「睡眠時間はしっかりとれているのに疲れがとれない」
「寝起きは体がガチガチで肩こりや腰痛がつらい」
と悩んでいる方は睡眠中に上手く寝返りが打てていない可能性があります。
寝返りを熟睡できていないというイメージもあるかもしれませんが、寝返りを打つことは快適な睡眠につながり、体を回復するために必要な行動です。
この記事では、寝返りの役割や寝返りが上手く打てない原因、その対処法まで解説します。
睡眠の質を上げて疲れを回復したい方や寝起きの体の調子をよくしたい方は、この記事を参考にできることから改善していきましょう。
寝返りの役割と打てないことによるリスク
睡眠は1日の疲れを回復するために重要であり、快適な睡眠には適度な寝返りがかかせません。そこで睡眠の質を高めてくれる寝返りの役割について紹介します。
寝返りの役割①体への負担を減らして血行を促進する
同じ姿勢で長時間寝ていると、腰や背中など体の一部位に圧力がかかり続けます。圧力がかかり続けると体への負担が増したり、同じ部位が圧迫されることで血流の循環が悪くなり血行不良を起こします。
しかし、寝返りを打つことで圧力がかかる部位が変わるので、圧力がかかり続けることはありません。
血行不良が起こると筋肉が硬直し肩こりや腰痛の原因になったり、床ずれなどの炎症を引き起こす可能性もあります。
寝返りは体への負担を軽減し、血行を促進することで睡眠の質を向上する役割を担っています。
寝返りの役割②空気を入れかえ睡眠環境を整える
寝返りには、布団にたまった空気を入れかえて体温や湿度を調整する役割もあります。
同じ姿勢で寝ていると枕や布団に接している部分に熱がこもってくる感覚はほとんどの人が経験がありますよね。
睡眠中には布団の中の湿度も高くなります。なぜなら人は寝てる間にコップ1杯ほどの汗をかくと言われているからです。
熱がこもって体温があがったり湿度が高くなると不快な感覚になり睡眠を妨げてしまいます。
寝返りを打つことで布団にたまった空気を入れかえることで、睡眠に快適な体温や湿度に調整し睡眠中の環境を整えることができます。
寝返りの役割③背骨を伸ばすことができる
日中は仕事や家事などの作業を立ったり座ったりしながらこなしています。立ったり座ったりの作業は、背骨に負担がかかり肩こりや腰痛の原因になります。
なぜなら負担がかかった状態では背骨が歪んでしまうためです。
睡眠中の姿勢は、自然と体が伸びることで背骨と筋肉を休ませることができ、さらに寝返りで体を反る行為がプラスされてより背骨が伸びることができます。
寝返りは、睡眠中の無意識の行動なので自分で調整することができません。よって、寝返りが打ちやすい環境を整えることが重要になります。
健康な大人の寝返りの平均回数
健康な大人が一晩で寝返りを打つ回数は平均すると20回程度と言われています。ただ平均回数はあくまで目安であり、これより少なかったり多かったりするのが悪いというわけではありません。
寝返りは性別、体型、体質などによって個人差があるので、寝返りの回数にこだわるのではなく、普段から快適な睡眠がとれているかに着目することが大切になります。
寝返りが打てない2つの原因
寝返りが打てない原因はおもに次の2つの理由があります。
- 日中の生活で体が凝り固まっている
- 睡眠時の環境がよくない
原因①日中の生活で筋肉が凝り固まっている
筋肉が凝り固まると体を動かすのが制限され、寝返りが打ちにくくなります。
日中の生活で筋肉が凝り固まる要因として
- デスクワークで長時間同じ姿勢をとっている
- 家事や育児で負担がかかる体勢になる
- スマートフォンを長時間の使用する
ということがあげられます。
デスクワークのように長時間同じ姿勢をとると、血流が悪くなり筋肉が凝り固まってしまいます。大人になると筋肉が凝り固まる原因はさまざま。その上、運動する機会も減ってくるのでより寝返りが打ちにくい環境が作られます。
また、高齢者になると筋肉の衰えで体を動かすのが難しくなり、寝返りが打ちにくいこともあります。
原因②睡眠時の環境がよくない
使用している寝具など、睡眠時の環境によっても寝返りは打ちにくくなります。
睡眠時の寝返りが打ちにくい要因として
- 掛け布団や毛布が重く物理的に動きにくい
- 枕が小さく頭が落ちそうになる
- マットレスが柔らかく体が沈み込む
- パートナーや子供と近い距離で一緒に寝ている
ということがあげられます。
