夜頻繁に目が覚めてしまったり、朝起きた時に疲労がとれてなかったりと睡眠に関して様々な問題を抱えている人は多くいます。1日の約3分の1を占める睡眠時間に問題を抱えてしまうと、日常生活に支障が出たり症状が進むと病気になる可能性も。そうならないよう、本日は寝返りに注目して睡眠の質を上げる枕の選び方についてお伝えしていきます。また、そもそもなぜ寝返りをすることが大切なのかやマットレスも寝返りを打つ上で大切なものですので、そちらも一緒に解説していきますね。
なぜ寝返りがしやすいことが大事なのか
そもそもなぜ寝返りがしやすいことが大事なのでしょうか。まずは寝返りの役割から、寝返りをあまりしないとどうなるのかについて述べていきます。
寝返りの役割
寝返りには大きく分けると5つの役割があるといわれています。よい睡眠につなげるのはもちろんですが、日常生活を快適に過ごす上でも重要な役割を担っています。以下がその役割です。
- 背骨のゆがみを矯正する
- 筋肉の疲れをリセットする
- 血液や体液の流れを良くする
- 布団にこもった熱を逃す
- レム睡眠とノンレム睡眠をスムーズに切り替える
順番に解説していきます。
背骨のゆがみを矯正する
快眠するのに適した姿勢を保つことで、体のゆがみを直すことができます。理想の寝姿勢は仰向けの際は背骨のS字カーブが保たれた状態で、横向きの際はマットレスと背骨が平行に一直線になっている状態。体にフィットした枕やマットレスを使用すると、寝返りを繰り返すことで背骨を正常な位置に戻すことができますよ。
筋肉の疲れをリセットする
ずっと同じ姿勢だと筋肉が硬直して疲れが取れにくくなります。適度な回数の寝返りは、ストレッチと同じで筋肉をほぐし疲れをとる効果があるため、日常的に朝起きた状態をチェックするとよいでしょう。朝起きた時、疲れがとれていないと感じる状態が続くのであれば、寝返りがうまくできていない可能性があるかもしれません。
血液や体液の流れを良くする
寝返りをすることで、寝ている最中でも体を動かすことができ血流がよくなります。全身の血行がよくなるため、筋肉がリラックスでき肩こりや腰痛といった症状を軽減してくれますよ。逆に寝返りが少ないと、血行が滞るので疲れが抜けにくくなるので要注意。特に寝具を変えると変化が起きやすいため、起床時の状態をよく観察しておくとよいでしょう。
布団にこもった熱を逃す
寝ている最中は仰向けよりも横向きになることで、布団と接している面積を減らすことができ、たまった熱を効率的に発散させることができます。体温調節にもつながるため、暑くて寝苦しい人はもしかすると寝返りの頻度が少ないのかも。特に夏は室温が上がりやすく、中途覚醒も起きやすくなるため気を付けましょう。
レム睡眠とノンレム睡眠をスムーズに切り替える
睡眠時間は取れてるけど寝起きがよくない人は、寝返りがうまくできていない可能性があります。寝返りにはレム睡眠とノンレム睡眠を切り替える役割があり、よい睡眠をとるには2つの睡眠がスムーズに切り替わることが重要。深い眠りと浅い眠りを繰り返すことで朝すっきり起きることもできるようになりますよ。
寝返りできないとどうなる?
