最近、起きたときにすっきりしないといった症状に心辺りはないでしょうか。
その症状は、睡眠障害が原因かもしれません。
「睡眠の質の低下を感じる」
「中途覚醒の症状について知りたい」
「夜中に目が覚めてしまう」
こんなお悩みを抱えている方は、中途覚醒に該当している可能性があります。
当記事では、中途覚醒をはじめとした睡眠障害や中途覚醒の原因から対策まで幅広く解説しています。
記事を一読いただければ、ご自分の睡眠に関する症状が中途覚醒に該当しているのかや中途覚醒の対策についての知識が身に付きます。
中途覚醒についてしっかりした知識を学び、睡眠の質の改善を目指してみてください。
中途覚醒って何?
まずは、中途覚醒とは何なのかについて解説していきます。
中途覚醒とは、睡眠障害の1つです。
主な症状に、「夜中に何度も目が覚める」「1度起きると目が覚めて寝れなくなる」といったものがあげられます。
このような症状がたまに起こる程度であれば気にすることはないですが、頻発するようなら中途覚醒の疑いが強いため放置するわけにはいきません。
睡眠はまとまった時間を充てることで、さまざまな効果が得られるものです。
中途覚醒のように、こまめに目が覚めるといった症状が常習化してしまうと、睡眠不足となり日中に眠気を引き起こし仕事のパフォーマンスも低下してしまうでしょう。
睡眠障害には、中途覚醒の他に以下の3つがあります。
睡眠障害の種類 | 症 状 |
熟睡障害 | ・まとまった睡眠時間は得られているものの、熟睡感が得られない
・睡眠の質が低下しており、眠りが浅くなっている状態 |
早朝覚醒 | ・予定していた起床時間よりも早い時間に目が覚める
・時間の目安として約2時間から3時間 |
入眠障害 | ・寝ようと思って寝床に入っても直ぐに眠れない
・入眠までに約1時間~2時間を要する |
現代社会において、何らかの睡眠障害に該当している人は約6人に1人の割合で発生しており、もはやいつ発症してもおかしくない数値となっています。
それぞれの症状によって年齢層に偏りがあるわけではなく、中途覚醒以外の睡眠障害は多くの年齢層で平均的に発症している状況。
中途覚醒については、年齢的な観点から老化現象が現れる60代以上の方に多くなる傾向があります。
しかし、老化現象は自然に起こる生理現象であって、中途覚醒の原因全てが老化現象にあたるというわけではありません。
では中途覚醒が起こる理由として、老化現象以外にはどのようなものがあげられるのでしょうか。
中途覚醒が起こる理由
中途覚醒の発生には、さまざまな要因が考えられます。
もし、ご自分が中途覚醒に該当している可能性があると感じている方は、これから紹介する要因に該当しているかを照らし合わせてみると良いかもしれません。
中途覚醒が起こる理由は、以下の6つがあげられます。
- 加齢による生理現象
- 環境による刺激
- メンタルの不調
- フィジカルな要因
- 不規則な生活
- 刺激物の摂取
1つずつ解説していきます。
加齢による生理現象
加齢による生理現象として睡眠が浅くなったり、夜中にトイレで起きやすくなるといった傾向があります。
眠りが浅い状態で、トイレに行くことで完全に目が覚めてしまったといった経験がある方も多いのではないでしょうか。
これらの症状は抗っても仕方のない自然な生理現象ですので、深刻に考えすぎないことが大切です。
考えれば考えるほど余計に眠れなくなる、といった悪循環に陥ってしまうことも。
夜中にトイレに起きてしまうことは仕方がないので、トイレに行く際の明かりをなるべくしぼるなどの工夫をすれば覚醒を下げる効果が得られるでしょう。
環境による刺激
環境による刺激とは夜中に聴こえてくる騒音や、室内の温湿度による外部的な刺激のこと。
騒音には、緊急車両のサイレン音やバイクのエンジン音、大雨強風雷などの気象現象などたくさんの種類の騒音が考えられます。
ある程度の深い睡眠状態であれば、目が覚める可能性は低いですが、眠りが浅い状態だと少しの音でも目が覚めてしまいます。
また、室内の温度や湿度の調整が上手くいかないことにより目が覚める場合も。
暑さや寒さで眠れなくなるという症例は意外にも多いようです。
メンタルの不調
メンタルの不調が睡眠の質を低下させている可能性もあります。
メンタルの落ち込みが自律神経の乱れに直結しているためです。
自律神経とは、交感神経と副交感神経からなる神経で2つの神経の優位性で心身の状態が変化。
