睡眠を犠牲にして仕事や学業、趣味などをしていませんか。睡眠不足を続けているという人は、ボーっとしたりだるく感じたり、身体や脳に悪影響を感じているでしょう。しかし、睡眠をとったことによるよい効果を実感したことがあるという人は少ないと思います。
そこでこの記事では、睡眠の重要性や睡眠で得られる身体と心への効果、よい睡眠のための条件などを詳しく解説していきます。睡眠の重要性を知りたいという人は、ぜひ参考にしてください。
睡眠が人間にとって重要性が高い理由
睡眠で得られる効果を説明する前に、人間にとって睡眠がどれほど重要性が高いものなのかを説明していきます。この記事の骨格部分ですので、しっかりと読み進めてください。
身体と脳を休める
人間にとって睡眠が大切な理由は、寝ることによって1日の疲れがスッキリと取れるためです。
仕事や学業によって頭を使ったのであれば脳に疲労が蓄積し、身体を動かしたのであれば身体にダメージが残ります。これらをそのままにしていると、判断力が低下したり十分な力が発揮されなかったりしてしまうでしょう。
また、目には見えない体の内部で病気が進行してしまうリスクもあります。睡眠によって疲れやダメージをクリーンにすることで、健康な状態を維持できるようになります。
メンタル面やフィジカル面に自信を持っている人もいるかもしれません。しかし、疲れを残すと知らず知らずの内に身体や脳がむしばまれていくので、しっかりと睡眠をとるようにしましょう。
適切な睡眠が大切
しかし、ただ単に睡眠をとるだけでは不十分な可能性があります。睡眠によって疲れを取るためには、適切な睡眠をとることが大切。
たとえば、眠りには2種類あり、浅い眠りである「レム睡眠」と深い眠りである「ノンレム睡眠」があります。この2つは約90分のサイクルで、一晩の内に何度も繰り返されます。もちろん、それぞれの眠りは役割や効果が違うので、健康を維持するためには適切な睡眠をとらなければなりません。
また、いわゆる「熟睡」をするためには、安定した睡眠をとることも重要です。睡眠のサイクルに合わせて眠ったとしても、睡眠の質が悪ければ熟睡はできません。すると、疲れが取れないどころか、眠れないストレスによってダメージを残すことも考えられます。
そのため、睡眠をとるときは、睡眠時間と睡眠の質にもこだわる必要があるといえるでしょう。なお、よい睡眠のための条件は後章で紹介しているので、参考にしてください。
質の高い睡眠で得られる効果
質の高い睡眠をすることで、身体や脳にさまざまなよい効果が得られます。ここでは睡眠によって得られる効果を7つ紹介していきます。
身体の疲労回復
睡眠で得られる最もわかりやすい効果の1つが、身体の疲労回復ではないでしょうか。身体を横にして睡眠をすることで、蓄積した疲れを取り除くことができます。
身体の疲労回復といえば、筋肉に蓄積した疲れをイメージする人は多いでしょう。実際、筋肉に溜まった疲れが取り除かれていきますが、実はそれだけではありません。
たとえば、ただ単に立っているだけでも、身体のさまざまな部分が機能してバランスを取るために働いています。そのため、意識しなくても身体のさまざまな部分が連動して動いているので、疲れの自覚症状がない疲れも溜まっています。
つまり、質の高い睡眠をとれれば身体の隅々の疲れが取り除かれるので、朝から高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。
成長ホルモンの分泌促進
質の高い睡眠をとれば、成長ホルモンの分泌を増やすことが可能です。
成長期の子どもであれば、成長ホルモンの分泌を促進することで骨や筋肉などの成長促進ができます。また、このホルモンは大人であっても有効。
「成長」とついているので、大人には必要ないとホルモンと思っている人もいるでしょう。しかし、健康や美容を維持するのにかなり大切なホルモンです。
たとえば、成長ホルモンの役割の1つは、傷ついた細胞などを修復するというもの。人間の皮膚は毎日紫外線などによって、目には見えないダメージが蓄積しています。もし、成長ホルモンがなければ肌細胞の機能が低下するので、シミやシワができやすくなったりウイルスなどの外敵が体内に侵入しやすくなったりします。
