睡眠ノウハウ

枕の臭いの原因とは?効果的な洗い方と臭いの予防方法を紹介

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枕は質の良い睡眠をとるために欠かせないものですが、長年使用していると臭いが気になってくることがあります。

枕はつねに頭皮や頭髪が密着しているため、雑菌が繁殖し、臭いがつきやすくなります。また、使用している人の体臭も原因になることもあります。

今回は、枕につく臭いの原因を明らかにするとともに、臭いを落とす洗い方、臭いが付くのを防ぐ方法を徹底解説します。

この記事の監修者
睡眠健康指導士、建築物環境衛生管理技術者
佐々木崇志
東北大学大学院薬学研究科修了。修士(薬科学)、建築物環境衛生管理技術者。 修了後は臨床研修指定病院で医局秘書や学生担当として全国の医療を志す学生や医療従事者と携る。勤務していく中で睡眠に関する訴えが医療従事者にも多い事に気づき、自身も医療従事者や患者の助けにならないかと考えるようになり個人で活動を始める。現在は東北を活動の拠点として睡眠(体内時計・時計遺伝子)の研究の経験、資格の知識を生かしながら睡眠啓蒙活動を行なっている。

臭いの原因①:素材の臭い

枕素材

枕に使用される素材には、もともと特有のにおいを持っているものがあります

  • 羽毛
  • 羽根
  • ウレタン(低反発、高反発)
  • ラテックス

羽毛や羽根などの天然素材は、洗浄不足からきていることがほとんどです。羽根や羽毛は羽軸に油が溜まっていますが、それが落ち切っていないことが原因です。通常は臭わないよう加工されて出荷されますが、安価なものは臭いがきつい場合もあります

ラテックスはゴムの樹の樹液を使用しているため、ゴムの臭いがすることがありますが、それほど不快な臭いではありませんし、時間がたつにつれてなくなることがほとんどです。

ウレタンの臭いの原因は製造時に添加されるアミン類です。製造時に残っている成分はごくわずかなので、人体への影響はほとんどありません。こちらも時間とともに消えていきます。

臭いの原因②:体臭

体臭

枕は長年使用していると皮膚や汗を介して、様々な体臭が移ってきます。体臭にはいくつか種類があり、年齢や生活習慣が大きく関わっています。

加齢臭

40歳以上になってから発生する体臭の多くは「加齢臭」です。若いころは体臭がほとんどなかった人でも、40歳を過ぎたころから男女問わず発生してきます。原因は、皮脂に含まれる「ノネナール」という物質が加齢によって増えてくることです

ノネナールは歳を取るにつれ体の抗酸化力が衰え、皮脂に含まれる成分「9-ヘキサデセン酸」が酸化することで発生します。その臭いは、古本や古いポマードなどにたとえられます。

ミドル皮脂臭

30代~40代から、男性に発生します。ミドル皮脂臭は「ジアセチル」という成分がもとになっています。ジアセチルはヨーグルトやチーズなど発酵食品の臭いの主成分で、体臭はバターや古い油のような臭いになります。

これは、皮膚上に存在する「表皮ブドウ球菌」「黄色ブドウ球菌」が汗に含まれる乳酸を取り込むことが原因です。頭皮から発生することが多く、「頭皮臭」とよばれることもあります。

ストレス臭

ストレス臭は2018年に正式に認められたばかりの、新しい種類の体臭です。発見から日が浅く、発生するメカニズムはよくわかっていませんが、緊張状態が続くと男女問わず発生することがわかっています

皮膚から発生する「皮膚ガス」を介して臭います。硫黄に似た臭いがしますが、研究者の間では「ラーメンの上に載っているネギ」の臭いと評されています。

疲労臭

ツンとしたアンモニア臭が特徴です。肉体的な疲労や精神的なストレスがたまることで、血液中のアンモニアが血管からガスとして臭ってきます。通常、食べ物を消化する過程でアンモニアが発生しますが、アンモニアは体に害を与えるので、通常は尿として体外に排出されます。

しかし疲労やストレスの影響でアンモニアを分解する力が弱くなったり、分解しきれないほどの量のアンモニアが発生したりすると、排出されなかったアンモニアは血液とともに体中に駆け巡り、皮膚から染み出てくることで臭いを放ちます。

血液中から出てくるため、体を洗っても臭いを防ぐことはできません。

ダイエット臭(飢餓臭)