交感神経が優位なときは活動的、副交感神経が優位なときはリラックス状態となります。
精神的な悩みを抱えていたり、気分が落ち込んでしまうなどストレスを抱えているときは、精神が張り詰め交感神経が優位な状態に。
眠りにつくときは、心身をリラックスさせる副交感神経が優位になる必要があるため、メンタルの不調は睡眠の質を下げてしまう原因といえるでしょう。
フィジカルな要因
フィジカルな要因として疾病などの症状によるものがあります。
例えば血圧が高い人は、メンタルが落ち着かない状態になりがちで交感神経が優位に。
メタボリックシンドロームで肥満がちの人に血圧が高くなる傾向が見られます。
いびきや無呼吸症候群など呼吸系の疾患がある場合も、夜中に息苦しくなり目が覚めてしまうことが多いでしょう。
また、糖尿病の人はトイレの回数が多くなってしまうことから、よく目が覚めてしまいます。
これらの疾病以外でも発熱などの苦しみから目が覚めるといった状況も考えられます。
フィジカルな要因による覚醒は数えきれないほどありますので、その場合は疾病の解消を優先すると良いでしょう。
不規則な生活
不規則な生活を続けていると、体内リズムが乱れてしまいます。
寝るべき時間になっても睡眠時間を削ってまでスマートフォンを使い続けたり、昼夜が逆転した生活を送ると言うまでもなく睡眠の質が著しく低下してしまうでしょう。
このような状況で眠りについても、眠りが浅いため直ぐに目が覚めてしまうなどの中途覚醒につながってしまいます。
不規則な生活による要因は、30代未満の若い世代に多い傾向にあります。
刺激物の摂取
刺激物とは、アルコールや薬の服用。
アルコールの分解には、量や個人差にもよりますが平均して6時間程度はかかります。
寝る前にアルコールを摂取すると、体がアルコールの分解に専念するため睡眠が浅くなってしまいます。
また、アルコールが分解されると利尿作用も働くため、夜中にトイレで起きてしまう可能性は避けられないでしょう。
アルコール以外でも服用する薬によっては睡眠が浅くなるものがあるため、睡眠の質に不安がある場合は、薬の副作用を必ず確認することも大切です。
中途覚醒を改善する生活習慣
中途覚醒の原因を理解いただいたところで、中途覚醒を改善する生活習慣について見ていきましょう。
中途覚醒を改善する生活習慣は以下の7つになります。
- 生活リズムの改善
- 太陽の光の活用
- 寝る時間の統一化
- ブルーライトの削減
- 入浴と食事のタイミング
- 室内環境の改善
- 運動の習慣
1つずつ解説していきます。
生活リズムの改善
中途覚醒を改善する生活習慣として、まず取り組んでいただきたいのが生活リズムの改善です。
体内の睡眠と覚醒スイッチの切り替えを、節度をもって整えることで睡眠の質が向上。
中途覚醒の発生を軽減する効果が期待できます。
具体的には起きる時間を決めたら徹底して守ること。
これによって日中に眠気があったとしても、長く昼寝をし過ぎないのがポイントです。
昼寝自体には、生産性が高まるメリットがあるため推奨されますが、何時間もの昼寝をしてしまうと生活リズムも整いません。
合わせて眠る時間も一定にすることで、体内リズムの確立効果が一層高まります。
一度乱れてしまった生活リズムを改善するには時間がかかるものです。
取り組み始めて直ぐに改善の効果を求めるのではなく、コツコツ継続すると良いでしょう。
太陽の光の活用
太陽の光には脳を覚醒させる効果があります。
起きる時間を一定にしたら、目覚めに太陽の光を浴びるようにしましょう。
そうすることで体内リズムが整う確率を飛躍的に高めてくれます。
起き抜けに眠気がとれないという人も、カーテンを開けてひとたび日光を浴びれば、目が覚める効果が期待できます。
カーテンと一緒に窓も開けると、朝の新鮮で綺麗な空気を取り入れることができるため、よりスッキリした目覚めが得られるでしょう。
それでも目が覚めないときは、思い切って外に出てみるのも良いかもしれません。
なお、天気が曇りでもある程度の光力があるため、晴れた日と同様の効果が期待できます。
太陽の光を浴びる行動を習慣化し覚醒のスイッチに慣れてくると、睡眠の質が高まり中途覚醒の発生も自然と収まってくるでしょう。
食事の時間
中途覚醒を防ぐには睡眠の質を高める必要があります。
それには睡眠に入るまでに体中の器官全ての活動を停止させておくことが重要。
寝る前に食事をしてしまうと、食べ物を消化吸収するために消化吸収器官が活発な状態となります。