つまり、しっかりと睡眠をとれば老化を遅らせられるので、美しく健康的な生活を送れるようになるといえるでしょう。
記憶の定着
受験勉強や資格試験を控えている人は、睡眠時間を削って勉強をしていませんか。しかし、睡眠をあまり削ることはおすすめできません。
その理由は、睡眠には記憶を整理して定着させる効果があるため。ノンレム睡眠中に1日の出来事や感情などを整理して、レム睡眠で記憶として定着させるようになっています。そのため、睡眠を削って勉強をしても記憶の定着がスムーズにできないため、長時間の勉強が逆効果になる可能性もあるでしょう。
受験や資格のために勉強をしているという人は、十分な睡眠時間を確保して勉学に励むようにしてください。
なお、すでに説明した通り、ノンレム睡眠とレム睡眠は約90分のサイクルで繰り返されています。そのため、90分単位で時間を計算して寝るようにすれば、適切な睡眠をとりやすくなります。
免疫力向上
寝不足状態を続けた結果、体調を崩してしまった経験は誰にでもあるでしょう。実は睡眠は免疫力を高める効果もあります。
たとえば、睡眠をとれば傷ついた細胞をしっかりと修復できるので、ウイルスの浸入を防ぎやすくなります。また、ウイルスと戦う免疫細胞であるNK(ナチュラルキラー)細胞の働きが鈍るので、病気が治りにくくなったり重症化しやすくなったりするでしょう。
なお、人間は健康な人でも毎日がん細胞を作っているといわれています。しかし、NK細胞が攻撃してくれているために、ガンにならずに済んでいます。ガンになるリスクを下げて健康に暮らし続けるためにも、しっかりとした睡眠で免疫力を高めるようにしましょう。
食欲の安定化
質の高い睡眠をとっているとホルモンバランスが整うので、食欲のコントロールも容易になります。
たとえば、睡眠不足になっていると分泌が増加するのが「グレリン」というホルモン。グレリンは食欲を増進する作用があるので、必要以上に食べたくなる衝動にかられやすくなります。
反対に睡眠が足りていないと「レプチン」という満腹中枢を刺激するホルモンは減少。そのため、十分に食べていても、満腹を感じにくいので食べ過ぎてしまいます。
しかし、適切な睡眠をとっていれば、食欲が安定して食べ過ぎてしまうリスクを下げられます。結果として、生活習慣病リスクや肥満などになりにくくなるので、健康や美容に有効といえるでしょう。
体型維持
「睡眠ダイエット」というものを聞いたことはありませんか。その名の通り寝て痩せるというもので、質の高い睡眠をとれば痩せることは可能です。
痩せられる理由はいくつかあります。1つは睡眠中に分泌される成長ホルモンの力によるもの。成長ホルモンは代謝に作用したり、エネルギーが不足しているときは脂肪を分解したりしてくれます。つまり、適切に寝ることで太りにくくなるので、体型維持に有効。
また、睡眠不足を続けると「コルチゾール」というストレスホルモンが分泌されます。実はコルチゾールは基礎代謝を低下させる原因の1つ。しっかりと睡眠をとることで分泌を抑えられるので、ダイエットに効果があるといえるでしょう。
もちろん、過剰な食欲も抑えられるので、睡眠は体型維持にも一役買っているといえます。
精神の安定
睡眠はストレスを解消する作用があるので、精神の安定化に有効です。
不眠が続くとイライラしやすくなる人は多いでしょう。これは睡眠不足になるとコルチゾールが過剰に分泌されることで、脳の働きが悪くなってストレスに弱くなるため。
また、疲労が溜まった脳では集中力や判断力が低下するので、仕事などでミスを頻発しやすくなります。すると、ストレスが余計に溜まるようになるので、ネガティブな思考に陥りやすくなります。
精神が不安定になるとうつ病になるリスクがアップし、不眠症のリスクも上昇。その結果、睡眠不足から抜け出せない悪循環になってしまいます。イライラしやすくなってきたと感じたときは、睡眠にフォーカスした生活を送るようにしましょう。
よい睡眠のための3つの条件