枕やマットレスなど寝具が自分に合っていないと寝返りを妨げる原因になります。
そのほかにも、パートナーや子供と近い距離で一緒に寝ていると睡眠中でも意識するもの。一緒に寝るときには、寝返りを打てるくらいの余裕をもつことが大切です。
また、布団の上が散らかっていると無意識に避けようと寝返りを打たなくなります。特にスマートフォンを枕元に置いている方は離れた位置に置くようにしましょう。
寝返りが打てない原因を改善する対処法を紹介
寝返りを打てるように改善する対処法を紹介します。
対処法①日中の姿勢を改善する
デスクワークなど同じ姿勢で作業することが多い方は、定期的にストレッチすることをおすすめします。ストレッチをすることで、凝り固まった筋肉がほぐれ血行も促進されます。
ストレッチの方法を簡単にいくつか紹介します。
部位 | 効果 | 方法 |
首 | 胸鎖乳突筋を伸ばして首の痛みを軽減 | 1、頭を右に倒す
2、右手で頭を抑えて右に押す 3、左側も同様に行う |
肩 | 肩甲骨を動かして肩こりをほぐす | 1、両手を頭の後ろにもっていく
2、肘を内側に絞って首を真下に向ける |
腰 | 大殿筋を伸ばして腰痛を改善 | 1、椅子に座って右足首を左の膝に乗せる
2、顔は正面を見たまま上半身を前に倒す 3、これを反対側も同様に行う |
背中 | 広背筋を伸ばして猫背や姿勢の歪みを改善 | 1、タオルを両手で握り真上に持ち上げる
2、右側に倒して真上に戻す 3、左側も同様に行う |
ストレッチをすることで一時的な改善は見込めますが、根本的な解決にはなっていません。
長期的な目線でみれば、次のような生活環境を見直していくことが重要になります。
- 正しい姿勢で過ごす
- 長時間スマホを見ない
- 昇降式の作業デスクを取り入れる
- 日頃からウォーキングやジョギングなどの運動する
また、湯船につかることで血行を促進でき、凝り固まった筋肉をほぐすことに繋がります。
対処法②睡眠環境を整える
寝具が自分にあっていない場合は、買い替えも検討しましょう。
睡眠環境に影響するのは次のようなものがあります。
- 枕
- マットレス
- 掛け布団、
- パジャマ
特にマットレスは寝返りに大きく影響します。
マットレスは柔らかすぎると体が沈み込んで動きが制限され、硬すぎても寝心地が悪く感じ、睡眠の質が低下するので注意が必要です。自分にあった適度な硬さで体圧分散に優れているマットレスを選びましょう。
また、寝室が散らかっているときは、寝返りの邪魔にならないよう片付ることも大切です。
寝返りがしやすい寝具の選び方
寝返りをすることで快適な睡眠に繋がります。そこで寝返りをしやすくするため次に示す寝具の選び方を解説します。
- 枕
- マットレス
- 掛け布団
- パジャマ
枕
寝返りのしやすい枕の選び方のポイント
- 高さ
- サイズ
- 寝心地
枕の高さは寝姿勢や体格によって変わってくるので、自分に合う高さを知ることが大切になります。
仰向けに寝たときは首のS字カーブが立ったときと同じになることが理想で、横向きに寝たときは背筋と首のラインが床と平行になるのが理想です。
枕のサイズは頭が落ちないように寝返りしても余裕があるサイズを選ぶことが重要になります。体格によって異なりますが、横幅60cmくらいを目安してください。
枕の硬さは素材によって決まり、寝返りを打ちやすくするためには柔らかすぎず硬すぎない自分にあった硬さが適切です。
素材には
- そばから
- ウレタン
- 羽毛
- パイプ
などさまざまな種類があります。
枕の素材の好みは個人差があるので、どれが自分にとって寝心地がいいのか試してみることをおすすめします。
そのほかにも、通気性がよく蒸れにくいことやマットレスとの相性も大事です。
マットレス
マットレスを選ぶポイント
- 硬さ
- 弾力性
- 厚み
- サイズ
- 寝心地
マットレスの硬さは、仰向けに寝たときに背筋を伸ばして立つのと同じ姿勢がとれる(背骨がS字カーブを描く)くらいの硬さが理想です。
背中とマットレスの間に隙間がなければ、全体に圧力がかかり体圧分散ができています。硬すぎると体の一部に圧力が集中してしまい負担がかかり、柔らかすぎると体がマットレスに体が沈み込んでしまい寝返りが打ちにくくなります。
マットレスには弾力性も必要です。弾力性が弱いとスムーズに寝返りができずに余計な力が入ってしまいます。