寝返りが上手にできないことによって、以下の問題が生じます。
- 腰痛や肩こり、頭痛が起こる
- 汗をかく
- 疲れがとれない
- 熟睡できず途中で目覚めてしまう
- 起床時に体が痛い
寝返りが不足することで全身の血流が悪くなったり筋肉が硬直するため、疲労が回復しきらず起床時にすっきり目覚めにくくなります。悪化すると慢性的な肩こりや腰痛になることもあるため注意しましょう。また、寝返りをしないことで布団にこもった熱が適切に発散されず、熟睡できなくなる可能性もあり睡眠の質が低下していくことにつながります。
寝返りがしやすい枕とはどういうものか
ここまでで、寝返りの重要性やしないことによって生じる問題をお伝えしてきました。では、寝返りをしやすい状態にするためには、どんな点を気を付けるとよいのでしょうか。枕選びの観点からお伝えしていきます。大前提として、寝返りを妨げる原因が少ない枕を選ぶことが大切だと覚えておきましょう。
枕の大きさ
大切なのは自分に合う枕を選ぶこと。体のサイズと比較して小さい枕を使っていると、寝返りをした際に頭が落ちてしまい、目が覚めることで睡眠の質を低下させる可能性があります。まずはだいたいで構いませんので、自分の体格に合う枕のサイズを選ぶとよいでしょう。以下が日本で一般的に販売されている一人用のサイズ例です。
- 35×50cm(小柄な人向け)
- 43×63cm(中柄な人向け)
- 50×70cm(大柄な人向け)
普段から寝返りが激しい人は、この基準より大きい枕を購入するとよいでしょう。寝返りが激しいと枕から頭が落ちる可能性が高くなるため、サイズに余裕を持つことで安心して眠ることができますよ。
枕の高さ
大きさとともに高さも重要なポイント。チェックをする際は仰向きと横向きの姿勢を基準にしましょう。仰向けの場合、首の角度が寝具に対して約15度、横向きの場合は鼻と胸の中心線が寝具と平行になるのが目安となります。高すぎても低すぎても寝返りを妨げてしまうため要注意。もし高さを調整したい場合はタオルを使って自分に合う高さを探してみましょう。低い場合は枕の下に、高い場合は体の下にタオルを敷くことで高さを調整できますよ。
枕の形状
最近ではさまざまな枕の形状がでており種類が豊富。たとえば、枕の左右が少し高くなっており横向きの際に適切な姿勢を保ってくれるものなどです。ただし注意が必要な点があり、人によっては頭が固定されてしまい寝返りの妨げになることがあります。また、枕の素材によっては高さが片方に寄ってしまうこともあるため気を付けて選ぶとよいでしょう。ポリエチレンパイプ、そば殻は枕の中で偏りやすいため注意してください。
枕の硬さ
寝返りがしやすい枕とは、ある程度頭が沈みこみにくい硬めの素材を使ったものが適しています。たとえば、高反発ファイバーや高反発ウレタン、ラテックスなど。柔らかすぎると頭が沈みすぎて寝返りが打ちづらくなりますので気を付けましょう。特に低反発ウレタンや羽毛などでできている枕は注意して使用してください。
不適切な寝返りの原因は枕だけでない
適切な枕を選ぶことで寝返りを打つことができ、睡眠の質を上げることが可能です。ただし、寝返りの中でも不適切なものも存在します。たとえば、枕が硬すぎるため枕に頭を乗せるのを避けるために寝返りをすることもあり、これは適切なものではありません。高すぎる枕でも寝姿勢が保てず同様のケースが起きるため、快眠するための枕の条件も参考にすることで、より寝返りを自然と打てる枕を選ぶことができます。またマットレスも寝返りのしやすさに大きく関わっており、自分に合ったものを選ぶことが重要。問題が解決しないときは枕と一緒にマットレスも見直すとよいでしょう。
快眠枕を見つけるための5つのポイント
では、快眠するための枕の条件とは一体何なのでしょうか。大前提は背骨のゆがみの部分で述べた寝姿勢を保てるかどうかです。仰向けと横向きの姿勢がしっかり保てることが大切ですので、実際に試してみて判断するとよいでしょう。それ以外に確認してほしいポイントが5つあります。
- 寝返りの打ちやすさ
- 寝姿勢との相性
- 呼吸のしやすさ
- 通気性の高さ
- メンテナンスのしやすさ
寝返りの打ちやすさについてはここまでで述べておりますので、ほかの4つのポイントについて解説していきます。
寝姿勢との相性
ここでは枕の高さや形状を確認するとよいでしょう。高さについてはタオルを使って調整も可能ですが、そもそも自分に適した高さを確かめるのが大切です。確実なのはオーダー枕専門店で計測してもらうことですが、自宅の壁に背中と後頭部を当てて、壁と首のすき間で最も長い部分を測ることでも計測が可能。一般的には男性が6~10cm、女性が4~7cmほどといわれていますので参考にしてください。