極端な食事制限や特定の食べ物を食べ続けるような、栄養のバランスを欠いたり食事量を極端に減らして運動していなかったりすると、発生することがあります

臭いはいくつか種類があり、特定の野菜や果物だけを食べるダイエットをして、体が飢餓状態になると甘酸っぱい臭いがしてきます。糖質制限のために肉類を中心とした食生活を送っていると、腸内環境が悪化したり、過度な食制限で肝機能が悪化したりすると、アンモニア臭が発生します。

過度な食事制限をしている上に運動不足が重なると、脂っぽい臭いがきつくなります。栄養のバランスが悪い食生活で、筋肉を動かすエネルギーを生み出すのに欠かせない「ミトコンドリア」の働きが悪くなることが原因です。老化が進み、抗酸化力が減退することで皮脂の酸化が進むことで、別の体臭を発生する可能性もあります。

臭いの原因③:カビ、雑菌

雑菌

枕には、汗や皮脂、フケなどが毎日のように付着します。それらを黄色ブドウ球菌などの菌が分解することでできる分解物や、菌の死骸が臭いの原因です

また、洗髪した後、髪を乾かさずに寝ると、モラクセラ菌が発生し、洗濯物が生乾きした状態のような臭いが発生することがあります。

枕の臭いを確実に消す洗い方

洗濯

枕の臭いは臭いの原因、素材で消す方法が違います。臭いの原因によって洗い方やお手入れを変えなければ、効果がありません。

枕カバーを洗う

頭が直接つく枕カバーは、汗や皮脂など臭いのもとになる成分が多くつきます。とくに夏場、汗をかく時期はそれらをエサに雑菌も繁殖しやすいので、頻繁に洗うようにしましょう。常に清潔さを保つためにも、週に1回は洗濯するのがおすすめです

枕カバーは素材により干し方を変えると、より快適に使用できます。タオル地は天日干しすると、ガサガサになりがちです。柔軟剤を加えて乾燥機を使用すると柔らかに仕上がります。

ナイロン、シルク素材の枕カバーは直射日光が当たると変色する恐れがあるります。陰干しがベストです。

洗濯しても臭いが取れない場合は、つけおき洗いが効果的です。40℃ほどのぬるま湯に洗剤を入れて、1時間ほどつけておいた後、通常通り洗濯機にかけて干します。

臭いや汚れがひどい場合は重曹やセスキ炭酸ソーダを入れると効果があります。漂白剤を入れても臭いはとれますが、漂白剤を使用すると傷んでしまう素材もあるので、洗濯前に枕カバーの洗濯表示の確認を忘れずに。

枕本体も洗う

枕本体も汗や皮脂がしみ込んで、悪臭のもとになります。半年に1回は洗うのが理想ですが、枕は洗えない素材を使用しているものもあるので、自分の使用している枕の素材を確認してから洗うようにしましょう。パイプ枕などプラスチックの素材を使った枕は、自宅で洗うことが可能です。一方、羽根や羽毛、そばがらなどの天然素材、ウレタン枕は洗うことができない素材です。

洗濯機で洗う場合

洗濯機を使用する場合は事前に縫い目にほつれがないかを確認して、できれば洗濯ネットに入れましょう。ネットに入れたまま干せる枕専用の洗濯ネットも販売されています。洗うときは、洗剤を直接枕にかけないように気を付けましょう。

洗剤が枕の中に直接入り込んでしまうと、中に洗剤が残って雑菌が繁殖する原因になります。洗濯機の設定は「手洗い」や「ドライ」など優しく洗うようにすると、型崩れを防ぐことができます。

洗い終わったら内部が生乾きにならないよう、干す前に手でたたいて枕の詰め物を均一にならしましょう。生乾きの部分があると雑菌やカビが繁殖し、効果がありません。

手洗いする場合

手洗いする場合は、洗う前に熱湯をかけるとダニ退治になります。洗うときはぬるま湯をためて、洗剤を溶かします。洗剤の分量は洗剤の説明に書いてある指示に従ってください。枕全体をつけて、もみ洗いして洗剤を中まで浸透させた後、洗剤が抜けきるまで水洗いします。

乾かすときは、枕から水をぬいて形を整えて干します。ときどきひっくり返して、中心までしっかり乾かしましょう。素材によっては日光に当てず、陰干ししたほうがいいものもあります。

羽根枕、羽毛枕の臭いは落とせる?