弾力性があることで正しい寝姿勢にしてくれる点も重要です。
マットレスの厚みは、10cm以上の厚みがあるものを選びましょう。体にフィットしていても10cm以下だと沈み込んだときに床に接してしまうことがあるためです。
マットレスのサイズは体格にあわせて選ぶことが重要です。マットレスのサイズが小さいと寝ている間も意識して寝返りが打ちにくくなります。パートナーや子供と一緒に寝ている人は、お互いに寝返りが打ちやすいサイズにしましょう。
マットレスのサイズと適正な人数
サイズ | 大きさ | 適正な人数 |
---|---|---|
シングル | 約100cm | 大人1人用。男性は少し窮屈に感じることもある。 |
セミダブル | 約120cm | 大人1人用。余裕をもって寝られる。 |
ダブル | 約140cm | 大人2人用。寝返りを打つには窮屈に感じる。 |
クイーン | 約160cm | 大人2人用。2人でも余裕をもって寝られる。幼児1人が一緒に寝ても大丈夫。 |
キング | 約180cm | 大人2人と幼児1人が余裕をもって寝られる。 |
寝心地はマットレスの種類によって変わってきます。いろんなマットレスを試して自分にとって寝心地がいいマットレスを選ぶことが大切です。
マットレスの種類の一覧
種類 | 特徴 |
ポケットコイル | コイルスプリングを隙間なく並べた作りになっている。
体圧分散に優れている。 |
ボンネルコイル | らせん状に巻いたコイルスプリングを連結して全面に配置した作りになっている。
通気性がよく、寝返りは打ちやすい。 |
高反発ウレタン | 高い反発性があり、押すとすぐに元に戻る。
寝返りも打ちやすく体圧分散にも優れている。 |
低反発ウレタン | 体を包み込んでくれて体型に合わせてフィットする。
圧迫感は感じないが、寝返りは打ちにくい。 |
ファイバー | 丸洗いができて清潔に保ちやすい。
寝返りも打ちやすいが、厚みがなく寝たときに床についてしまうこともある。 |
ラテックス | ゴムの弾力性と柔らかさがある。
体圧分散に優れており、寝返りも打ちやすい。 通気性はあまりよくない。 |
掛け布団
掛け布団の選び方のポイント
- 重さ
- 保温性
- 吸湿性
掛け布団が重いと体の動きが制限されるため軽いものを選ぶのが重要になります。羽毛布団は軽さ、保温性、吸湿性ともに優れているのでおすすめです。
冬には毛布を使用する人が多いと思いますが、毛布は摩擦が起こりやすく寝返りが打ちにくくなります。寝返りを打ちやすくするには、羽毛布団の上に毛布をかける方法を推奨します。
夏は掛け布団は必要ないという人もいると思いますが、何もかけないで寝るのはおすすめしません。エアコンや扇風機をつけっぱなしで寝るときには、体温が寝ている間に下がってくるため体が冷えて睡眠の質が下がってしまいます。
夏には薄手で軽い肌掛け布団(ダウンケット)や厚手のタオル生地で作られたタオルケットを用意しておきましょう。
パジャマ
パジャマの選び方のポイント
- 通気性がよい薄手生地
- 体を締め付けずストレッチ性がある
- 自分に馴染む肌触りのいい素材
厚手のパジャマや何枚も重ね着をするのは避けましょう。厚手のパジャマは体の動きを制限し、重ね着をすると汗が蒸発しにくく蒸れやすくなります。
パジャマの素材には綿、麻、ガーゼ、シルクなどいろんな種類があり、肌触りのいい生地だとリラックスして寝ることができます。また、季節ごとに向いている素材は変わってくるので、季節に適したパジャマを選ぶことが重要です。
季節ごとのおすすめパジャマ
季節 | パジャマの素材 | おすすめの理由 |
春や秋 | 二重ガーゼ | 通気性と吸収性のバランスがよく、朝と夜の気温差に対応できる素材 |
夏 | 麻やタオル生地 | 汗をよく吸って通気性のある涼しい素材 |
冬 | 綿やスムースニット | 保湿性に優れていて、吸湿性があり蒸れにくい素材 |
まとめ
寝返りは、睡眠の質を高めてくれて体の負担を軽減してくれますが、睡眠中の無意識の行動なので自分ではコントロールすることができません。
スムーズに寝返りを打てない状況が続くと、睡眠の質の低下や体の不調を引き起こしてしまいます。
寝返りが打てないのは、日中の生活や睡眠環境がおもな原因になります。
現在の状況を見直して寝返りを妨げる原因に心当たりのある方は、運動やストレッチをしたり、寝具などの睡眠環境を改善していくことをおすすめします。