枕の高さに加えて、マットレスに沈み込む分の高さも考慮するとよいでしょう。柔らかいマットレスであれば1~2cm高めを、硬めであれば1~2cm低めの枕を選んでください。最終的には仰向けや横向きで寝てみて、寝姿勢をしっかり保てるかを確認するのがおすすめですよ。
呼吸のしやすさ
寝てみて呼吸のしやすい枕だと、安心して眠ることができ睡眠の質が高くなります。そのためには枕のやわらかさに気を付けることが大事。枕の中に使っている素材によって左右されるのですが、羽毛やポリエステル、ウレタンがやわらかめで、ポリエチレンパイプやそば殻が硬めとなります。どちらが良いかは個人差がありますので、実際に触ってみたり使ってみて判断するのがおすすめ。具体的には使ってみて寝姿勢をチェックしながら、仰向けの際に胸を大きく開いて呼吸してみてください。その時に肩が内側に向いて呼吸がしにくいようであれば、硬すぎる可能性がありますのでもう少しやわらかめの枕を選ぶとよいでしょう。
通気性の高さ
眠りの質をよくするのに枕の通気性は欠かせません。寝ている最中に頭が蒸れたり汗で濡れてしまうと目が覚めてしまい、睡眠の質を低下させる原因となります。たとえば、側面がメッシュになっている枕や蒸れにくい素材を使ったものを選ぶと、通気性がよくなるので選択肢にいれるとよいでしょう。頭部の熱を上手に発散することでより快眠できるといわれているため、通気性も考慮して枕を選んでみてください。
メンテナンスのしやすさ
どれだけ高機能の枕であっても、使っているうちにすぐへたってしまったり、通気性が悪くなるとお金もかかってしまいます。清潔な状態を保つためにも手入れのしやすさも考えて選ぶのがおすすめ。たとえば、ポリエステルやポリエチレン、そば殻の素材は洗濯もしやすいため、汚れてしまっても清潔に保ちやすくなります。枕によっては洗濯機でそのまま洗えるものもありますので、洗濯方法も確認するとよいでしょう。
寝返りがしやすいマットレスとは
マットレスを厳選することでより寝返りが打ちやすくなります。もし枕を変えても解決しない方は、マットレス選びも検討してみましょう。寝返りしやすいマットレスのポイントは以下の3点です。
- 体圧分散性
- 反発弾性
- 通気性と吸放湿性
体圧分散性
体圧分散性とは、マットレスの柔らかさのことでどれだけ体にフィットしてくれるかを示す言葉。寝返りしやすくするには圧迫感を軽減することが大切で、そのためにはある程度柔らかいものが効果的です。硬すぎると腰を圧迫してしまい腰痛の原因になることもあります。柔らかすぎても体が沈み込みすぎて、筋肉の硬直や寝姿勢の悪化で体の不調につながってしまうため要注意。快眠のためには適切な寝姿勢をキープしながら、圧迫が少なく快適に眠れる柔らかさのマットレスを選ぶとよいでしょう。
反発弾性
反発弾性とはマットレスの弾力性のことで、寝姿勢をキープするのに重要なポイント。弾力性がないと体を動かすのに力が必要となり、寝返りする際に力が必要となって睡眠の質の低下につながることも。少し力をいれるだけで寝返りが打てると体への負担も軽減されます。柔らかさと共に弾力性があるものを選ぶと寝返りにはよいでしょう。
通気性と吸放湿性
睡眠中に寝苦しくなると、寝返りの頻度が増えて睡眠の質が低下する可能性があります。寝姿勢をキープしつつ、蒸れにくく熱を発散しやすい構造や素材を使ったマットレスを選ぶことで快適に眠ることができます。さらに季節によって快眠できる寝具の素材が変わってくることもあり、特に夏や冬は気温の変化が激しいので気を付けましょう。自分の睡眠に合わせて適した素材のマットレスを選ぶことで、より快適な睡眠を得ることができます。ぜひ通気性や吸放湿性にもこだわって選んでみてください。
まとめ
今回は、寝返りをすることでのメリットやデメリット、寝返りしやすい枕の特徴までお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。寝返りの改善で大切なのは、自分の悩みをまず把握し、解決する枕やマットレスを選ぶことです。まずは枕を厳選して適切な寝返りを打つことができるか確認しましょう。難しければマットレスも厳選すれば、より快眠につながりやすくなります。寝返りは快眠するために大事なポイントので、合っていない枕やマットレスを選ぶことで体の不調につながります。毎日の体の調子を注意深く観察し、状況を把握して対策を講じていきましょう。本記事が毎日の睡眠の質がよくなるヒントになれば嬉しいです。