臓器が活動している状態では、睡眠に専念できておらず睡眠の質を低下させてしまいかねません。
寝る前の食事時間については、睡眠の3時間までには済ませるようにします。
遅くても2時間はきらないようにしましょう。
食事と同じように飲み物でも睡眠の質が低下してしまう可能性があるため注意が必要です。
ただし、以下に紹介する飲み物については睡眠の質を高める効果が期待できます。
- 白湯:白湯で体を芯から温めることで副交感神経が高まり心が落ち着く
- 温かい牛乳:熱とセロトニンを増やすトリプトファンの摂取で睡眠の質が向上
- ココア:ココアの成分が副交感神経を優位な状態に
これらの飲み物については睡眠の質を向上してくれるため、積極的に取り入れていきましょう。
ブルーライトの削減
スマホやPCの光に含まれるブルーライトには脳を覚醒させる作用があります。
睡眠の直前までブルーライトの仕様を続けていると、脳の覚醒効果が持続した状態となり睡眠どころではありません。
質の高い睡眠を得るには寝る前から脳の刺激になるような行為は控えましょう。
どうしてもスマホを操作してしまうという人は、スマホの充電器を寝室とは別室に設置するなどの対策が有効です。
もし、ワンルームなどでスマホの充電器を別室に設置できないという場合は、寝具からなるべく距離を離すと良いでしょう。
使用をやめる時間は、なるべく早く設定するにこしたことはありませんが、最低でも1時間前にはブルーライトを見ないように気をつけます。
入浴のタイミング
入浴のタイミングを就寝時間に合わせることで睡眠の質が高まり、中途覚醒の改善が見込まれます。
人は深部体温が下がると眠くなることが医学的に判明しています。
入浴により深部体温が急速に高まり、高まった体温は熱の放出作用で下がる傾向に。
この体温の上昇から下降までにかかる時間が、約1時間半から2時間といわれています。
そのため、入浴のタイミングを就寝時間の1時間半から2時間前に設定するようにしましょう。
入浴の際に気をつけるポイントは、約38度前後のぬるま湯で20分から40分の時間をかけてゆっくりと温めていくこと。
さらに、入浴時のお湯の温度も熱くなり過ぎないようにしましょう。
お湯の温度が高いと刺激に反応して覚醒することはもとより、急激に体温を上げた反動で下がる時間も早くなってしまうためです。
室内環境の改善
ぐっすりとした深い睡眠のために室内環境の改善に努めましょう。
室内環境には温度、湿度、寝具、照明などがあります。
快適に眠れる温度は夏の場合が約24度から26度で、冬は約18度前後。
快適な睡眠に必要な湿度は年間ほぼ一定で約50%から60%に保つようにします。
寝具については、ご自身の体格や寝相に合わせて広さや弾力などを検討し、肌ざわりや通気性に優れた寝具を選ぶようにしましょう。
寝るときの照明は、点けっぱなしにならないように気をつけます。
理想は真っ暗にした方が良いですが、どうしても暗いのが苦手な場合は豆灯で対処。
睡眠時の明るさは50ルクス以内に抑えておけば良いため、豆灯までなら大丈夫です。
運動の習慣
運動には健康面から多くの恩恵があることが認められていますが、睡眠の質にも大きな恩恵をもたらしてくれます。
昼のうちに運動を行うことで、適度な疲労感が得られ深い睡眠の獲得につながっていくでしょう。
運動のタイミングについては、朝、昼、夜のいつ取り入れたら良いか迷ってしまうこともありますが、いつ行ったとしても何らかの効果は得られます。
朝に取り入れると日光を浴びる効果も享受できるため、寝起きの覚醒効果がより高まります。
注意しなければいけないのは、夜遅くに激しい運動を行うこと。
夜の激しい運動は興奮状態になってしまうため、睡眠の質を向上する観点からいうと逆効果です。
深い睡眠を目的に運動を取り入れる場合は、就寝時間に近くなるタイミングは外すようにしましょう。
まとめ
ここまで中途覚醒の原因や睡眠の質を高めて中途覚醒を改善する方法について解説してきました。
睡眠障害を改善するには、原因としっかり向き合い根本から整えていくことが大切です。
自分は大丈夫だと思って放置していると、日中に強い眠気に襲われたり、メンタルの不調からの精神疾患にもつながりかねません。
睡眠の質を高めることは、心を健全な状態に保つためにも必要な行為と認識しておきましょう。
自身や周囲の方に中途覚醒の疑いがある場合は、この記事で紹介した改善方法を実践していただき睡眠の質を高めていっていただけれると幸いです。