羽根枕、羽毛枕は羽軸に付着している脂が落ち切っていないため、獣臭のような臭いが残っていることがあります。この場合は枕をたたいたり、もみこんだりして中まで空気を入れた後で半日ほど陰干しすると、臭いがある程度とぶことがあります。

一回で完全にとばすのは難しいですが、何度か繰り返すことでかなり臭いを軽減できます

自宅で洗うときは手洗いするときと同じ手順で洗えますが、品質の劣化が心配な場合はクリーニングに出すこともできます。クリーニングに出す際は、水洗いに対応できるクリーニング店に頼みましょう。石油を使用するドライクリーニングは羽根を傷めてしまいます。料金は2,000円前後が目安です。

枕の臭いを予防する方法

枕臭い予防

新しい枕を購入した場合や洗濯した後は、安眠の妨げにならないよう、なるべく臭いがつかない工夫をする必要があります。

枕カバーを頻繁に変える

枕カバーは1枚だけでなく、何枚かそろえておきましょう。枕カバーは週1~2回は洗濯したほうが、清潔さを保てますし、安眠にもつながります。汗をかく夏場は毎日洗っても問題ありません。頻繁に洗濯できるよう、洗いやすい木綿などの素材でできた枕カバーがおすすめです。

臭いの付きにくい素材の枕に変える

天然ラテックスを使用した枕は、防臭効果があります。また、自宅で洗えない素材の枕でも防菌防臭効果を施しているものもあります。忙しくて、こまめな洗濯ができない人におすすめです。

消臭効果のある洗濯洗剤を使用する

最近は洗濯ものの汚れを落とすだけでなく、雑菌の繁殖を抑えて生乾き臭を防止できる洗剤も数多く販売されています。抗菌効果のある洗剤を使えば、雑菌やカビによる臭いを防ぐ効果が期待できます。

また、体臭や汗臭に対応した洗剤もあります。枕やシーツは長年使用していると、臭いの成分がしみ込んで、臭いが落ちにくくなります。加齢臭は酸化した皮脂が原因ですが、洗濯洗剤はほとんどが中性か弱アルカリ性で、加齢臭を落とすのに向いていません。酸性の加齢臭を落とすなら、酸性とは逆の成分であるアルカリ性の洗剤が効果的です

食生活の見直し

欧米人は日本人と比べると体臭がきついと言われています。その原因は、肉類を中心とした動物性脂肪の多い食生活です。日本人は元来、体臭は少ない方ですが、食生活の欧米化で体臭のきつい人が増えたといわれています。

肉類や油分の多いものが中心の食生活は、体臭がきつくなります。また、糖分を摂りすぎも皮脂の過剰分泌などで体臭が強くなる原因です。

周囲から体臭を指摘されている人は、肉類中心の食事を野菜中心に変える、甘いお菓子、飲料の量を控えるなど、食生活を見直す必要があります。

運動の習慣を取り入れる

人の体には汗を体外に出すための「汗腺」があります。汗腺にはろ過機能があり、一度、血液からミネラルなど様々な成分を吸収した後で塩分と水分のみを体外に排出します。

運動不足や、一年中空調の聞いた部屋の中で過ごすなど、汗をかく機会がない生活をしていると汗腺の働きが衰え、ろ過機能が正常に働きません

そうなると、塩分と水分以外の成分も排出され、これらをエサにして雑菌が繁殖しやすくなることで体臭が発生しやすくなります。通常、汗に臭いはありませんが、汗腺が衰えている場合は汗からアンモニア臭がすることもあります。これは疲労物質の乳酸が血液中にたまっているためです。

体臭の抑制に効果がある運動は、ウォーキング、水泳などの有酸素運動です。酸素が汗腺にいきわたることで、汗腺の働きをよみがえらせることができます。

体臭を消すサプリを飲む

加齢臭、ミドル皮脂臭など一部の体臭はサプリで抑制することが可能です。体臭の種類によって、抑制効果のある成分は違います。サプリの説明書きを読んで、どんな体臭に効果があるか確認した上で服用しなければ、効果は出ません。

また、効き目には個人差があり、効き目が表れるまでに時間がかかります。

ストレス臭、疲労臭はサプリで抑えることはできません。生活を根本から変える必要があります。できることから少しずつ始めましょう。

まとめ

臭いまとめ

枕の嫌な臭いは、枕に使用する素材、雑菌の繁殖、体臭など様々な原因があります。枕は毎日使用するものなので、汚れが付きやすく、雑菌の温床になったり体臭が移りやすくなったりすることは避けられません。洗濯や陰干しなどの定期的なお手入れが必要不可欠です。

また、体臭が原因の場合は生活習慣からの見直しが必要です。枕の臭いは安眠を妨げ、健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。自分が使用している枕の臭いの原因を把握して、正しいお手入れ、予防を行いましょう。

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