よい睡眠をとるためには、いくつか条件があります。そこでここでは、特に重要な3つの条件を紹介していきます。満足感のある睡眠をとりたいという人は、参考にしてください。
十分な睡眠
よい睡眠の条件の1つは十分な睡眠、つまり「量」が大切です。
たとえば、大人であれば7~9時間の睡眠が必要といわれています。レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルは約90分と説明しました。つまり、よい睡眠とは、睡眠のサイクルを4~5回繰り返す睡眠のこと。睡眠のサイクルを十分に繰り返して脳と身体を休めれば、朝自然に目が覚めるようになるでしょう。
もちろん、6時間で満足できる人や最低10時間は必要という人など個人差があります。そのため、自分に必要な睡眠時間を把握するようにしてみてください。それが分れば、十分な睡眠がとれるようになります。
規則正しい睡眠
生活のリズムを一定にして、規則正しく睡眠をとることも重要です。
人間の身体には体内時計が備わっていることはご存じでしょう。備わった体内時計に沿って生活をすれば決まった時間になれば眠気が訪れるので、スムーズに睡眠をとることができます。自然な流れに沿って眠れば、よい睡眠をとれるようになります。
なお、人間の体内時計は24時間ではありません。そのため、規則正しい生活をするためには、朝決まった時間に起きて日光に当たることが必要です。日光に当たることで体内時計がスタートするので、一定に保てるようになります。
規則正しい睡眠をとるためには、毎日決まった時間に起きる必要があると心得てください。
安定した睡眠
よい睡眠のためには「質」にこだわることも欠かせません。
質が低い状態で眠ったとしても、ちょっとした拍子に目を覚ましてしまいます。また、長時間眠ったとしても深い睡眠ができないので、脳や身体に疲れを残してしまいます。
もし安定した睡眠がとれていないという人は、寝室の環境や寝る前の行動などを考え直してみてください。睡眠に適した状態を作っていくことで、朝までぐっすりと眠れるようになります。
睡眠不足がもたらす悪影響
睡眠は人間にとってかなり重要。そのため、睡眠不足を続けると、重大な問題を引き起こしてしまいます。
ここでは、睡眠不足がもたらす悪影響について紹介していきます。
不健康
睡眠不足を続けていることによる悪影響は、健康を害すること。
たとえば、睡眠不足は食欲をコントロールできなくなるので、肥満になりやすくなります。すると、高血圧や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病になるリスクを高めてしまいます。さらに、症状もどんどん悪化して、重症化していくでしょう。
放置していると脳梗塞や心筋梗塞、脳卒中など命を脅かす病気を引き起こすので、注意が必要です。
怖い病気を発症しなくても、免疫力の低下は避けられません。すると、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなるので、充実した生活を送りにくくなります。イキイキとした生活を送るためにも、睡眠をしっかりととるようにしましょう。
経済的損失
睡眠不足は経済面にもマイナスを与えてしまいます。
たとえば、睡眠不足は集中力を低下させるので、作業効率を悪くしてしまいます。また、注意が散漫になるので、普段はしないようなケアレスミスも頻発させてしまうでしょう。
眠いのを我慢して仕事をすれば、少しでも物事を進められるように感じます。しかし、睡眠不足ではパフォーマンスを落としてしまうので、逆の結果を招くことも少なくありません。
眠気を気合だけで振り切ることはできないので、眠気を感じたらその時点で仕事を止めて睡眠を優先させるようにしましょう。
まとめ
睡眠の重要性はとても高いです。質の高い睡眠をとることで脳と身体が休められるので、免疫力がアップしたり記憶の定着がよくなったり、美容にも良い影響があったりします。もちろん、生活の質自体を高めることも可能。
よい睡眠をとるためには、いくつか条件を揃えなければなりません。この記事では3つの条件を紹介してきましたので、生活を充実させたいという人はぜひ参考にしてください。