいます。
受験生などは夜遅くまで勉強をして寝る時間を後ろにずらす人も多いでしょう。しかし、昼夜が逆転すると記憶力や集中力が低下するので逆効果になる可能性があります。社会人も本来のパフォーマンスを発揮できなくなるので、昼夜逆転しないように生活リズムには注意しましょう。
ストレス
ストレスは万病のもとといわれますが、ためすぎると夜になっても眠れなくなってしまいます。
通常は夜になるとともにリラックス時に優位になる副交感神経にスイッチして、心が落ち着いて眠る状態になっていきます。しかし、ストレスには自律神経を乱す作用があるので、溜まっているとずっと交感神経の優位が続いて脳だけが日中の状態に。その結果、頭が冴えて寝つけなくなります。
また、ストレスになるような悩みを考えてしまうと、不安が深まって余計に眠れなくなることも考えられるでしょう。もちろん、このような状況では眠れたとしても眠りの質が低いので、ちょっとしたきっかけで目を覚ましてしまいます。
すると、夜の眠りたい時間帯に眠れないので、日中に眠たくなったり朝が遅くなったりしてしまうと考えられます。
環境の変化
生活環境が大きく変化すると、体内時計が狂って昼夜逆転に陥ることも。
たとえば、就職や進学、育児のための授乳などによって今までのスケジュールが変わると、睡眠時間も無理やり変える必要があるかもしれません。すると、「いついつまでに寝なくては」と焦る気持ちが生まれてしまって、時間を意識しすぎるあまり眠れなくなる人がいます。
また、海外に行くことが昼夜逆転のきっかけになることもあります。アメリカやヨーロッパなど日本から離れれば離れるほど時差が大きく、生活リズムへの影響も絶大。体内時計では夜になっていても、現地が朝であればそれに合わせなければなりません。もし、海外の生活リズムに合った状態で日本に帰ってくれば、体内時計が合わないので夜になっても眠れなくなります。
急激に変化させると自律神経がついて行かないので、環境の変化を予定している人は事前に少しずつリズムを変えていくとよいかもしれません。
病気
昼夜逆転は外的な要因だけでなく、病気という内的な要因によって引き起ることもあります。
たとえば、うつ病。うつ病は日中に症状が強く、夕方以降に軽くなるケースが多々あります。すると、朝は起きられずにお昼や夕方まで寝てしまって、生活習慣を乱してしまいやすくなります。また、うつ病は入眠を難しくしたり眠りを浅くしてしまったりするので、このことも昼夜逆転を起こしやすくするでしょう。
他にも、起立性調整障害などの病気も要因として考えられます。起立性調節障害を起こすと自律神経が乱れるので、朝はなかなか起きられなくなったり午後から元気になるために夜に眠れなかったりします。主に思春期に多い病気ですが、中等症や重症の場合が疑われる場合は病院を受診するようにしましょう。
昼夜逆転を改善するための5つの方法
昼夜逆転した生活を改善するためには、いくつか方法があります。ここでは今からできる簡単な方法を5つ紹介していきます。正しいリズムに整えたいという人は、ぜひ参考にしてください。
規則正しい生活
昼夜逆転を改善するには、規則正しい生活を送るように努めるのが効果的です。
昼夜逆転を引き起こしている原因の1つは、夜更かしなどで入眠の時間が遅いこと。眠る時間を今までよりも早くすることで、自然と日が上がれば目が覚める生活に戻っていきます。
中にはどうしても夜に布団に入っても眠れないという人もいるでしょう。そのような人は、夜の過ごし方を見直すのがおすすめです。たとえば、スマホからは脳を覚醒させる強力なブルーライトが出ているので、夜はできるだけスマホを操作しないのがいいでしょう。また、夜に温かい飲み物を飲めば体が温まるので、就寝時に眠気を促すことが可能です。
朝の日光浴
朝起きるのが苦手という人は、起きたらすぐに日光浴をするのがいいでしょう。
人間は太陽の光を浴びることで、体内時計がスタートするようになっています。そのため、朝すぐに日光浴をすることで、乱れた体内時計を整えることが可能です。
また、日光浴をすると幸せホルモンであるセロトニンの分泌が盛んになりますが、実はこれが昼夜逆転を改善するための大きなポイント。睡眠ホルモンであるメラトニンはセロトニンから作られています。そのため、朝日を浴びてセロトニンをしっかりと作っておけば、夜にメラトニンの分泌も盛んにできます。
つまり、夜になれば自然と眠たくなるようになるので、昼夜逆転を改善しやすくなるといえるでしょう。
長い昼寝の禁止
ストレスを解消したり午後の集中力を高めたりするために、昼寝をしているという人は多いです。しかし、長い昼寝は夜の眠りを妨げるので、短い時間で起きなければなりません。
具体的には、夜の眠りに影響を与えない昼寝の時間は15~30分といわれています。もし、30分以上昼寝をしてしまっているという人は、夜の眠りに悪影響を与えている可能性があります。
また、昼寝の長さとともに寝る時間帯にも注意が必要。15時以降に昼寝をしてしまうと、夜の眠りに悪い影響を与えてしまいます。
昼寝は午後のパフォーマンスを高めるのに有効ですが、寝る長さや時間帯を誤ると昼夜逆転するきっかけになります。昼寝をする時は、長い睡眠はせず15時までに起きるようにルール化するようにしましょう。
日中の活発化
夜に寝る習慣を作るためには、日中に活発に動いて身体を疲れさせるのがおすすめです。
たとえば、少し速めのウォーキングや水泳、サイクリングなどの有酸素運動をしてみてください。適度な有酸素運動にはストレスを解消する効果が期待できるので、ストレス解消と身体への疲れによって夜に快眠しやすくなります。
おすすめは16時ごろの運動。人間は体温が下がるときに眠気を感じるようになっています。夕方に運動をして体温を上げることで、夜にスムーズに眠りにつけるようになるでしょう。
なお、疲労を蓄積するためでも、寝る前に運動をするのはよくありません。運動をすると交感神経が活発化するので、運動をする時間によっては逆効果です。寝る直前はゆっくりとリラックスできる環境を作るようにしましょう。
寝室の環境改善
夜にスムーズに入眠をするためには、寝室の環境もよくしなければなりません。
たとえば、夏場の室温は26度程度で冬場なら22度程度がよく、湿度は1年を通して50%程度がいいでしょう。夏や冬などは空調管理には気をつけて、心地よい環境を作るのが大切です。
また、明るすぎたり暗すぎたりするのも入眠にはよくありません。光の色も重要で、青白い色よりも暖色系のものの方が刺激が少なく入眠をスムーズにしてくれます。寝室ではできるだけ「昼白色」や「昼光色」は避け、電球色などのオレンジ系のライトを使うようにしましょう。
まとめ
昼夜逆転した生活を続けていると身体的・精神的な悪影響だけでなく、将来重篤な病気を引き起るリスクをも高めてしまいます。原因は生活リズムの乱れやストレス、環境の変化などが挙げられ、改善は十分に可能です。
この記事では、規則正しい生活を送ったり日光浴をするなど、おすすめの改善方法まで紹介してきました。実践すれば睡眠の質を高めることもできますので、昼夜逆転でお困りの方はぜひ参考にしてみてください。